ジャズピアニストのアート・テイタム(Art Tatum 1909年~1956年)の名盤です。
アート・テイタムを初めて聴いたとき、あまりの早弾きに
「これ、1人で弾いてる?」
と度肝を抜かれました。
現に、ハンク・ジョーンズのような一流のジャズピアニストですら、ラジオでアート・テイタムの演奏を聴いたときには
「少なくても3人で弾いていると思った」
そうです。
元祖ビバップのチャーリー・パーカーは
「アート・テイタムが右手で弾いているように、サックスを吹きたい」
と思ったそうですし
同業者のジャズピアニストたちは
「私はただピアノを弾いてるだけにすぎなかったのだ」(ファッツ・ワラー)
「世界中のピアニストを集めて演奏させ、最後にアート・テイタムに演奏させる。そうすれば彼以外は全員アマチュアだとわかる」(テディ・ウイルソン)
「第二のテイタムが現れる可能性は、第二のモーツァルトが登場するより可能性が低い」(デイブ・ブルーベック)
「私はテイタムのレコードは全て持っているが聴かない。もし聴けばピアニストをやめたくなってしまうから」(ケニー・バロン)
とのきなみ、アート・テイタムの演奏のすごさに打ちのめされたかのようなコメント。
アート・テイタムの演奏は、ジャズメンたちだけでなく、クラシックの指揮者や有名ピアニストの度肝も抜き、アート・テイタムが演奏する会場の客席には、そういったプロの姿も見られたそうです。
アート・テイタムの名盤
ピアノ・スターツ・ヒアー(Piano Starts Here)1933年/1949年
1曲目~4曲目までは1933年の録音で、残りは1949年。
この当時は、録音技術が今とは比べ物にならないものでしたし、SPレコード(片面の録音が5分程度)が主流でアルバムやLPレコードが出てくるのはもっと後の時代なので、この当時のジャズメンはアルバムを出していません。
後に、SPレコードや他の録音を集めて、アルバムにしたといった感じです。
この「ピアノ・スターツ・ヒアー(Piano Starts Here)」も、後から集めてアルバムにしました。
でも、それだけにアート・テイタムのおいしい演奏を集めた感じで、聴きごたえ十分。
またアート・テイタムを聴いたことがない人には、ぜひぜひおすすめしたい1枚。
聴いてびっくりしてください。
(↓Spotifyに登録すれば(無料でも可)フル再生できます)
超高速ピアノなのに、テンポはキープ。
どこも崩れないし、破綻がない。
すごいです。
しかもピアノ1本で、これだけの演奏しちゃうんだものなあ!