演奏が停滞したら隠遁して修行 ソニー・ロリンズの生涯(前編)

ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins 1930年)はマイルス・デイヴィスに、ジョン・コルトレーン(John Coltrane) と並んで2大テナーサックスと言われた人。

他にもテナーサックスは、スタン・ゲッツ(Stan Getz)ズート・ジムス(Zoot Sims)デクスター・ゴードン(Dexter Gordon )、その1つ前の世代ならベン・ウェブスター(Benjamin Webster)、レスター・ヤング(Lester Young)など、挙げればきりがないほどいますが、なぜかソニー・ロリンズとジョン・コルトレーンは並べられることが多いように思います。

私の勝手なイメージですが、ジョン・コルトレーンはとにかく演奏がクール(かっこいいの意味)な感じで、ソニー・ロリンズはカジュアルで親しみやすい感じ。

どっちがいい悪いでなく、私の勝手な印象で乱暴な例えですが、ジョン・コルトレーンを福山雅治さんに例えるなら、ソニー・ロリンズは明石家さんまさんといった感じで、どちらも少し分野が違うだけで巨匠であることに変わりないといった感じ。

人物が、でなくて演奏にそんなイメージを持っています。

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ソニー・ロリンズといえば、この「セント・トーマス(St.Thomas)」。

代表曲と言っても過言ではないはず。

この曲で、カリプソのリズムがジャズに取り入れらました。

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「セント・トーマス(St.Thomas)」はソニー・ロリンズ作とされていますが、実はイギリスの古い民謡で、ヴァージン諸島に伝わっていったものがもとになっていると言われています。この件で詳しいことはこちらに書きました。

カリプソだけじゃない!親しみやすい曲が多いソニー・ロリンズの名曲
ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins 1930年~)の有名曲やおすすめの曲。「セント・トーマス(St.Thomas)」は、実はイギリスの古い民謡で、バージン諸島に伝わったものがもとになっているというエピソードについても、ご紹介します。

ソニー・ロリンズの生涯(前編)

ソニー・ロリンズの生い立ち

ニューヨーク出身。

ハーレムの育ちで、家はコールマン・ホーキンズ(Coleman Hawkin)の近所だったとか。

ソニー・ロリンズは、幼少のころはピアノを弾ていましたが、やがてアルト・サックスへと楽器を変え、高校生のころからテナーサックスを演奏するようになります。

高校時代にジャッキー・マクリーン (Jackie McLean) 、 ケニー・ドリュー( Kenny Drew)、そしてアート・テイラー( Art Taylor)とバンドで演奏していました。

ソニー・ロリンズは当時ジャズに旋風を巻き起こしていたビバップに夢中になり、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)や、セロニアス・モンク(Thelonious Monk) などにあこがれるようになります。

高校卒業後、プロ活動開始

ソニー・ロリンズは1947年に高校を卒業した後、プロ活動を開始。

1949年には初レコーディングをおこないました。

j.j.ジョンソンのレコーディングにサイドマンとして参加し、自作曲「オーデュボン(Audobon)」を録音。

バド・パウエル(Bud Powell)とも共演します。

「オーデュボン(Audobon)」はこんな曲。

マイルス・デイヴィスとの出会い

1950年、ソニー・ロリンズはマイルス・デイヴィス(Miles Davis) と出会います。

50年代前半には、ソニー・ロリンズは創造的な若いテナーサックス奏者として、すでにミュージシャンの間で評判となっていて、神格化されていました。

マイルス・デイヴィスは自伝の中で、当時のソニー・ロリンズはチャーリー・パーカー(Charlie Parker)がやっていることをテナーサックスでやっている、またはそれに近かったと言っていますし、ソニー・ロリンズの演奏を愛していたとも言っています。

1951年~1953年にはマイルス・デイヴィス、モダン・ジャズ・カルテット、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)セロニアス・モンク(Thelonious Monk)とレコーディングします。

初めてソニー・ロリンズ名義でレコーディングした曲。

1954年には当時ホレス・シルヴァー(Horace Silver)も在籍していたマイルス・デイヴィスが率いるクインテッドに加入し「バグズ・グルーヴ(Bags ‘Groove)」のレデコーディングに参加。

「バグズ・グルーヴ(Bags ‘Groove)」には、ソニー・ロリンズの有名な曲「オレオ(Oleo)」、 「エアジン(Airegin)」、 「ドキシー(Doxy)」の3曲が収録されました。

「オレオ(Oleo)」

「エアジン(Airegin)」

「ドキシー(Doxy)」

 ソニー・ロリンズ、ちょっとだけシカゴに引っ込む

1954年、ソニー・ロリンズは音楽活動を停止し、シカゴに引っ込みます。

英語版のWikipediaによると、1955年にソニー・ロリンズは、ヘロインを断つために、アメリカで唯一の麻薬中毒者の治療をおこなっていたレキシントンの連邦医療センターに入所したと書かれています。

実はソニー・ロリンズは1950年初頭、強盗で逮捕され、10か月間刑務所に収監されたのち、1952年にヘロインを使用したため、再逮捕されていました。

スタン・ゲッツ (Stan Getz)もクスリ欲しさに強盗を働いて、服役したことがあったので、ソニー・ロリンズもクスリ欲しさからの犯行だったのかもしれません。

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薬を断つことができたソニー・ロリンズは、医療センターを出所した後もシカゴにしばらく滞在していたようです。

1955年、ソニー・ロリンズ、音楽シーンに復帰

1955年、ソニー・ロリンズは音楽シーンに復帰。

トランぺッターのクリフォード・ブラウン(Clifford Brown)とドラムのマックス・ローチ(Max Roach)のクインテットに参加します。

マックス・ローチの助けもあって、自分名義のアルバムをレコーディングするようになります。

1956年に出した「セント・トーマス(St.Thomas)」を収録したアルバム「サキソフォン・コロッサス(Saxophone Colossus)」が大ヒットし、有名ジャズメンの仲間入りをはたしました。

ソニー・ロリンズのニックネームは「ニューク」

ソニー・ロリンズは野球選手のドン・ニューカム(Donald Newcombe)と顔が似ていることから「ニューク(Newk)」と呼ばれることもありました。

マイルス・デイヴィスと一緒にタクシーに乗ったとき、運転手がソニー・ロリンズを見て

「ドン・ニューカムだ!」

と驚いたので、マイルス・デイヴィスとソニー・ロリンズは面白がって、タクシーに乗っている間、ドン・ニューカムとそのマネージャーのふりをしたのだとか。

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後編(コードレス・トリオ結成~晩年まで)に続きます。後編では有名な、3年間活動休止して、橋のたもとで練習していたエピソードも書いています。

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(上巻)

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(中巻)

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(後編)

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