ジャズのセッションで取り上げられることも多い曲の1つ「枯葉(Autumn Leaves)」
ジャズメンに好まれる曲ですが、もともとはフランスで生まれた曲。
シャンソンです。
当時フランスで人気歌手だったジュリエット・グレコ(Juliette Gréco)がこの曲を歌って、フランスで大ヒットとなりました。
ちなみにジュリエット・グレコ(Juliette Gréco)は、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)と一時期、恋仲だった人。
そのジュリエット・グレコ(Juliette Gréco)が歌っている、シャンソン版の「枯葉(Autumn Leaves)」
(原題は「レ フェイユ モルトゥ(Les Feuilles mortes)」)
英語版ではあまり歌われることのない、ヴァースから歌っています。
シャンソン版だと、若いときの淡谷のり子さんも歌ってます。
この「枯葉(Autumn Leaves)」を、ジャズの歌もので聴き比べします。
「枯葉(Autumn Leaves)」聴き比べ(ヴォーカル編)
1950年に初めて英語の歌詞の「枯葉(Autumn Leaves)」を歌ったのはビング・クロスビー(Bing Crosby)
いかにもな、悲しさをあおるようなアレンジ。
ジャズになった「枯葉(Autumn Leaves)」のジャズでのヴォーカルものだと、まずナット・キング・コール(Nat King Cole)でしょうか。
奇をてらうことなく、ストレートに歌っています。
ナット・キング・コールはあまりフェイクしないし、発音もきれいに発音するので、英語の発音をチェックしたり、歌をコピーしたりするのにもおすすめ。
娘さんのナタリー・コール(Natalie Cole)も歌っています。
ドリス・デイ(Doris Day)もゆったりと、バラードで。
サラ・ヴォーン(Sarah Vaughan)の「枯葉(Autumn Leaves)」は、超高速テンポで、しかも1コーラス目から終始、高速スキャットでぶっとばします。
(個人的には、このサラのスキャットが、ギターのジョー・パスに似てるっぽい感じもします)
2013年1月にマイアミで行われた、コンサート。
チック・コリア(Chick Corea)、ボビー・マクファーリン(Bobby McFerrin)、テレンス・ブランチャードなどのジャズメンの他、ポップス界やクラシック、オペラ界のミュージシャンやシンガーが集結して、ヘンリー・マンシーニ・オーケストラ(Henry Mancin Orchestra)をバックに、コラボレーションしたという、なんとも贅沢なコンサートだったようです。
そこでのボビー・マクファーリン(Bobby McFerrin)は「枯葉(Autumn Leaves)」を、チック・コリア(Chick Corea)とデイヴ・グルーシン(Dave Grusin)と、ベースとドラムも交えて歌っています。
ボビー・マクファーリン(Bobby McFerrin)はヴォイスを楽器のように駆使するタイプのシンガーですが、ここではあまりいじり倒すことなく、彼にしては珍しく思うくらいに素直な感じで歌っています。
ボビー・マクファーリン(Bobby McFerrin)が歌う「枯葉(Autumn Leaves)」には、チック・コリア(Chick Corea)とデュオでの別バージョンもあります。
こちらもライブ盤ですが、最初の5分くらいはお客さんへのサービスで、ちょっとボビー・マクファーリン(Bobby McFerrin)が遊んでいますが、5分すぎたころから気合の入ったスキャットで、これぞボビー・マクファーリン(Bobby McFerrin)!という感じのパフォーマンスを聴くことができます。
ジャズになった「枯葉(Autumn Leaves)」1番有名と思われる演奏は、アルバム「サムシン・エルス(Somethin’ Else)」に収録されているバージョンかと思います。
この「サムシン・エルス(Somethin’ Else)」は、マイルスの契約上の問題があって、一応、キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)名義になっていますが、実質的にはマイルス・デイヴィス(Miles Davis)のリーダー作と言われています。
「サムシン・エルス(Somethin’ Else)」に収録されている「枯葉(Autumn Leaves)」は、インスト編で試聴していただけます。
「サムシン・エルス(Somethin’ Else)」に収録されている「枯葉(Autumn Leaves)」の演奏がどれだけ有名かというと、たとえば、いろんな人がこのときの演奏の有名なリフを自分の演奏に取り入れたりします。
ジャズシンガーのラシェル・フェレル(Rachelle Ferrell)は、その有名なイントロのリフをそのまま再現。
ただラシェル・フェレルなので、そのイントロから、果敢にヴォイスでからみます。
(ラシェル・フェレルの歌う「枯葉(Autumn Leaves)」の音源は見つかりませんでしたm(_ _)m)
ディー・ディー・ブリッジウォーター (Dee Dee Bridgewater)はヴァースをフランス語で歌った後、コーラスは英語で歌っています。
トランぺッターのケニー・ドーハム(Kenny Dorham)は歌も歌って、合間にトランぺットも吹いてます。
働き者!
ジャズシンガーだけじゃなくて、ブルースロック界の、ギター小僧だちの憧れ、エリック・クラプトンも歌ってます。
なぜかボブ・ディラン(Bob Dylan)も歌っています。
ちょっとジャズに手を出してみようかっていうときに、手軽な曲なんでしょうか。
(なんて言ったら、ちょっと失礼かも。ごめんなさい)
ジョニー・マティス(Johnny Mathis)はスローなラテンで。
私はこのエヴァ・キャシディ(Eva Cassidy)というシンガーがとても好きです。
何を歌っても、他の人とはまったく違います。
聴きなれた曲を、まったく違う曲のように調理して、しっかりそこに心情ものせて歌っていて、聴くたびに感動します。
エヴァ・キャシディ(Eva Cassidy)が歌う曲は、一瞬
「これ枯葉?」
ととまどうのですが、よく聴くとしっかり「枯葉(Autumn Leaves)」
そして、とてもせつなくてよいです。
エヴァ・キャシディ(Eva Cassidy)はジャズ、フォークミュージック、ゴスペル、カントリー、ブルースを融合したような、彼女独自の歌を歌うシンガーです。
1992年にデビューしましたが、これからというときの1996年に皮膚癌により亡くなりました。
お馴染みの聞き慣れた曲を
「え?この曲をそんな風に歌うの!」
といい意味で驚かせてくれるシンガーだったので、生きていてくれたら、と残念でたまりません。
今回、探してみると「枯葉(Autumn Leaves)」のインストの演奏は結構見つかるのですが、ジャズヴォーカルでは案外見つかりませんでした。
ジャズシンガーには敬遠される曲なのでしょうか?
「枯葉(Autumn Leaves)」のインストでの聴き比べは、こちらに書きました。