小粋な切れ味のトランペット ロイ・ハーグローヴの短かった生涯

グラミー賞を2度受賞したジャズトランぺッター、ロイ・ハーグローヴ(Roy Hargrove 1969年~2018年)が2018年11月2日、ニューヨークの病院で亡くなりました。

ロイ・ハーグローヴは以前より腎臓病で透析治療を受けていましたが、ニューヨーク市内の病院で心不全で亡くなったそうです。

まだ49歳という若さ。

これからも、まだまだ第一線で活躍するはずだった年齢です。

彼が亡くなったことは、ジャズ界においても、ジャズ愛好者たちにとっても、大きな損失です。

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グラミー賞を受賞した、キューバ音楽を取り入れたアルバム。

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さまざまな音楽、さまざまなファッション

ストレートなジャズ、古い曲なども演奏する一方、R&Bやヒップホップなども演奏しました。

若いころには、なんとダイアナ・ロス(Diana Ross)のバックでも吹いたことがあるそうです。

ピシッと決めたスーツで、ジャズを演奏するかと思えば、ヒップホップ風なジャズを演奏したときにはラッパーのようなファッション。

ジャズを演奏するときのスーツも、オーソドックスな感じではなく、光沢のある鮮やかな色のスーツだったり、おしゃれな帽子やスニーカーを合わせていたり。

演奏する音楽だけでなく、ファッションや髪形も音楽によって多彩に変える、おしゃれさんでした。

ロイ・ハーグローブの経歴

ロイ・ハーグローブの生い立ち

1969年テキサス州生まれ。

田舎町で生まれ育った彼でしたが、最初のトランペットの先生が彼にジャズを教えます。

芸術系の高校へと進んだ彼に、ジャズ好きだった校長がクリフォード・ブラウン(Clifford Brown)や、フレディ・ハバード(Freddie Hubbard)などのレコードを聴かせます。

そして後進の指導のため高校を訪れたウィルトン・マルサリス(Wynton Marsalis)に、その才能を見いだされます。

高校卒業後は、バークリー音楽大学へ。学生時代からジャズ界で活躍。

卒業後はさらに注目を集め、仕事のオファーがひっきしなしの状態に。

数々の大物たちがロイ・ハーグローブと共演したがり、忙しい彼のスケジュールの空きを順番待ちするほどでした。

テナーサックス奏者のソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)も順番待ちした一人で、ロイ・ハーグローブの才能にほれ込んだあまり、彼の名前の曲を書きました。

それが、この曲と思われます。

深夜にふらっと店にあらわれアマチュアとセッションも

これはニューヨークへ行った人から聞いた話。

ニューヨークに、比較的新しい店ながら、老舗に負けず劣らずいいジャズが聴けるという評判のsmallsというお店があって、そこでは深夜にジャムセッションが行われているそうです。

深夜、そのsmallsのジャムセッションに、なんとロイ・ハーグローブがふらりと登場。

そしてアマチュアや、無名のミュージシャンに混ざって、手抜きなしの演奏でセッションに参加していたのだそうです。

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仕事で吹いていても、プライベートでまた吹きたくなるなんて。

本当にトランペット、音楽を愛していたのだろうなと思います。

 

ロイ・ハーグローヴと言えば、この曲「ストラスブール(Strasbourg)」

彼はバラードもよいです。

ロイ・ハーグローヴのバンド出身のピアニストたち

ロイ・ハーグローヴのバンドに在籍するピアニストには、優秀な人が多いです。

例えばダン・ニマー(Dan Nimmer)

彼は今は、ウィントン・マルサスのバンドに長く在籍しています。

「ストラスブール(Strasbourg)」のころに在籍していたのは、ジェラルド・クレイトン(Gerald Clayton)

ジェラルド・クレイトンも、今ではジョン・スコフィールド(John Scofield )と共演したり、グラミー賞にノミネートされたりと活躍中。

2016年からは日本人のジャズピアニスト海野雅威(うんの ただたか)さん(2008年からニューヨークへ移住)が、ロイ・ハーグローヴのバンドに参加。

ロイ・ハーグローヴと海野雅威さんの出会いも、セッションだったそうです。

ロイ・ハーグローヴが出かけたセッションで、ハンク・ジョーンズ(Hank Jones)に師事したこともある海野雅威さんのピアノを聴いて気に入ったのだとか。

ロイ・ハイグローヴに海野雅威さんを紹介したは、ジミー・コブ(Jimmy Cobb)だという話もあります。

海野雅威さんのピアノは、こんな感じ。

ロイ・ハイグローヴの演奏が、もう聴けないなんて、寂しい限りです。

ジャズ界においても大きな損失。

失ったものの大きさを思うと、残念でたまりません。

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ロイ・ハーグローブのトランペットの音、きれいで好きでした。

うるさくなくて、ほどよくソフトで、つやがあって。

残念。

 

ロイ・ハーグローヴ(Roy Hargrove)の最後のヨーロッパツアーを撮ったドキュメンタリー映画「ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅」を見た感想などは、こちらに書きました。