クールジャズやビバップのもっと前、スウィング期に活躍したファッツ・ウォーラー(Fats Waller 1904年~1943年)の名盤です。
ビバップやクールジャズが登場するずっと前、ジャズがダンス音楽だったころの人です。
アート・テイタム(Art Tatum)とファッツ・ウォーラーは同時代に活躍したジャズピアニストで、私の中では2人は対になっています。
技巧派で、その卓越したテクニックで聴くものをうならせるクールな感じのアート・テイタム(Art Tatum)に対して、ファッツ・ウォーラーは
「さあみなさん、ご陽気に!ご一緒に楽しみましょう!」
といった感じ。
お客さんをも巻き込んで、一緒に楽しみましょうよ!といった感じを受けます。
とにかくファッツ・ウォーラーの演奏は楽しくて、聴いているとウキウキしてきます。
アート・テイタム(Art Tatum)と同じ時期に活躍したファッツ・ウォーラーは、ピアノとハモンドオルガンを弾き、歌も歌い、映画にも出演し、とエンターテイナーぶりを発揮すると同時に、今でもスタンダード曲として愛される曲を残した、優れたコンポーザーでもありました。
ファッツ・ウォーラーが作った曲と、作ったかもしれない(売り飛ばしたかもしれない)曲についてはこちらに書きました。
ファッツ・ウォーラーの名盤
アート・テイタム(Art Tatum)と同じく、この時代にはアルバムというものがなくSPレコード(片面の録音時間は5分)が主流だったので、今、ファッツ・ウォーラーのアルバムとして存在しているものは、そういったSPレコードやその他の録音を集めて、のちの世に制作されたものです。
なので、だいたいどれも、おいしいどころを集めてあります。
ベリィ・ベスト・オブ・ファッツ・ウォーラー(Very Best of Fats Waller)
その中でも、このアルバムはリマスタードなので、録音状況が悪かった当時の音源としては、比較的きれいで聴きやすいと思います。
曲も「スクイーズ・ミー(squeeze me)」「ハニーサックル・ローズ(Honeysuckle Rose)」「浮気はやめた(Ain’t Misbehavin’)」「ジターバッグ・ワルツ(The Jitterbug Waltz)」と、ファッツ・ウォーラーの代表曲をおさめてあるので、1枚選ぶとすれば、このアルバムかと思います。
(↓Spotifyに登録すれば(無料でも可)フル再生できます)
ザ・エッセンシャル・ファッツ・ウォーラー(The Essential Fats Waller)
このアルバムが捨てがたいのは、ファッツ・ウォーラー自身が歌う「ハニーサックル・ローズ(Honeysuckle Rose)」が入っている点。
全体的に、ファッツ・ウォーラーのヴォーカルを楽しめる内容になっています。
ファッツ・ウォーラーのヴォーカル、とってもよいです。
とにかく楽しそうで、聴いているほうもなんとなく楽しい気分になってきます。
ノスタルジックな、親しみやすい、大衆音楽だったころのジャズは、気軽に構えることなく楽しめます。
ファッツ・ウォーラーが作った曲と、作ったかもしれない(売り飛ばしたかもしれない)曲についてはこちらに書きました。