トランペットも吹けば、歌も歌うチェット・ベイカー(Chet Baker 1929年~1988年)。
その甘く切ないヴォーカルだけでも、ホレさせるのに、トランペットも吹くのですから、チェット・ベイカーが若いときには、ライブ会場の前に、若い女性たちがながーい列を作ったそうです。
チェット・ベイカーのヴォーカルに関しては、若いときの甘い声もよいのですが、晩年の枯れた声で歌う歌も、味わい深くてよいです。
こちらの(後編)では、チェット・ベイカーのジャズ名盤アルバムの中で、ジャズトランぺッターとしてのチェット・ベイカーに焦点を当てたものをご紹介します。
チェット・ベイカーのジャズヴォーカルを堪能できる、ジャズ名盤アルバムは(前編)でご紹介しています。
チェット・ベイカーの名盤(後編)
チェット(Chet) 1959年
「チェット(Chet)」は参加しているメンバーがとにかく豪華。
ギターがケニー・バレル(Kenny Burrell)で、ピアノがビル・エヴァンス(Bill Evans)というだけで、美しい演奏は約束されたようなもの。
チェット・ベイカーはこのアルバムでは一切歌わず、トランペッターに徹しています。
「チェット(Chet)」はバラードやスローな曲を集めたアルバムなのですが、チェット・ベイカーのトランペットで聴くバラードは、とにかくよいです。
(↓Spotifyに登録すれば(無料でも可)フル再生できます)
メンバーは、トランぺットのチェット・ベイカー(Chet Baker)、フルートのハービー・マン(Herbie Mann 1,2,4,5,7,9,10曲目に参加)、バリトンサックスのペッパー・アダムス(Pepper Adamus 1,2,4,5,7,9,10曲目)、ピアノのビル・エヴァンス(Bill Evans 1,2,4,5,7~10曲目)、ギターのケニー・バレル(Kenny Burrell 3,6曲目)、ベースのポール・チェンバース(Paul Chambers 全曲参加)、ドラムのコニー・ケイ(Connie Kay 1~3と5~7曲目)とフィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones 4と8~10曲目)
ダイアン(Diane) 1985年
デンマークで録音したアルバム「ダイアン(Diane)」
ピアノとのデュオで、ひっそりとした静寂に包まれる中、ソフトなチェットのペットが映える名盤です。
この「ダイアン(Diane)」でもチェット・ベイカーはほぼトランペットに専念していて、ヴォーカルを取るのは「ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド(You Go to My Head)」の1曲のみですが、これが「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」と甲乙つけがたいくらいの、せつなさ満載の歌で最高です。
メンバーは、トランぺットとヴォーカルのチェット・ベイカー(Chet Baker)、ピアノのポール・ブレイ(Paul Bley)
チェット・ベイカー&クルー(Chet Baker&Crew) 1957年
この「チェット・ベイカー&クルー(Chet Baker&Crew)」でも、チェット・ベイカーは1曲だけ歌って、ほぼトランペットに専念しています。
このアルバムでのチェットのトランペットは、ちょっと違います。
チェット・ベイカーと言えば、歌も演奏もソフトで優しいイメージですが、この「チェット・ベイカー&クルー(Chet Baker&Crew)」ではビバップに取り組んでいます。
いつもと少し違うチェット・ベイカーですが、人気の高い名盤です。
メンバーは、ヴォーカルとトランペットのチェット・ベイカー(Chet Baker)、テナーサックスのフィル・ウルソ(Phil Urso)、ピアノのボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)、ベースのジミー・ボンド(Jimmy Bond)、ドラムのピーター・リットマン(Peter Littman)、ティンパニーのビル・ラフバラ(Bill Loughborough 1,9,12曲目に参加)
スタン・ゲッツ&チェット・ベイカー(Stan Getz &Chet Baker:The Stockholm Concerts)1983年
1983年のストックホルムでのコンサートのライブ盤。
チェットベイカーとスタン・ゲッツ(Stan Getz)は何度か一緒に共演していますが、実は2人は仲が悪かったのだとか。
仲が悪いことが、演奏には影響しないのが音楽のおもしろいところ。
でもこのストックホルムでのコンサートが、2人の最後の共演となりました。
メンバーは、トランペットとヴォーカルのチェット・ベイカー(Chet Baker)、テナーサックスのスタン・ゲッツ(Stan Getz)、ピアノのジム・マクニーリー(Jim McNeely)、ベースのジョージ・ムラーツ(George Mraz)、ドラムのビクター・ルイス(Victor Lewis)
ザ・ルート(The Route) 1989年
トランぺッターに徹してヴォーカルを封印したチェット・ベイカーと、アート・ペッパー(Art Pepper)の共演。
小粋なスイングを楽しめる名盤です。
リリースは1989年ですが、50年代のチェット・ベイカーとアート・ペッパーの共演をまとめたものです。
チェット・ベイカーとアート・ペッパーの共演だと、1956年の「プレイボーイズ(Playboys)」のアルバムも有名です。
メンバーは、トランペットのチェット・ベイカー(Chet Baker)、アルトサックスのアート・ペッパー(Art Pepper)、ベースのリロイ・ヴィネガー(Leroy Vinnegar)、ドラムのスタン・リーヴィ(Stan Levey)、ピアノのピート・ジョリー(Pete Jolly)、テナーサックスのリッチー・カミューカ(Richie Kamuca)
その他、日本では「枯葉」と呼ばれている「She Was Too Good to Me」というアルバムや、名盤と人気が高いです。
チェット・ベイカーのジャズヴォーカルを堪能できる、ジャズ名盤アルバムは(前編)でご紹介しています。
チェット・ベイカーの映画については、こちらに書きました。