「あなたが私のところに来てくれたら、私も輝き出すはず。なんて高い月なのかしら」と、愛する人を、手が届かない、高い月に例える「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」
アップテンポで歌えばスリリングな感じに、スローで歌ってもしっとりといい感じの歌に。
この曲をボーカルで聴き比べです。
この「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」の超有名バージョンといえばこれ。
チャーリー・パーカー(Charlie Parker)の「オーニソロジー」は、この「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」とコード進行が同じなのですが、エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)は「オーニソロジー」のチャーリー・パーカー(Charlie Parker)のソロをスキャットで再現しています。
アマチュアのセッション時のみならず、プロのヴォーカリストでも、スキャットもそのままコピーして歌う人、多し。
(日本のヴォーカルさんだけの現象で、海外のプロのヴォーカルはコピーをそのまま人前で歌うことはないとは思いますが)
(↓Spotifyに登録すれば(無料でも可)フル再生できます)
![](https://i0.wp.com/open.spotifycdn.com/cdn/images/og-image.548bc4b7.png?resize=320%2C180&ssl=1)
ジューン・クリスティ(June Christy)のハスキーボイスで歌う「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」もいい感じです。
アニタ・オディ(Anita O’Day)の場合は、ハスキーボイスというか酒やけした、だみ声というか。
でも、その声がいい感じ。
サラ・ヴォーン(Sarah Vaughan)は、オーケストラをバックに、かなりのアップテンポで歌います。
サラ・ヴォーン(Sarah Vaughan)には、他のバージョンもあって、こちらはジャズ・バー「ミスターケリーズ」(大阪にもライセンス契約している、同名のお店があります)での録音。
こちらは、歌詞を一部変えていて(本人も歌っていますが歌詞がうろ覚えらしく)「この歌を楽しんでもらえるといいんだけど~」「エラも歌ってるわね~」と歌っていて、ジャズクラブという気安さか、お客さんへのサービス精神にあふれていて、アットホームな感じです。
そしてエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)とはまた違うスキャットを聴かせます。
こちらはディスコサウンドになった「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」
「恋のサバイバル(I Will Survive)」などのヒット曲で知られる、グロリア・ゲイナー(Gloria Gaynor)が歌っています。
同じく、若いころには「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー?(Do You Love Me?)」などのディスコ調の曲をヒットさせて、ブイブイいわせていたパティ・オースティン(Patti Austin)姉さんも、近頃はすっかりジャズ歌手が定着。
幼少のころ、洗礼で、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)とダイナ・ワシントン(Dinah Washington)が代理父母を務めたというのですから、もともとジャズは身近な音楽だったようです。
パティ姉さんは、エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)のスキャットを一部そのままコピーして再現していますが、これはアルバムタイトルにあるとおり、エラへのトリビュートかと思われます。
今聴くと、カントリーロック調?な感じの「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」に驚いてしまいますが、当時かなりヒットしたんだそうです。
ギターのレスポール(Les Paul)は、ギブソンが彼のモデルとして「レスポール(Les Paul)」というギターを作成しています。
レスポールがトリオで演奏する「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」は、インスト(ピアノとサックス以外)編で視聴できます。
![](https://i0.wp.com/jazz.fifkoblog.com/wp-content/uploads/2019/03/cac195b09963765c91f42047167b3a43_s.jpg?resize=320%2C180&ssl=1)
マンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer)はレス・ポール(Les Paul)とメリー・フォード(Mary Ford)のバージョンをカヴァー。
でもカヴァーと言っても、そこはコーラスグループですから、ロック色は少し弱まって、よりジャズっぽい、小粋な仕上がりに。
曲のアレンジもテンポも、レスポール(Les Paul)の「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」とそのもの。
ところがマンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer)の手にかかかると、まったく違う雰囲気になります。
なぜマンハッタン・トランスファーが歌うだけで、ジャズっぽくなっちゃうのか、不思議。
キーリー・スミス(Keely Smith)の歌は、なんとなくたよれる姉御肌って感じがします。
その姉御肌な感じの歌で、カウントベイシーオーケストラをバックに、バラードで歌う「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」
バラードで歌われると、片思いのせつなさがより濃厚になる感じ。
ダイアン・リーヴス(Dianne Reeves)も「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」をバラードで歌っています。
キーリー・スミスはちょっとビートを感じるバラードですが、ダイアン・リーヴスは、しっとりとした、よりスローなバラードで1コーラスの歌いきり。
ジョージ・クルーニーが監督した映画「グッドナイト、グッドラック(Good Night, Good Luck)」のサントラ盤に収録されています。
でもダイアン・リーヴス(Dianne Reeves)は、同じ「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」をアップテンポのラテンな感じにして、歌ってもいます。
同じ曲を、こんなに変えて歌えるなんて!
日系2世のパット鈴木もバラードで歌っています。
エンディングの繰り返しが、消え入るような印象で曲にぴったりです。
この「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」には、「恋に落ちるまでは、私の暮らしは気楽だったの。月光はただの結構だったし、そよ風はただのそよ風だっ。」と歌う、美しいヴァースがあるのですが、メル・トーメ(Mel Torme)はこのヴァースをギターだけで歌って、コーラスからはベースをきかせたアレンジで、せつないバラードにしています。
思わずその声に惚れてしまいそうになる、低音の魅力満開な、ビリー・エクスタイン( Billy Eckstine)の「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」
クリス・コナー(Chris Connor)もヴァースから歌います。
レゲエ?な感じなのですが、ピアノのトミー・フラナガン(Tommy Flanagan)をはじめ、メンバーはまぎれもなくジャズメンたちです。
ヴォーカルのミッチェル・ヘンドリックス(Michele Hendricks)は、ヴォーカリーズスタイルのシンガー、ジョン・ヘンドリックス(Jon Hendricks)の娘さん。
その他、ベティ・カーター(Betty Carter)がハンク・ジョーンズ(Hank Jones)のピアノで歌う横で、若かりしときのロイ・ハーグローヴ(Roy Hargrove)が一生懸命?ペットを吹いている映像もありました。
その録音があるかどうかは不明です。
他にも、探せばきりがないくらいありそう。
「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」のピアノでの聴き比べはこちら。
![](https://i0.wp.com/jazz.fifkoblog.com/wp-content/uploads/2019/03/cac195b09963765c91f42047167b3a43_s.jpg?resize=320%2C180&ssl=1)
「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」のサックスでの聴き比べはこちら。
![](https://i0.wp.com/jazz.fifkoblog.com/wp-content/uploads/2019/03/cac195b09963765c91f42047167b3a43_s.jpg?resize=320%2C180&ssl=1)
「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」のピアノとサックス 以外のインストでの聴き比べはこちら。
![](https://i0.wp.com/jazz.fifkoblog.com/wp-content/uploads/2019/03/cac195b09963765c91f42047167b3a43_s.jpg?resize=320%2C180&ssl=1)