「But Not For Me」聞き比べ【インスト編】

幸せな恋の歌もあるけど、そういったことは私には無縁。。。と悲しい気持ちを歌う「バット・ノット・フォー・ミー(But Not For Me)」

悲しい恋の歌ですが、アップテンポでもよし、ミディアムスイングでもよし、バラードでもよし、とオールマイティな曲でもあります。

今回はこの「バット・ノット・フォー・ミー(But Not For Me)」の聞き比べ、インスト編です。

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「バット・ノット・フォー・ミー(But Not For Me)」の聴き比べ、ボーカル編はこちらをご覧ください。

「All Of Me」聴き比べ【ヴォーカル編】
ジャズのスタンダートナンバー「オール・オブ・ミー(All Of Me)」。「私のすべてを奪ってよ」と歌うこの曲を、さまざまな歌手で聴き比べです。ジャズの分野だけでなく、エリック・クラプトンとポール・マッカートニーや、日本が誇るブルースバンドの憂歌団も、この曲を取り上げています。

まずは、比較的アップテンポ気味で、軽くスイングさせたレッド・ガーランド(Red Garland)の「バット・ノット・フォー・ミー(But Not For Me)」

超有名アルバム「バグズ・グルーヴ(Bag’s Groove)」に収録。

マイルス・デイヴィス(Miles Davis)、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)ホレス・シルヴァー(Horace Silver)、ケニー・クラーク( Kenneth Clarke)と豪華なメンバーでの演奏による「バット・ノット・フォー・ミー(But Not For Me)」

こちらは、みなまで言うな、みなまで弾かない、沈黙多め、でもその静寂が心地よい、アーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal )の「バット・ノット・フォー・ミー(But Not For Me)」

沈黙多め、静寂多めでもしっかりジャマル的な、リズムとグルーブで聴かせるのがすごいです。

このかた、なんでもアーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal )風にしてしまいます。

そしてそれがアクが強いとか、個性が強すぎる、ということもない。

とにかく何でも楽しくしちゃう感じ。

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いっぽう、アーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal )とは対照的な演奏はこちら。

聴け!という感じの、いい意味での押しの強さを感じるジョン・コルトレーン(John Coltrane) の「バット・ノット・フォー・ミー(But Not For Me)」

印象的なコード進行のリフが、1度聴くと耳から離れなくなります。

ちょっとテンポを落とした、スタン・ゲッツ(Stan Getz)の「バット・ノット・フォー・ミー(But Not For Me)」は哀愁をおびたソフトなテナーサックスが、せつなさを倍増させる感じ。

ソフトなスタン・ゲッツ(Stan Getz)に対して、同じテナーサックスで、ブリブリと野太く力強い、ホットな「バット・ノット・フォー・ミー(But Not For Me)」を聴かせるのが、デクスター・ゴードン(Dexter Gordon )

ケニー・バレル(Kenny Burrell)は、しっとりと美しいバラードで聴かせます。

ギター1本の演奏で、孤独感がよりただよう「バット・ノット・フォー・ミー(But Not For Me)」

通常、曲のはじめに奏でるバースを曲の後半に織り交ぜたり、曲の構成も凝っています。

アップテンポでご機嫌に、まるで自分の失恋を明るく冗談めかして嘆いているかのような「バット・ノット・フォー・ミー(But Not For Me)」は、底抜けに明るいオルガンを弾く、ジミー・スミス(Jimmy Smith)によるもの。

「バット・ノット・フォー・ミー(But Not For Me)」は、かなわぬ恋の悲しさを歌った曲ですが、バラードでもOKだし、ご機嫌にスイングもできる曲です。

まあ、ちょっと陽気に冗談めかしてぼやくこともあるから、スイングでも違和感はなし。

自分の不運を嘆く歌だけど、聴いていて気分っが暗くなる歌でもないし。

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しっとりと悲しみにひたる感じもよし、明るいアップテンポであきらめ気味にぼやく感じで演奏するのもよし。

こんなふうに、同じ曲がミュージシャンによって、いろいろ変化していくのを追っていくのも、ジャズの楽しさだと思います!