辛口マイルス・デイヴィスも絶賛 シャーリー・ホーンの生涯と名唱

シャーリー・ホーン(Shirley Horn 1934年~2005年)は、ため息まじりというか、高音が鼻声のような、息を抜くような歌い方が特徴的です。

晩年を除いては、たいていピアノの弾き語りのスタイルで、ベース、ドラムを従えたピアノトリオのスタイル。

大人っぽい、そして女性らしい、しなやかでたおやかな雰囲気のジャズを歌いました。

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ぎゅっと言葉を凝縮して歌ったり、逆に広くスペースを取ったり、歌のフレージングも彼女特有のもののように思います。

シャーリー・ホーンの歌も素晴らしいのですが、シャーリー・ホーンが歌を歌いながら弾くピアノは伴奏の域を超え、ビル・エヴァンス(Bill Evans)に匹敵するテクニックだったと言われています。

めったに人を誉めないマイルス・デイヴィス(Miles Davis) がほれ込み、シャーリー・ホーン名義のアルバムにサイドマンとして参加したということは、彼女がどれだけ優れたジャズシンガーだったかの証明だと思います。

 

シャーリー・ホーンといえばこの曲。ジョー・ウィリアムス(Joe Williams)がレコーディングしようとしていたのに、先にレコーディングしちゃったみたいです。それでジョー・ウィリアムスはずいぶん悔しがったのだとか。

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シャーリー・ホーンの生涯

シャーリー・ホーンの生い立ち

ワシントンDCで生まれ、育ちました。

アマチュアのオルガニストだった祖母の影響で、シャーリー・ホーンも4歳でピアノのレッスンを受け始めました。

たった12歳でハワード大学でピアノと作曲を学び、ジュリアード大学への進学も進められましたが、経済的な理由で断念。

20歳のときにはじめてピアノトリオを結成します。

すっかりジャズのとりことなったシャーリー・ホーンは、法的にはまだジャズクラブに出入りできる年齢ではありませんでしたが、こっそり出入りします。

やがてニューヨークの小さなレコード会社からお呼びがかかり、シャーリー・ホーンはそこでレコーディング。

そのレコードを聴いたんだったか、ツアー中にワシントンDCでシャーリー・ホーンの演奏を聴いたんだったか、そのあたりは忘れましたが、とにかくシャーリー・ホーンはマイルス・ディヴィスの目にとまります。

辛辣な批評は言うものの、めったに他のジャズメンを誉めないマイルス・デイヴィスがシャーリー・ホーンを称賛したうえに、自分のライブの前座にも起用。

マイルスが他のジャズメンを前座に起用するなど、他に類をみないことでした。

1960年代後半から1980年の初めにかけては、シャーリー・ホーンはワシントンDCで、音楽活動よりも子育てを優先しました。

1978年にアルバムをレコーディングしたのち、シャーリー・ホーンは徐々にジャズシーンに復帰。

晩年は乳がん、糖尿病による足の切断なども乗り越え、車いすに乗って音楽活動をおこないました。

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シャーリー・ホーンの名唱&名曲

1991年発売のアルバム「ユー・ウォント・フォーゲット・ミー( You Won’t Forget Me)」では、なんとマイルス・デイヴィス(Miles Davis)がサイドマンンとして参加。

マイルス・デイヴィスがチャカ・カーン(Chaka Khan)やプリンス(Prince)などを招いて共演したというのはあったと思いますが、他人名義のアルバムにマイルス・デイヴィスがサイドマンとして参加なんて、チャーリー・パーカー(Charlie Parker) とシャーリー・ホーンくらいだと思います。

チャーリー・パーカー(Charlie Parker) はマイルスの先輩だけど、シャーリー・ホーンは後輩、という立場でのすごさ。

ルバートでサビから入って、そのあとコーラスの頭に戻って、インテンポのバラード。

マイルスにささげられたアルバムの収録曲ゆえか、テンポもただよう雰囲気もマイルス風で、それが心憎い。

ちなみにこの赤いラインで書かれたイラストは、マイルス・デイヴィスが書いたものだとか。

バックで演奏しているロイ・ハーグローヴ(Roy Hargrove)のトランペットが、マイルスを彷彿させます。

このレイ・チャールズ(Ray Charles)の大ヒットナンバーを収録した、レイチャールズのトリビュートアルバム「ライト・アウト・オブ・ダークネス( Light Out of Darkness)」はビルボードジャズチャートでナンバー1を獲得。

シャーリー・ホーンのピアノの腕がどれだけすごいかというと、カーメン・マクレエ(Carmen McRae)のアルバムではピアニストとして呼ばれていることでもわかります。

この瓶が並んだジャケットの「ザ・メイン・イングリーディンツ(The Main Ingredient)」は、一時期頻繁に聴いてました。

シャーリー・ホーンの自宅に招いてセッションしたという内容。

招かれたミュージシャンが、ロイ・ハーグローヴ(Roy Hargrove)、ジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson)、エルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)など超豪華。

私は「フィーヴァー(Fever)」はシャーリー・ホーンのバージョンが1番好きです。

そしてシャーリー・ホーンが歌うこの曲もお気に入り。

たまに日本の(若干海外も)ジャズシンガーで

「どう?私(僕)ってすごいでしょ?」

という感じのドヤ顔で歌っていたり、

「今、私(僕)ものすごーく難しいことしてるのよ」

とばかりに、難しいことをこなしている自分をアピールしたいのか、しかめっつらで難しそうな顔をして歌っていたりするのを見かけます。

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シャーリー・ホーンは、さらっと簡単そうに歌ったりピアノを弾いたりしていますが、たぶん難しいことを簡単そうにやっているんじゃないかと思っていて、そこに美学を感じます。