今回、ご紹介するのは大江千里さんが書いた本「ブルックリンでジャズを耕す~52歳から始めるひとりビジネス~」です。
大江千里さんは人気シンガーソングライターから、アメリカで活動するジャズピアニストへと転身した人です。
しかも47歳で。
しかも売れっ子だった生活をリセットして。
私は今でも彼のヒット曲「十人十色」のサビの部分は歌えます。
特に熱心なファンではなかった私でも覚えているくらい、ヒットしました。
(↓Spotifyに登録すれば(無料でも可)フル再生できます)
数々のヒット曲を持つシンガーソングライター
大江千里さんは1960年、大阪生まれ。
1983年にシンガーソングライターとしてデビュー。
「十人十色」「格好悪いふられ方」などのヒット曲を持ち、松田聖子さん、光GENJI、渡辺美里さんなどにも曲を提供しています。
2007年までに18枚のアルバムと45枚のシングルを発表。
俳優やテレビの司会、ラジオのパーソナリティなども務めていました。
2008年日本での活動を休止してニューヨークへ
これだけ日本で活躍されていたのに、すべての活動を休止。
2008年、大江千里さんはニューヨークへ渡ります。
そして47歳にして、ジャズを学ぶためにニューヨークのニュースクールへ入学。
そのころのことを書いた本、「9番目の音を探して 47歳からのニューヨークジャズ留学」
52歳でひとりビジネス
ニュースクール卒業後、大江千里さんはブルックリンに住みます。
そして52歳にして、ジャズピアニストとして活動しながら、レーベルを立ち上げ1人で運営されています。
「ブルックリンでジャズを耕す」は、そんな大江千里さんの毎日が書かれています。
ブルックリンに住むということ、アメリカで東洋人がジャズを演奏するということ、ジャズピアニストがどんな生活を送り、どんなふうに仕事をしているのか、そういうことを知ることができる本です。
大江千里さんのホームページ。
「ジャズを耕す」という題名
「ジャズを耕す」という題名。
とっても納得しました。
ジャズを演奏する人は、スケールやコードなど理論も勉強して、それを演奏に生かしていきます。
学んだ理論を演奏に落とし込む過程が、いかにも「耕す」という作業に似ている感じがします。
それにジャズを聴く、ジャズファンにとっても、「ジャズを聴く」という作業を真摯におこなうと、「耕す」ように聴くことになると思います。
最新作ではヒット曲をジャズに
2018年11月現在の最新アルバム収録曲「Boys&Girls」
youtubeで見たインタビューによると、アルバム名にもなった「Boys&Girls」は、日本で新幹線に乗っていた時、乗り込んできた中学生たちの活発さに触発されて作った曲とのこと。
そして、「十人十色」は「10People, 10Colors」、そのほかにも「Rain」、「ワラビー脱ぎ捨てて」は「Wallabee Shoes」となり、ジャズとして生まれ変わっています!
youtubeのインタビューでは、ポップスとジャズを、僕のピアノで融合させたんだという趣旨のこともおっしゃってました。
まさにポップスジャズ、大江千里ジャズ!
ジャズが、クールなほうへ、小難しいほうへと流れていく中、新しい流れだと思います。
とっても新鮮!
ジャズの本場ニューヨークで、東洋人というハンデを背負ってジャズピアニストとして生活するというのはすごいこと。
(なんだかんだと小うるさいニューヨーカーたちは「東洋人にジャズなんてできるの?」と思っていると思います)
大江千里さんは、それまでの日本での成功を捨てて、47歳で一からスタートしたというのもすごいこと。
52歳にして、たった1人でレーベルを立ち上げて運営するというのもすごいこと。
あの、にこにこした笑顔で、これだけのすごいことをやってのけて、現在でもアメリカでジャズピアニストとして生き抜いているといのも、もう、すごすぎです。
「ブルックリンでジャズを耕す~52歳から始めるひとりビジネス~」は、短いエッセイが集まった本なので、寝る前にちょっと読むのによいサイズ。
「明日、私もがんばろう」とちょっとだけ元気になって、一日を締めくくることができる、おすすめの本です。