ナンシー・ウィルソン(Nancy Wilson 1937年~2018年)は、音をフラットに引っ張るように伸ばす歌い方が特徴。
その細いスマートなからだから、ほとばしるようなエネルギッシュな、パワフルなボーカルです。
それでいてエレガントなロングドレスが似合う、大人のムードが漂うジャスシンガーです。
私のお気に入りは、はじけんばかりの勢いのあるナンシー・ウィルソンのボーカルが聴けるこの曲。
好きな人への想いを歌ったこの曲を、ナンシー・ウィルソンは情感たっぷりに歌い上げます。
ナンシー・ウィルソンの生涯
ナンシー・ウィルソンの生い立ち
オハイオ州出身。6人兄弟の長女。
幼いころより、父親の所有するレコードでビリー・エクスタイン(Billy Eckstine)、ナット・キングコール(Nat King Cole)などを聴いて育ちます。
子供のころから教会の聖歌隊で歌っていたナンシー・ウィルソンは、15歳のとき、地元のテレビ局が主催するコンテストで優勝。
15歳から高校を卒業するまでは、地元のジャズクラブで歌いました。
その後はビッグバンドのボーカルとしてツアーに参加。
キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)のすすめもあり、1959年にニューヨークへと移り、1960年にレコードデビューをはたしました。
キャノンボール・アダレイとはアルバムも録音。
歌手としてのみならず、ドラマや映画で女優としても活躍。
ナンシー・ウィルソン自身のテレビ番組「ナンシー・ウィルソン・ショー」は、エミー賞を受賞。
グラミー賞は3度受賞しました。
ナンシー・ウィルソンの名唱&名曲
レコーディングを好んだと言われるナンシー・ウィルソン。
その生涯で70枚以上のアルバムをリリースしました。
個人的に、ステージングもふくめて、プロフェッショナルを感じるシンガーです。
ナンシー・ウィルソンは1960年にこの曲をレコーディング。
「今日、誰に会ったと思う?」と帰宅した夫に話しかけ、話が進んでいくと結末は「浮気相手とレストランにいるあなた(夫)だった」という悲しいオチのこの曲。
カーメン・マクレエ(Carmen McRae)のバージョンも好きなのですが、ナンシー・ウィルソンの歌は、悲しさとせつなさに可憐さがプラスされた感じ。
「時々幸せ、時々憂鬱。それはあなた次第なの」と歌う「サムタイムス・アイム・ハッピー(Sometimes I’m Happy)」
ビリー・ホリディ(Billie Holiday)も歌うこの曲を、ナンシー・ウィルソンは軽快に歌います。
「今夜教えて」と歌う「ティーチ・ミー・トゥナイト(Teach Me Tonight)」
これはビッグバンドで歌っているバージョンですが、コンサートでベースとデュオの、ちゃめっけたっぷりに歌う動画を見たことがあります。
ジョージ・シアリング(George Shearing)のピアノで、しっとりと、可憐な声で歌いあげるバラードです。
パンチの効いた歌で、ぐいぐいとスイングさせ、バラードでは一転してしっとりと歌い上げるナンシー・ウィルソン。
そして、とても華やかな雰囲気を持つシンガーだと思います。
ナンシー・ウィルソンは、ジャズピアニストのハンク・ジョーンズが率いるグレート・ジャズ・トリオともレコーディングやコンサートをおこなっています。
ハンク・ジョーンズの洗練されたピアノと、 のエレガントさも、相性ピッタリです。