ナンシー梅木さん(1929年~2007年)は、日本生まれで日本育ちのジャズシンガーです。
日本人ゆえに英語が母国語でないというハンディを乗り越え、ハリウッド映画「サヨナラ」(1957年)に出演。
大スターのマーロン・ブランドの相手役を演じただけでも快挙なのに、なんとアカデミー賞を受賞。
当時としては、イギリス人とアメリカ人以外の受賞は、初めてのことでした。
もともとナンシー梅木さんは英語の勉強が目的でアメリカに渡りました。
そしてアメリカ滞在中にテレビに出演する機会があり、着物姿でジャズを歌ったところ、それが評判となり、そのままアメリカでレコードデビュー。
映画「サヨナラ」の後は、テレビでも活躍されたようです。
DVDも出ています。
若かりしマーロン・ブランドがかなりのイケメンです。
ナンシー梅木さんについては、こちらに書いています。
映画「サヨナラ」のあらすじ
朝鮮戦争に参加したのち、日本に転属となったアメリカ兵(マーロン・ブランド)が、日本の歌劇団の女性(ナンシー梅木さん)と恋に落ちるストーリーです。
当時の神戸港、奈良のあやめ池遊園地、大阪国際空港、京都の街並みなどが映画に登場します。
ナンシー梅木さんの着物姿の髪型や髪飾り、かんざしのさし方などが、当時の日本から考えるとちょっとありえなかったりという不思議な光景も見られますが、それでも異文化を尊重する姿勢が感じられます。
ちょっと変な日本がいい(笑)
アメリカ人は、日本をこんな風に思っているんだということがわかります。
例えば、お風呂が畳の部屋にあったり(笑)
畳がお湯でぬれるやろ!と突っ込みたくなりますが。
日本だって、アメリカ人が見たら笑っちゃうような変な英語を書いたTシャツ着てるから、文句は言えない(笑)
ニューヨークに行ったとき、「音楽」という漢字のタトゥーを入れている人を見かけて、異文化をその細かいニアンスまで理解するということは、大変難しいことなのだと思いました(笑)
若い時のマーロン・ブランドが最高!
若い時のマーロン・ブランドの、貴重な着物姿が見られます。
「地獄の黙示録」や「ゴッドファーザー」の時のマーロン・ブランドとはまったくの別人です。
この映画のマーロン・ブランドは、甘いマスク、骨のある男っぽさ。
とにかく惚れます。
欧米人以外でアカデミー賞受賞はナンシーさんが初!
ナンシー梅木さんは、この映画でアカデミー賞の助演女優賞を受賞します。
アメリカ人とイギリス人以外が、この賞を受賞したのは、当時ではナンシー梅木さんが初めてでした。
今でもナンシー梅木さんが、日本人で唯一、オスカーを受賞した女優です。
でも日本で放映されたドキュメンタリーで、ナンシー梅木さんは、このときもらったオスカー像をのちに壊して捨てたそうです。
アメリカへ渡る日本人が少なかった時代に、女性が1人、アメリカで先駆者として母国語でない英語でジャズを歌ったり、映画に出てオスカーを受賞したり、テレビに出たりする中で、人に言えない苦労やいろんな思いがあったんだろうなあと思います。
人種差別がなくなったとされる昨今でも、先進的と言われるニューヨークに行ったとき、アジア人ということで目立った差別は受けませんでしたが、でも差別が全くないわけではないというのは肌で感じました。
ニューヨーク在住の人に連れて行ってもらったお店でも、お客さんが白人ばかりの時があって、聞いてみたら
「この店でアフリカ系の人は見たことがない。
ニューヨークでは、あまり表立った人種差別はないけど、お客さんが白人だけの店でアフリカ系は居心地が悪い店というのは、いくつもある」
とおっしゃってました。
ウェイターさんはアフリカ系のかたもおられましたが。
だからナンシー梅木さんも、当時の人種差別が公然と存在していた時代にアメリカで活躍されたので、アジア人ということで差別やバッシングもあっただろうなあと思います。