たった3音で観客をうならせたメリー・スターリングス

メリー・スターリングス(Mary Sallings 1939年~)は、カウント・ベイシー(Count Basie)のバントにも在籍していたこともあるジャズ歌手です。

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メリー・スターリングスは他のミュージシャンに比べると、レコーディングの数は少なく、日本での知名度もいまひとつといった感じです。

でもその歌を聴けば、うむをいわさぬその歌にベテランの域を感じます。

まぎれもなく、すばらしいジャズ歌手です。

メリー・スターリングスに関しては「過小評価されている」という意見があるのもうなずけます。

このアルバムは、メリー・スターリングスが若い時のもの。

ビブラフォン奏者のカル・ジェイダー(Cal Tjader)とのレコーディング。

メリー・スターリングスの若さみなぎるパンチのある感じが、とてもよいです。

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西海岸のジャズのメッカ、サンフランシスコで育つ

メリー・スターリングスの生い立ち

メリー・スターリングスは11人兄弟。

1939年にサンフランシスコで生まれました。

サンフランシスコといえば、アメリカの西海岸でジャズがさかんだった場所。

幼少のころはゴスペルのコーラスグループに参加していたメリー・スターリングス。

音楽に囲まれた環境で、自然とジャズに親しんでいったに違いありません。

10代のころからナイトクラブで歌うようになり、テナーサックスのベン・ウェブスター(Ben Webster)などとも共演。

高校の卒業前にルイス・ジョーダン(Louis Jordan)のバンドに参加します。

その後はディジー・ガレスビー(Dizzy Gillespie) とも共演し、1965年にはモントレー・ジャズフェスティバル(Monterey Jazz Festival)にも出演します。

ちなみにモントレー・ジャズフェスティバルにはその後も 1995年、2003年、2013年と出演しています。

一人娘もソウルシンガー

メリー・スターリングスには一人、娘さんがおられます。

その娘さんエイドリアナ・エヴァンス(Adriana Evans)はソウルシンガー。

親子でシンガーとして活躍中です。

たった3音で観客をうならせるシンガー

LAのジャズシンガー、キャシー・シーガル(Cathy Segal)さんに聞いたエピソード。

ある日、キャシーさんがメリー・スターリングスの歌を聴きに、ジャズクラブへ行ったときのこと。

メリー・スターリングスが歌い始めたとき、はじめのたった3音で、まわりの観客が「Wow…」とため息まじりに圧倒されたとのこと。

とにかく、彼女はすごい!とおっしゃってました。

たった3音でお客さんを驚かせるとは。

生で聴きたい!

でももう高齢だから、無理だろうなあ。。。。

小気味のいいスイングを味わえる「ウォッチング・ユー・ウォッチング・ミー( Watching You Watching Me)」という曲も、おすすめです。

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2014年75歳でレコーディングした「フィーリン・グッド(Feelin’ Good)」

メリー・スターリングスが75歳だった2014年にレコーディング、2015年に発売となった「Feelin’ good」

数々の偉大なミュージシャンたちへのトリビュートがコンセプト。

スタンダード曲や、「アフロ・ブルー(Afro blue)」、カーメン・マクレエ(Carmen McRae)も歌っているセロニアス・モンク(Thelonious Monk)の「モンクズ・ドリーム(Monk’s Dream)」など多彩な選曲になっています。

また共演しているミュージシャンも、現在ニューヨークで最高のリズムセクションと言われている、ベースのピーター・ワシントン(Peter Washington)とドラムのケニー・ワシントン(Kenny Washington)が参加。

今までレコーディングに恵まれなかったのが不思議なくらい、最高のレコーディングとなっています。

メリー・スターリングスのように実力のあるシンガーが、必ずしも有名ではないという事実。

つくづく不思議だなあと思いますが、そこはマーケティングやメディアなどに乗るとか、乗らないとかもあるのかも。

実力と、有名、無名は必ずしも比例しないようにも感じます。

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でもメリー・スターリングスのように、もっと売れていてもおかしくなかったのにと思うシンガーに出会えると、お宝発見!的なうれしさもあります。