「おいしい水(Agua de Beber)」は、アントニオ・カルロス・ジョビン(トン・ジョビンとも呼ばれる)が作曲した、1963年に発表されたボサノヴァの名曲です。
ボサノヴァって、暑い夏に聴くと涼しい気分だし、冬に暖房の効いたあたたかい部屋で聴くのもオツな感じ。
リラックスした軽いノリで、気軽に聴ける音楽だと思います。
「おいしい水(Agua de Beber)」はボサノヴァの中でも、広く知られている曲の1つ。
ポルトガル語と英語と、2通りの歌詞が付けられています。
まずは作曲者でもあるアントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim)自身よる「おいしい水(Agua de Beber)」
彼は数々の素晴らしい曲を残した作曲者であると同時に、ピアノ、ギターを奏で、時には歌も歌うミュージシャンでもあります。
こちらはアストラッド・ジルベルト(Astrud Gilberto)が歌う「おいしい水(Agua de Beber)」
ギターとコーラスはアントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim)
アメリカと日本では、このアストラッド・ジルベルト(Astrud Gilberto)の歌う「おいしい水(Agua de Beber)」がよく知られていますが、本国ブラジルではアストラッド・ジルベルトはあまり有名ではないとのこと。
なぜならアストラッド・ジルベルトはブラジルでは歌手活動をしておらず、夫(後に離婚)のジョアン・ジルベルト(Joao Gilberto)とアメリカに移住してから、アメリカで歌い始めたから。
アストラッド・ジルベルト(Astrud Gilberto)の元夫のジョアン・ジルベルト(Joao Gilberto)もギタリスト兼ボーカリストですが、スタン・ゲッツ(Stan Getz) と一緒に作ったアルバムで、アメリカにボサノヴァを流行らせた立役者として有名。
アストラッド・ジルベルト(Astrud Gilberto)と感じが似ているかもしれませんが、個人的にはこちらも好きです。
アメリカ人ジャズメンでこの曲を取り上げている人は少なくありませんが、ボサノヴァのノリは、やっぱり本国ブラジル人がお得意とするところ。
とはいえ、この曲、そんなに音域が広くないので、歌いやすい感じもします。
朗々と歌い上げるタイプの曲ではないので、歌唱力もそんなに必要じゃないかも。
ブラジル出身のセルジオ・メンデス(Sergio Mendes)は「おいしい水(Agua de Beber)」をもっとノリノリにしちゃいます。
このノリはジャズメンには出せないかも?
セルジオ・メンデスは最近では、ラッパーを入れたバージョンも演奏していて、歳を重ねても枯れずに攻めのセルジオ・メンデスといった感じ。
楽器のようにヴォイスを自由に操るアル・ジャロウ(Al Jarreau)が歌う「おいしい水(Agua de Beber)」
イントロからパーカッションのようなボイスで、コーラスを独特のノリで歌った後は、自由自在なスキャットを繰り広げます。
彼女の歌には アル・ジャロウの「おいしい水(Agua de Beber)」の影響が見え隠れしているような気がします。
アル・ジャロウ(Al Jarreau)の「おいしい水(Agua de Beber)」が、強烈な印象を残すのは仕方がありません。
曲の冒頭のキーボードの使い方など、アレンジもちょっと影響されている感じ?
でも、彼女は彼女なりで、いい感じです。
エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)が歌う「おいしい水(Agua de Beber)」は、ポルトガル語で歌いますが、ボサノヴァさえもエラ色に染めてしまう、さすがベテランの技。
このほかにも、タニア・マリア(Tania Maria)や、ブラジリアンソウルのディーヴァ、パウラ・リマ(Paula Lima)の歌う「おいしい水(Agua de Beber)」もよいです。
英語の歌詞では
「あなたの愛は雨、私の心は花
私にはあなたの愛が必要、なければ死んでしまうわ」
と歌われる「おいしい水(Agua de Beber)」
ピアノやギターとユニゾンでハモりながらのイントロが印象的な「おいしい水(Agua de Beber)」
リラックスした歌い方で歌われることが多い曲です。