「あなたのことを愛しすぎている私は、まるで木の上で、どうしていいか分からなくなっている子猫よ」と歌う「ミスティ(Misty)」
続いて「あなたが歩けばバイオリンの音色が聞こえてくる、でもそれはあなたが言った『ハロー』かもしれないわね」と歌い、かなり恋の病が重症化しているようす。
メロディも、うっとり感を感じさせるメロディ。
そんな「ミスティ(Misty)」のボーカルでの聴き比べです。
「ミスティ(Misty)」のインスト編の聴き比べは、こちらです。
私の場合、「ミスティ(Msty)」はサラ・ヴォーン(Sarah Vaughan)のヴァージョンが、一番好きです。
彼女の声質にとても合う曲なのではないでしょうか。
深く豊かな声で、朗々と歌い上げるミスティ。
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こちらは、そのサラ・ヴォーン(Sarah Vaughan)に捧げられたアルバムから。
サラとは友人でもあったカーメン・マクレエ(Carmen McRae)が、フェイクしまくって歌う「ミスティ(Misty)」
このアルバムがカーメン・マクレエの最後のレコーディングとなりました。
ちなみにピアノはシャーリー・ホーン(Shirley Horn)
シャーリー・ホーンはこのアルバムでは歌わず、ピアノに徹しています。
土岐麻子さんは、通常美しいバラードで歌われるこの曲を、軽快なボサノバで歌います。
アップテンポになって、ガラッと表情を変えても「ミスティ(Misty)」の曲の魅力は変わりません。
エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)は、サラと同じくしっとりとバラードで歌いますが、歌う人が変わるだけで、同じバラードがまた違って聞こえます。
ジュリー・ロンドン(Julie London)の「ミスティ(Misty)」もバラードですが、エラやサラに比べるとさらっと小粋な感じ。
大人の、きっぷのいいお姉さんが、つぶやくように歌う感じ。
ジョニー・マティス(Johnny Mathis)の「ミスティ(Misty)」は、軽めのポップスっぽい感じが漂うバラード。
いい意味で、さらっと気軽に聴ける感じです。
一瞬、耳を疑ってしまいますが、これもまぎれもなく「ミスティ(Misty)」
この曲を、軽快なカントリーにしようなんて発想に、まず驚きます。
そして、よく歌いこなせたなあとびっくり。
レイ・スティーブンス(Ray Stevens)のバージョンは、きっと作曲者のエロル・ガーナー(Erroll Garner)も、草葉の陰で驚いておられることでしょう。
ジャズはなんでもあり!
そして音楽に垣根はない!
「アット・ラスト(At Last)」のヒットで知られるブルース歌手エタ・ジェームス(Etta James)が歌う「ミスティ(Misty)」は、うねりを感じさせます。
「私を見て~(Look at me~)」と皆が優しく歌い出す中、エタは
「なあなあ、私を見てんか!なんや木の上のわけわからんようになった子猫の気分やねん!」
と歌っている感じ。
まさかこの曲で、シャウトするなんて!と目からうろこな聞き心地です。
ダイアン・リーヴス(Dianne Reeves)は正統派の感じで、しっとりバラードで歌います。
彼女の「ミスティ(Misty)」は、サラやエラよりスイートさが少し多めで、いい感じです。
その他、サミー・デイヴィスJr(Sammy Davis Jr.)は、ギター1本で切々と歌い上げていますし、ナット・キングコール(Nat King Cole)、フランク・シナトラ(Frank Sinatra)なども歌っています。
最後に恥ずかしながら私が歌ったミスティです。
長年趣味として下手の横好きで歌っているだけなので、あたたかい気持ちで聞いていただけると嬉しいです(笑)
甘く歌ったり、朗々と歌い上げたり、ささやくように歌ったり。
歌の内容的にも、いろんな歌い方ができる曲のようにも思います。
「私を見て。木の上の子猫の気分なの」
どんなに体格が立派なシンガーが歌っても、この歌詞が自然に響くのは曲の力か。
普通に会話にこのセリフが出てきたら
「何言うとんねん。ええ歳して」
と言われそう(笑)