「サテンドール(Satin Doll)」聴き比べ【ピアノ編】

デューク・エリントンが作曲し、多くのジャズメンが演奏した「サテンドール(Satin doll)」。

デューク・エリントンらしい、洗練された華やかさを持つこの曲。

多くの楽器で演奏されていますが、もともとはピアニストのデューク・エリントン(Duke Ellington)が作曲したせいか、この曲を取り上げるピアニストが多いように思います。

スポンサーリンク

今回は「サテンドール(Satin Doll)」をピアノの演奏で聴き比べます。

 

セロニアス・モンク(Thelonious Monk)の「サテンドール(Satin Doll)。セロニアス・モンク独特の、子供がふざけて弾いているようにも感じる彼の独特の間が、この曲にまた違うテイストを付け加えています。

※アップルミュージックに登録しなくても「再生」をクリックすると、曲の一部を試聴できます。Internet Explorer(インターネットエクスプローラー)で再生できない場合は、ブラウザをGoogle Chrome(グーグルクローム)やMicrosoft Edge(マイクロソフト エッジ)などに変更してください。

オスカー・ピーターソン(Oscar Peterson)のピアノは、いつ聴いても華やかだなと思うのですが、この曲では水を得た魚というか、思いっきり華やかな感じの演奏だと思います。

個性的な演奏はええねん、さっぱりとしたのんが聴きたいねん、という気分のときには、アクの強さとは無縁のマッコイ・ターナー(McCoy Tyner)による「サテンドール(Satin Doll)」

軽快なスイングで、ちょっとさわやかめな感じ。

端正でキレの良さを感じるデューク・ジョーダン(Duke Jordan)の「サテンドール(Satin Doll)」

まだ世に出る前のハービー・ハンコック(Herbie Hancock)や、難波にあった老舗ジャズクラブst.Jamesのピアニスト田中武久さんも、若いときによくコピーしたというジョージ・シアリング(George Shearing)

英国紳士だけあって、気品を感じる「サテンドール(Satin Doll)」

ベースのロン・カーター(Ron Carter)とギターのラッセル・マローン(Russell Malone)、ピアノのドナルド・ヴェガ(Donald Vega)で奏でる「サテンドール(Satin Doll)」

さすが超ベテランのロンカーターが率いるトリオだけあって、洗練された大人のしゃれた世界です。

このドン・シャーリー(Don Shirley)の「サテンドール(Satin Doll)」はお宝発見!といった感じ。

この演奏を聴くと、クラシック、ジャズという分野をとび越えた、ドン・シャーリー(Don Shirley)という人の天才的な才能を感じてしまいます。

ドン・シャーリーは、1950~1960年のまだ人種差別が公然として存在していたアメリカで、クラシック、ジャズのピアニストとして、また作曲家として活躍した人。

彼は南部にツアーに出るために、ナイトクラブの用心棒トニーを雇いました。

そうです。2019年2月公開の映画「グリーンブック(Green Book)」の主人公のモデルとなった人です。

スポンサーリンク

この人のピアノはまがいもなくジャズなのですが、個人的にブルースのフィーリングも感じています。

 

レイ・ブライアント(Ray Bryant)の「サテンドール(Satin Doll)」はソロ・ピアノ。

アップテンポで力強さを感じさせます。

ミシェル・ペトルチアーニ(Michel Petruccianiの「サテンドール(Satin Doll)」もソロピアノですが、弾く人が違うと、同じ曲でもこんなに違うのか、という見本。

ちなみにミシェル・ペトルチアーニは、「サテンドール(Satin Doll)」を、父親のギタリスト、トニー・ペトルチアーニ(Tony Petrucciani)とも演奏しています。

力強いピアノといえば、このかたも。

力強さを感じさせながらも、音がきれい。ジョン・コルトレーン(John Coltrane)の「ジャイアント・ステップ」や、ジャズ・メッセンジャーズ( Jazz Messengers)でウェイン・ショーター(Wayne Shorter)などと一緒に活躍した、シダー・ウォルトン(Cedar Walton)。

アップテンポ気味で、軽快な「サテンドール(Satin Doll)」です。

イギリス出身で、ピアノ、ヴィブラフォン、作曲もこなし、マイルス・デイヴィス(Miles Davis )と一緒に「セヴン・ステップ・トゥ・ヘヴン(Seven Steps to Heaven)」を作曲したことでも知られるヴィクター・スタンリー・フェルドマン (Victor Stanley Feldman)の「サテンドール(Satin Doll)」

パド・パウエル(Bud Powell)の「サテンドール(Satin Doll)」。

麻薬やアルコール中毒に苦しみ、精神障害(統合失調症)まで患っていたと言われる彼。

この録音は、ヨーロッパに渡り、麻薬やアルコールから脱却して好調な時期だったと言われるときのもの。

プローデュースは、この曲の作曲者でもあるデューク・エリントン(Duke Ellington)

テディ・ウィルソン(Teddy Wilson)の「サテンドール(Satin Doll)」は、ちょっと昔のラグタイム風な感じも織り交ぜながら。

キュートさと、懐かしさを感じさせる演奏です。

以上、「サテンドール(Satin Doll)」をピアノの演奏で聴き比べてみました。

 

演奏者によって、同じピアノでもずいぶん雰囲気が変わります。

でも演奏者が変わっても、この曲の持つ華やかさは色あせないように思います。

スポンサーリンク

「サテンドール(Satin Doll)」のボーカルでの聴き比べはこちら。

「サテンドール(Satin Doll)」聴き比べ【ヴォーカル編】
「サテンドール(Satin Doll)」をボーカルで聴き比べしました。もともとインストルメンタルとして作曲され、後で歌詞がつけられた曲。この曲に魅了されて、どうしても歌いたくなったんだろうなあと思います。

「サテンドール(Satin Doll)」のサックスでの聴き比べはこちら。

「サテンドール(Satin Doll)」聴き比べ【サックス編】
ピアニストであるデューク・エリントンが作曲した「サテンドール(Satin Doll)」。ピアニストのみならず、サックスプレイヤーにも愛される曲のようで、サックスの演奏も数多く残されています。いろんなサックスプレイヤーの「サテンドール(Satin Doll)」を聴き比べてみました。

「サテンドール(Satin Doll)」のベースでの聴き比べはこちら。

「サテンドール(Satin Doll)」の聴き比べ【ベース編】
デューク・エリントン作曲の「サテンドール(Satin Doll)」さまざまな楽器で演奏されている曲ですが、ベースでメロディラインを弾いている演奏もいくつか見つかりました。「サテンドール(Satin Doll)」をベースの演奏で聴き比べしてみました。

「サテンドール(Satin Doll)」のピアノ、サックス、ベース以外のインストでの聴き比べはこちら。

「サテンドール(Satin Doll)」の聴き比べ【番外編】
ジャズの超スタンダード曲「サテンドール(Satin Doll)」の聴き比べ、インスト(ピアノ、ベース、サックス以外)編です。オルガン、ギター、クラリネット、さまざまな楽器で演奏されています。ディスコサウンド風にアレンジされたものまでありました。