美しくせつない、バラード曲「身も心も(Body and Soul)」
数々の名演奏が残っていますが、その中でもピアノで聴き比べです。
雄叫び系なら、他にもバド・パウエルなどもいますが、志村けん氏に似た声で雄叫びをあげながら弾くのはキース・ジャレット(Keith Jarrett)
個人的にはビル・エヴァンス(Bill Evans)の流れるようなピアノに通じる美しさ、でももっと音の輪郭がはっきりしている感じ。
この「身も心も(Body and Soul)」でも、ソロでスイングしだすあたりから、その雄叫びも聞くことができます。
キース・ジャレット(Keith Jarrett)は慢性疲労症候群を患いながらもいったんは復帰されましたが、2018年には2度の脳卒中を起こされ、今はピアノが弾けない状態だとか。
悲しすぎます。。。。
ハンク・ジョーンズ(Hank Jones)のピアノも、美しい音色では負けていません。
「身も心も(Body and Soul)」を彼のピアノで聴くと、本当に美しい曲だなと再認識させられます。
セロニアス・モンク(Thelonious Monk)は、この美しいバラード曲も、彼お得意のセロニアス色に染め上げます。
彼のお馴染みの、左手での「ブンチャ、ブンチャ」も健在。
コードの響きも、間も、他の演奏とは一線を画す、超個性派の「身も心も(Body and Soul)」
私の大好きなピアニストの1人、ケニー・バロン(Kenny Barron)のソロピアノでの「身も心も(Body and Soul)」は、ちょっとオスカー・ピーターソンを思わせる細かい装飾音で華やかさ満開。
でもパーカッションのような、乱暴とは無縁の力強さが、ケニー・バロンの好きなところ。
ピアノ1本で、聴きごたえ十分。
そのケニー・バロン(Kenny Barron)の師匠でもある、バリー・ハリス(Barry Harris)もソロピアノで奏でます。
子弟でありながら、そしてピアノ1本という同じ演奏スタイルでありながら、そこは演奏者が変われば、また違う「身も心も(Body and Soul)」になっています。
ちなみに、バリー・ハリス(Barry Harris)とケニー・バロン(Kenny Barron)という子弟コンビのツインピアノでも、「身も心も(Body and Soul)」の録音を残しています。
笑い声が入っていたりして、和気あいあいとした雰囲気も伝わってきます。
「先生、僕、うまいこと弾けてるでしょ?」
「なかなか、やるやんけ。でも俺も負けてへんで」
的な感じかなあと、想像したり。
子弟コンビならではの、お互いの手の内を知り尽くした、あうんの呼吸。
超技巧派のアート・テイタム(Art Tatum)の「身も心も(Body and Soul)」は、昔風のラグタイムっぽい感じが、逆に今聴くとおしゃれな感じ。
これは、ベース奏者のチャールズ・ミンガス(Charles Mingus)が、なんとピアノ(しかもソロピアノ!)で演奏して聴かせる「身も心も(Body and Soul)」
ベース奏者なので、音のアプローチが通常のピアニストとは違うような感じもして、おもしろいと思います。
このチャールズ・ミンガス(Charles Mingus)、一見強面で、頑固そうで、ベース一筋の強硬派に見えるのですが、実は器用な人というか、好奇心が強いのか。
ピアノのみならず、歌も歌っていてヴォーカルでもブルース歌手マッツ青の録音を残していたりします。
変拍子のジャズスタンダード曲「テイク・ファイヴ(Take Five)」の作曲者としても知られるデイヴ・ブルーベック(Dave Brubeck)
彼はちょっとひとひねりしてます。
パーカッションをきかせた、アップテンポのラテンっぽい感じで「身も心も(Body and Soul)」を聴かせます。
オスカー・ピーターソン(Oscar Peterson) は、いつもどおり装飾音多めの、華やかな演奏で。
これでもか、と装飾音で攻めてきますが、ちっともうるさく感じないのが、やはり大御所ならではの匠の技。
オスカー・ピーターソンは引っ張りだこだけあって、「身も心も(Body and Soul)」をいろんな人と演奏しています。
バド・パウエル(Bud Powell)はソロピアノではじめて、トリオの演奏へ。
ちょっとだけスイングさせたようなスローバラード。
美しい旋律を、美しく奏でるピアノでの「身も心も(Body and Soul)」
その美しさの表現にも、いろいろあるなあと思わされます。
いろんな美しさを味わえる曲のように思います。
「身も心も(Body and Soul)」のヴォーカル編はこちら。
「身も心も(Body and Soul)」のサックス編はこちら。
「身も心も(Body and Soul)」のサックスとピアノ以外のインスト編はこちら。