ジョー・ウィリアムス(Joe Williams 1918年~1999年)は、カウント・ベイシー・オーケストラ( Count Basie Orchestra)や、ライオネル・ハンプトン・オーケストラ( Lionel Hampton Orchestra)などで活躍した、ジャズシンガーです。
太い低音ヴォイスで、スケールの大きい、洗練されたジャズを歌いました。
ジョー・ウィリアムスは、ジョー・ウィリアムズと表記されるときもあります。
グラミー賞に7度ノミネートされ、1984年にはベストジャズボーカルパフォーマンスでグラミー賞を受賞。
ちなみにビッグ・ジョー・ウィリアムス(Big Joe Williams)というデルタブルースの有名ブルースシンガーもいますが、ジャズシンガーのジョー・ウィリアムスとは別人です。
ジョー・ウィリアムスもブルースは歌いますが、彼はジャズテイスト。
ジャズっぽく聞こえるブルースというか、ブルースをジャズにしてしまう職人技を持っています。
ジョー・ウィリアムスの生涯
ジョー・ウィリアムスの生い立ち
ジョージア州コーディール出身。
ジョー・ウィリアムスが3歳のとき、母親と祖母とともにシカゴに移り住みます。
10代のころに、地元の教会のゴスペルグループに参加。
19歳のころからジョー・ウィリアムスはソロで歌い始めましたが、20代の前半くらいまでは警備員として働いていました。
25歳くらいから数年間の間、ライオネル・ハンプトン・オーケストラ( Lionel Hampton Orchestra)とツアーを行いましたが、その後1940年代の終わりごろから、ジョー・ウィリアムスは体調不良のため、あまり公の場では歌いませんでした。
体調が回復した彼は1954年~1961年の間、カウント・ベイシー・オーケストラ(Count Basie Orchestra)の専属歌手となり、ここでのレコーディングが大ヒット。
有名歌手の仲間入りとなります。
カウント・ベイシー・オーケストラとは、離れた後もたびたび共演。
またジョー・ウィリアムスは映画にも出演。
俳優としても活動し「セサミストリート」にも何度か出演しました。
バークリー音楽大学から名誉音楽博士号を授与。
また後進のために、ウィリアムズは妻のジリアンと友人と共に、才能のある若い音楽家に奨学金を提供する非営利のジョーウィリアムズ毎日財団( Joe Williams Every Day Foundation to offer scholarships )を設立しました
80歳で亡くなるまで、ジャズシンガーであり続けました。
なぜジョー・ウィリアムスの設立した財団の名前が「毎日財団( Every Day Foundation )」かというと、彼のヒット曲「エヴリディ・アイ・ハヴ・ザ・ブルース(Everyday I Have the Blues)」にひっかけていると思われます。
ブルースのスタンダード曲ですが、ジョー・ウィリアムスが歌うと、洗練され洒落た雰囲気に。
「エヴリデイ・アイ・ハヴ・ザ・ブルース(Everyday I Have the Blues)」はブルースのスタンダード曲です。
ブルースシンガーが歌うとこんな感じ。
BBキングのバージョンです。
ジョー・ウィリアムスの名唱&名曲
カウント・ベイシー・オーケストラ(Count Basie Orchestra)の在籍中に、ジョー・ウィリアムスは2曲のヒットを飛ばします。
1つは「エヴリデイ・アイ・ハヴ・ザ・ブルース(Everyday I Have the Blues)」で、もう1つがこの「オールライト・オーケー・ユー・ウィン(All Right, OK, You Win)」
アフリカ系アメリカ人のシンガーなら、こってりと歌いそうなこの曲を、ジョー・ウィリアムスはさっぱり目に、小粋な感じで。
ジョー・ウィリアムスの低音ヴォイスがさえわたる、バラード曲。
偶然出会った別れた恋人に、「元気?」とさりげなく言いながらも、心の奥ではまだ思い続けているという、せつない曲。
ジョー・ウィリアムスの歌は、そんな悲しみを押し殺している感じの職人芸。
この曲の作曲家はジョー・ウィリアムスに歌ってほしくて、ジョー・ウィリアムスも気にってレコーディングしたかったのに、所属レコード会社がゴーサイン出さなくて、すったもんだしているうちに、シャーリー・ホーン(Shirley Horn)が先にレコーでイングしちゃって売れちゃったと言われてる「ヒアズ・トゥ・ライフ(Here’s to Life)」
こういう歌は、ある程度、お年を召したかたでないと、こういう味は出ないと思います。
ちなみにシャーリー・ホーン(Shirley Horn)が歌ったバージョンはこちら。
ジョー・ウィリアムスの歌は、洗練されたジャズ。
洗練されていながらも、ブルースのフィーリングはしっかり残っているように思います。
大きく、スケールの大きさを感じさせるスイング感。
紳士淑女がおしゃれして聴きに行く、そんな雰囲気のジャズだと思います。