チェット・ベイカー(Chet Baker 1929年~1988年)の名盤のご紹介(前編)です。
なるべく人気の高いもの、有名なものを取り上げます。
(前編)では、チェット・ベイカーのヴォーカルものを中心に取り上げます。
チェット・ベイカーの名盤(前編)
チェット・ベイカー・シングス(Chet Baker Sings) 1954年
チェット・ベイカーのアルバムで1番有名と思われるのが、若い時のチェット・ベイカーの歌声を聴くことができる「チェット・ベイカー・シングス(Chet Baker Sings)」です。
ジャズ初心者におすすめのアルバムとして、取り上げられることも多いように思います。
ばりばりのジャズを聴きなれた耳には普通過ぎて退屈かもしれませんが、その場合は後で紹介する「いつか王子様が(Someday My Prince Will Come)」やを「キャンディ(Candy)」お試しください。
とはいえ、収録曲の「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」のチェット・ベイカーのささやくような歌声は、ホレる確率高し!
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メンバーは、ヴォーカルとトランペットのチェット・ベイカー、ピアノのラス・フリーマン(Russ Freeman)、ベースは1~6曲目までがジミー・ボンド(Jimmy Bond 本名はジェイムズ・ボンド(James Bond))、7~11曲目までと13~14曲目がカーソン・スミス(Carson Smith)、12曲目がジョー・モンドラゴン(Joe Mondragon)、ドラムは1、2、5曲目がピーター・リットマン(Peter Littman)、3、4、6曲目がローレンス・マラブル(Larance Marable)、7~14曲目が ボブ・ニール(Bob Neel)
チェット・ベイカー・シングス・アンド・プレイズ(Chet Baker Sings and Plays)1955年
「チェット・ベイカー・シングス(Chet Baker Sings)」の「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」もいいのですが、私はこの「チェット・ベイカー・シングス・アンド・プレイズ(Chet Baker Sings and Plays)」の「レッツ・ゲッツ・ロスト(Let’s Get Lost)」と「ジャスト・フレンズ(Just Friends)」の2曲が超お気に入りです。
2,4,6,9曲目は弦楽器やフルートなどが入るので、少しラグジュアリーな感じ。
メンバーは、ヴォーカルとトランペットのチェット・ベイカー(Chet Baker)、ピアノのラス・フリーマン(Russ Freeman)、ベースは2,4,6と9曲目がレッド・ミッチェル(Red Mitchell)、1,3,5~8,10と11曲目がカーソン・スミス(Carson Smith)、ドラムは ボブ・ニール(Bob Neel)
2,4,6と9曲目には、弦楽器やフルート、ハープが入ります.
メンバーが多いので、以下割愛。
イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー(It Could Happen to You)1958年
「チェット・ベイカー・シングス(Chet Baker Sings)」や、「チェット・ベイカー・シングス・アンド・プレイズ(Chet Baker Sings and Plays)」よりも、この「イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー(It Could Happen to You)」のほうが好きという意見も少なくないようです。
「イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー(It Could Happen to You)」のほうがよりポップで聴きやすい、西海岸でなくニューヨークで録音されているから雰囲気がいつもと違う、ピアノがケニー・ドリュー(Kenny Drew)だからいいなど、さまざまな理由があげられますが、チェット・ベイカーの、あのソフトな声でのスキャットが聴けるのも大きな一因かと思います。
メンバーは、ヴォーカルとトランペットのチェット・ベイカー(Chet Baker)、ピアノのケニー・ドリュー(Kenny Drew)、ベースは1,2,5,7,8,14曲目がジョージ・モロー(George Morrow)、3,4,6と9~13曲目がサム・ジョーンズ(Sam Jones)、ドラムは1,2,5~8,10~14曲目がフィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones)、3,4,9曲目がダニー・リッチモンド(Dannie Richmond)
いつか王子様が(Someday My Prince Will Come)1983年
1979年にレコーディングされ、1983年にデンマークのレーベルからリリースされました。
上記3枚のアルバムに満足できなかったかたには、この「いつか王子様が(Someday My Prince Will Come)」は特におすすめ。
ベースがニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセン(Niels-HenningØrstedPedersen)なので、全体的にクオリティ高めな感じ。
チェット・ベイカーの歌もののアルバムは、ともすると商業主義的なにおいがしがちですが、このアルバムに関しては大衆受けしようともくろむ商業主義的なにおいはほぼしません。
チェット・ベイカーも曲によっては、純粋にトランペットに専念していたりします。
チェット・ベイカーが、実はトランぺッターとしてもイケてるということの証明のような、アルバムです。
メンバーは、ヴォーカルとトランペットのチェット・ベイカー(Chet Baker)、ギターのダグ・ラニー(Doug Raney) 、ベースのニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセン(Niels-HenningØrstedPedersen)
キャンディ(Candy)1985年
この「キャンディ(Candy)」でも、チェット・ベイカーはときに歌わずにトランペットに専念したりしていて、このクールなトランペットもいいなあと思っています。
チェット・ベイカーは若い時に「チェット・ベイカー・シングス(Chet Baker Sings)」で世間にヴォーカルのイメージを植え付けられちゃった感じですが、若いときからこのアルバムのようにトランペットの合間にちょっとだけヴォーカルというスタイルで売り出してもらえてたら、トランぺッターとしてのチェット・ベイカーにもっと注目が集まったんじゃないかと思ってしまいます。
「キャンディ(Candy)」はドラムレスで、トランペット、ピアノ、ベースという構成で、しんみり感高めな感じも好きです。
メンバーは、ヴォーカルとトランペットのチェット・ベイカー(Chet Baker)、ピアノのミシェル・グレイエ( Michel Graillier)、ベースのジャン=ルイ・ラスインフォッセ(Jean-Louis Rassinfosse)
チェット・ベイカーの歌に関しては、個人的には、若いときの甘い歌声もいいのですが、歳を重ねてからのしゃがれ声での歌声のほうが好きです。
チェット・ベイカーはヴォーカルもので商業的に成功しちゃったから、トランぺッターとしての活躍が制限されてしまったように思えてなりません。
(後編)では、トランぺッターとしてのチェット・ベイカーを堪能できる名盤アルバムをご紹介しています。
チェット・ベイカーの映画については、こちら。