聴き手の心を揺さぶるジャズヴォーカル ビリー・ホリディの名盤

ジャズヴォーカル、ビリー・ホリデイ(Billie Holiday 1915年~1959年)のおすすめアルバムを、名盤を中心にご紹介します。

ビリー・ホリデイの歌を、何気なしに聴くことはとても難しいです。

ときに心を締め付けられるような、ときに心を揺さぶられるような。

彼女の悲しい生涯と歌を重ねて聴いてしまうからでしょうか。

楽しい歌でも、もの悲しく響いてしまうこともあります。

ノスタルジックでせつなさが漂う彼女の歌には中毒性があるというか、一度とりこになってしまうと、繰り返し聴きたい気分になります。

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ビリー・ホリデイの生い立ちや生涯については、こちらに書きました。

過酷な生涯と胸を打つ歌 ビリー・ホリデイ
ビリー・ホリデイ(Billie Holiday 1915年~1959年)。私生児として若い母親のもとに生まれ、若いときには売春で逮捕。歌手になってからも深刻な薬物中毒とアルコール中毒で、やせおとろえ、しゃがれた声になったにもかかわらず、その歌は輝きを失いませんでした。

ビリー・ホリデイのおすすめアルバム

名盤を中心に、私のお気に入りのアルバムをご紹介します。

奇妙な果実(Strange Fruit)

アルバムには「ビリー・ホリデイ(Billie Holiday)」とだけクレジットされていますが、ビリー・ホリデイの代表曲「奇妙な果実(Strange Fruit)」が収録されているからか、アルバム自体も「奇妙な果実(Strange Fruit)」と呼ばれることが多いようです。

1939年から1940年代初頭にかけてのビリー・ホリデイの名唱を収録した名盤。

このころのビリー・ホリデイの声は、まだ麻薬にむしばまれていなくて、のびやかでつややかな声です。

(↓Spotifyに登録すれば(無料でも可)フル再生できます)

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2002年に「奇妙な果実(Strange Fruit)」はアメリカ議会図書館によって国家保存重要録音(National Recording Registry)に加えられました。

Lady in Satin(レディ・イン・サテン)1958年

ビリー・ホリデイが亡くなる前年にレコーディングしたのが「Lady in Satin(レディ・イン・サテン)」

ここでのビリー・ホリデイは、先にご紹介した「奇妙な果実(Strange Fruit)」ののびやかな声とはうって変わって、麻薬にむしばまれたしわがれ声です。

選曲も「恋は愚かというけれど(I’m A Fool To Want You)」「コートにすみれを(Violets For Your Furs)」「心変わりしたあなた(You’ve Changed)」とビリーの十八番が並びます。

長年の麻薬と深酒の影響で、声はしわがれ、声をのばす箇所ではたびたび音が下がるのですが、ビリー・ホリデイの場合、それが致命傷とならず、歌に深い味わいを残すエッセンスとなってしまうのが不思議なところ。

メンバーは、ヴォーカルのビリー・ホリデイ(Billie Holiday)、ピアノのマル・ウォルドロン(Mal Waldron)、ギターのバリー・ガルブレイス(Barry Galbraith)、ベースのミルト・ヒントン(Milt Hinton)、ドラムのオシー・ジョンソン(Osie Johnson)、トロンボーンのJ.J.ジョンソン(JJ Johnson)、その他ストリングスが入ります。

レディ・シングス・ザ・ブルース(Lady Sings The Blues)1956年

個人的に大好きなアルバム。

1954年~1956年にかけての録音を集めたものです。

タイトル曲の「レディ・シングス・ザ・ブルース(Lady Sings The Blues)」は、ダイアナ・ロスが主演した映画「ビリー・ホリデイ物語/奇妙な果実」でも、ダイアナ・ロスが歌っていました。

収録曲の、ビリー・ホリデイがアーサー・ハーツォグ・ジュニア(Arthur Herzog Jr.)と共作した「God Bless the Child」は、ビリー・ホリデイの代表作の1つ。

たびたびお金をせびりにくる、ビリーの母親をいさめる内容と言われています。

2曲目の「トラヴェリン・ライト(Trav’lin’ Light)」については、この曲を取り上げるシンガーは多いですが、私はビリー・ホリデイの歌が一番だと思っています。

