アコースティックなジャズだったころのマイルス・デイヴィスの名盤③

マイルス・デイヴィス(Miles Davis 1926年~1991年)は、同じことを繰り返すことを嫌い、常に革新的なジャズを追求し続けた人。

後年には、サイケデリックロックやファンクなども取り入れ、エレクトリックなジャズへと移行していきました。

今回はマイルス・デイヴィスがまだアコースティックなジャズだったころの、有名なアルバムや名盤をご紹介していますが、今回はそのパート3です。

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①はこちら。

アコースティックなジャズだったころのマイルス・デイヴィスの名盤①
シンセサイザーやエレキギターを投入する前の、マイルス・デイヴィスの有名なアルバムを、私の好きな順番でご紹介します。

②はこちら。

アコースティックなジャズだったころのマイルス・デイヴィスの名盤②
マイルス・デイヴィス(Miles Davis 1926年~1991年)が、エレクトリックなジャズに移行する前、アコースティックなジャズを演奏していたころの名盤、おすすめアルバムのご紹介の続きです。

アコースティックなジャズだったころのマイルス・デイヴィスの名盤③

クールの誕生(Birth Of The Cool)1957年

この「クールの誕生(Birth Of The  Cool)」は、それまでビバップ一辺倒だったジャズ界に、新たな旋風を巻き起こしたという超有名アルバム。

私は、マイルス・デイヴィスは他のアルバムから聞き始めたせいか「クールの誕生(Birth Of The  Cool)」を初めて聴いたときには

「んっ?これ、ほんまにマイルス?」

と驚いてしまいました。

ギル・エヴァンス(Gil Evans)がアレンジした、マイルス・ディヴィスのアルバムを聴くのは初めてだったせいもあったと思います。

マイルスがいつものように、ばりばりのインプロヴァイズなソロを繰り広げると思っていたら、アレンジメントに沿って奏でられる九重奏。

でも他のビッグバンドとは、やっぱり違っていて、九重奏ながらも重くなることなく、厚くなりすぎず軽くスイングしていて聴いていて心地よいです。

メンバーはトランペットのマイルス・デイヴィス(Miles Davis)、バリトンサックスのジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)、トロンボーンはカイ・ウィンディング(Kai Winding)と J.J. ジョンソン(J.J. Johnson)、アルトサックスのリー・コニッツ(Lee Konitz)、ピアノのジョン・ルイス(John Lewis)、フレンチホルンはガンサー・シュラー(Gunther Schuller)とサンディ・シーゲルシュタイン(Sandy Siegelstein)、チューバはビル・バーバー(Bill Barber 別名ビリー・バーバー(Billy Barber))、ベースはアル・マッキボン(Al McKibbon)とネルソン・ボイド(Nelson Boyd)、ドラムはケニー・クラーク(Kenny Clarke)とマックス・ローチ(Max Roach)

ビル・バーバー(Bill Barber)は、チューバでジャズを初めて演奏した人。

アルトサックスのリー・コニッツ(Lee Konitz)氏は、残念ながら2020年4月にコロナのため92歳で亡くなられました。

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ギル・エヴァンス(Gil Evans)はマイルスと組んで他にも「マイルス・アヘッド(Miles Ahead))」「ポーギーとベス(Porgy And Bess)」「スケッチ・オブ・スペイン(Sketches Of Spain)」「クワイエット・ナイト(Quiet Nights)」などのアルバムを制作しました。

このギル・エヴァンスという人、とても面倒見がよくて、住むところがなくなったジャズメンをよく自分の家に泊めたりしていて、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)やマイルス・デイヴィスも泊めてもらったりしていたのだとか。

またギル・エヴァンスのアパートはジャズメンは出入り自由となっていて、いつも誰かしら集まってはセッションして、さまざまな実験的なアイディアを試していたそうです。

そのセッションには、ブロッサム・ディアリー(Blossom Dearie) も参加していたとのこと。

マイルス・デイヴィス・アンド・ホーンズ(Miles Davis and Horns)1956年

この「マイルス・デイヴィス・アンド・ホーンズ(Miles Davis and Horns)」には、私の大好きな2人、ズート・シムズ(Zoot Sims)とアル・コーン(Al Cohn)が参加。

そのせいか、この2人の影響を受けて、マイルス・デイヴィスのトランペットもいつもより明るめにスイングしているような気もします。

1~4曲目までアル・コーンの作というのも、ファンにはうれしいところ。

メンバーは、トランペットのマイルス・デイヴィス(Miles Davis)、ピアノのジョン・ルイス(John Lewis)テナーサックスは1~4曲目まではズート・シムズ(Zoot Sims)とアル・コーン(Al Cohn)で5~8曲目まではソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)、トロンボーンは1~4曲目までがソニー・トルイット(Sonny Truitt)で5~8曲目はベニー・グリーン(Bennie Green)、ベースは1~4曲目はレナード・ガスキン(Leonard Gaskin)で5~8曲目まではパーシー・ヒース(Percy Heath)、ドラムは1~4曲目はケニー・クラーク(Kenny Clarke)で5~8曲目はロイ・ヘインズ(Roy Haynes)

テナーサックスのズート・シムズ(Zoot Sims)とアル・コーン(Al Cohn)は、ウディ・ハーマン(Woody Herman)楽団のサックスセクションのフィーチャーしたフォア・ブラザース(Four Brothers)で一緒に演奏していた仲なので、息ぴったり。

「マイルス・デイヴィス・アンド・ホーンズ(Miles Davis and Horns)」では、ズートとアルは若干おさえめな気もしますが、普段の2人はこんな感じです。

片方がソロをとるバックで、もう片方がちょろっとからんできたと思ったら、ソロが進むにつれてどちらがメインでソロをとっているのかわからなくなるくらい、ズートとアルは乗りまくってくると入り乱れます。

同じ楽団でブリブリ吹きまくるフォア・ブラザース(Four Brothers)に、一緒に在籍していたので相手の手の内がわかるんだろうなあ。

「あ、そうくるなら、次はこう行くんやろ」

と相手の出方や、間合いや、次の展開もあうんの呼吸でわかるんだろうなあ。

と思わせる演奏です。

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他のジャズメンも、アルバムごとに新しいジャズを追求していますが、マイルス・ディヴィスほどアルバムごとにこんなに変わる人もいないんじゃないかと思います。

作風をころころと変化させていった、画家のピカソのようです。

ジャズ界のピカソ!って言ったら、たぶんマイルスに怒られる(笑)

 

アコースティックなジャズだったころのマイルス・デイヴィスの名盤①はこちら。

アコースティックなジャズだったころのマイルス・デイヴィスの名盤①
シンセサイザーやエレキギターを投入する前の、マイルス・デイヴィスの有名なアルバムを、私の好きな順番でご紹介します。

②はこちら。

アコースティックなジャズだったころのマイルス・デイヴィスの名盤②
マイルス・デイヴィス(Miles Davis 1926年~1991年)が、エレクトリックなジャズに移行する前、アコースティックなジャズを演奏していたころの名盤、おすすめアルバムのご紹介の続きです。