メンバーは、ヴォーカルのビリー・ホリデイ(Billie Holiday)、ピアノはウィントン・ケリー(Wynton Kelly)とボビー・タッカー(Bobby Tucker)、ギターはケニー・バレル(Kenny Burrell)とバーニー・ケッセル(Barney Kessel)、ベースはアーロン・ベル(Aaron Bell)とレッド・カレンダー(Red Callender)、ドラムはレニー・マクブラウン(Lenny McBrowne)とチコ・ハミルトン(Chico Hamilton)、クラリネットのトニー・スコット(Tony Scott)、トランペットのハリー・エディソン(Harry Edison)

ピアノのウィントン・ケリーと、ギターのケニー・バレルが参加しているところに、贅沢さを感じます。

こんな豪華なメンバーを従えて、ビリー・ホリデイは、御所って感じだったのかなあ。

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ダイアナ・ロスが主演した映画「ビリー・ホリデイ物語/奇妙な果実」については、こちらに書きました。

ダイアナ・ロスの歌うジャズが最高!映画「ビリー・ホリデイ物語」
1972年公開、ダイアナ・ロスがビリー・ホリデイを演じた映画「「ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実」、(原題は「Lady Sings the Blues」)について紹介しています。美しく、悲しく、せつなく、そして良質のジャズに包まれた、とてもよい映画です。
ラスト・レコーディング(Last Recording) 1959年

「ラスト・レコーディング(Last Recording) 」はその名のとり、ビリー・ホリデイが最後にレコーディングしたアルバム。

ビリー・ホリデイはこのアルバムをレコーディングした年に、44歳で亡くなります。

しぼり出すような声で歌う数々の曲が、どれも味わい深い、渋いジャズになっているのがすごいです。

メンバーは、ヴォーカルのビリー・ホリデイ(Billie Holiday)、ピアノはあのハンク・ジョーンズ(Hank Jones)、ギターはバリーガルブレイス(Barry Galbraith)、ベースはミルト・ヒントン(Milt Hinton)、ドラムはオーシー・ジョンソン(Osie Johnson)、テナーサックスはズート・シムズ(Zoot Sims)とのフロントデュオで息の合った演奏を聴かせているアル・コーン(Al Cohn) 

 

ビリー・ホリデイの歌は、多少フェイクすることはあるもののインプロヴァイスはほとんどないのに、なぜか耳を持っていかれます。

聞き流すことができない、味わい深いジャズです。

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ビリー・ホリデイの生い立ちや生涯についてはこちらに書きました。

過酷な生涯と胸を打つ歌 ビリー・ホリデイ
ビリー・ホリデイ(Billie Holiday 1915年~1959年)。私生児として若い母親のもとに生まれ、若いときには売春で逮捕。歌手になってからも深刻な薬物中毒とアルコール中毒で、やせおとろえ、しゃがれた声になったにもかかわらず、その歌は輝きを失いませんでした。

ビリー・ホリデイのおすすめの曲、名曲についてはこちら。

聞けば聞くほど深い味わい ビリー・ホリデイが歌うジャズの名曲
聞けば聞くほど味わいが増すビリー・ホリデイ(Billie Holiday 1915年~1959年)の名曲、有名な曲、おすすめな曲のご紹介です。ビリーの自作、共作、ビリーのために作られた曲など。

ダイアナ・ロスが主演した映画「ビリー・ホリデイ物語/奇妙な果実」については、こちらに書きました。

ダイアナ・ロスの歌うジャズが最高!映画「ビリー・ホリデイ物語」
1972年公開、ダイアナ・ロスがビリー・ホリデイを演じた映画「「ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実」、(原題は「Lady Sings the Blues」)について紹介しています。美しく、悲しく、せつなく、そして良質のジャズに包まれた、とてもよい映画です。

サッチモことルイ・アームストロングと一緒に出演し、ビリー・ホリデイがメイド役で名演技と名唱を見せつけた映画「ニューオリンズ(New Orleans)」については、こちらに書きました。

ビリー・ホリデイやルサッチモの名演技!映画「ニューオリンズ」
1947年公開映画「「ニューオリンズ(New Orleans)」。その名のとおり、ニューオリンズジャズが満載。サッチモことルイ・アームストロングやビリー・ホリデイ、ウディ・ハーマンも出演。その演奏や歌声を聴かせるだけでなく、俳優や女優として演技もしています。

ビリー・ホリデイの自叙伝「奇妙な果実(Strange Fruit)」については、こちらに書きました。

自伝「奇妙な果実」でビリー・ホリデイの胸のうちを読む
ビリー・ホリディの自伝「奇妙な果実」という本の紹介です。ばりばりのジャンキーだったビリーが自分の生い立ちを語っているので、誇張や妄想、事実と違うなど、賛否両論ありますが、それをさしい弾いても、読む価値は絶対あり!と思っています。