ジャズシンガー、エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald 1917年~ 1996年)の名盤アルバムの(後編)です。
前半では、エラ・フィッツジェラルドの名盤の中でも、特に有名なアルバムをご紹介しました。
後編はその次くらいに有名なもの、個人的におすすめなもの、人気の高いアルバムなどをご紹介します。
前編はこちら。
エラ・フィッツジェラルドのジャズ名盤アルバム(後編)
コール・ポーター・ソング・ブック(Ella Fitzgerald Sings the Cole Porter Song Book)1956年
「コール・ポーター・ソング・ブック(Ella Fitzgerald Sings the Cole Porter Song Book)」は、1956年~1964年にエラ・フィッツジェラルドが録音した「グレート・アメリカン・ソングブック(The Great American Songbook)」の8歌集シリーズの第一弾としてリリースされました。
このアルバムはグラミー賞の殿堂入りしています。
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メンバーは、入れ替わり立ち代わりで多人数のため割愛。
ちなみに、「グレート・アメリカン・ソングブック(The Great American Songbook)」の他の7作は
- 「ロジャース&ハート・ソングブック(Ella Fitzgerald Sings the Rodgers & Hart Songbook)」1956年
- 「デューク・エリントン・ソングブック(Ella Fitzgerald Sings the Duke Ellington Songbook)」1957年
- 「アーヴィング・バーリン・ソングブック(Ella Fitzgerald Sings the Irving Berlin Songbook)」1958年
- 「ガーシュイン・アンド・アイラ・ガーシュウィン・ソングブック(Ella Fitzgerald Sings the George and Ira Gershwin Songbook)」1959年
- 「ハロルド·アーレン・ソングブック(Ella Fitzgerald Sings the Harold Arlen Songbook)」1961年
- 「ジェローム・カーン・ソングブック(Ella Fitzgerald Sings the Jerome Kern Songbook)」1963年
- 「ジョニー マーサー(Ella Fitzgerald Sings the Johnny Mercer Songbook)」1964年
サムワン・トゥー・ウォッチ・オーヴァー・ミー(Someone To Watch Over Me)2017年
エラ・フィッツジェラルドとロンドン交響楽団?と不思議に思っていたら、この「サムワン・トゥー・ウォッチ・オーヴァー・ミー(Someone To Watch Over Me)」は、ロンドン交響楽団の演奏にエラの歌声をかぶせた、エラの生誕100年を記念した企画もの。
楽しいのは、3曲目と9曲目ではエラとサッチモことルイ・アームストロング(Louis Armstrong)がデュオで、オーケストラをバックに歌っていること。
オーケストラがバックというだけで、エラとサッチモのデュオもまた違って聴こえるから不思議です。
1曲目では、エラとはまったく世代が違い顔を合わせることなど不可能なグレゴリー・ポーター(Gregory Porter)の歌声との合成デュオも楽しめます。
録音技術のなせる業です。
エラ・アブラサ・ジョビン(Ella Abraça Jobim/Ella Fitzgerald Sings the Antonio Carlos Jobim Songbook)1981年
エラ・フィッツジェラルドが、全曲ジョアン・ジルベルトの曲を歌ったのが、「エラ・アブラサ・ジョビン(Ella Abraça Jobim/Ella Fitzgerald Sings the Antonio Carlos Jobim Songbook)」です。
ホサノヴァと言えば、ジョアン・ジルベルト(Joao Gilberto)や他の女性ヴォーカルにおいてもソフトなささやくような癒し系の声で歌うのが定番。
ところがどっこい、エラ・フィッツジェラルドが歌うボサノヴァは、そんな定番なんか無視。
エラが歌うのは、いつもの力強さで、でもいつもよりは少しリラックスしたムードのボサノヴァです。
このガツンとパンチの効いたボサノヴァが、またいいんです。
メンバーは、ヴォーカルのエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)、トランペットのクラーク・テリー(Clark Terry)、テナーサックスのズート・シムズ(Zoot Sims) 、ハーモニカのトゥーツ・シールマンス(Toots Thielemans)、キーボードのクラセンス・マクドナルド(Clarence McDonald)、ギターのジョー・パス(Joe Pass)など、その他も大勢。
エラ・イン・ブタペスト(Ella in Budapest)1970年
若い時に、もう何回聴いたかわからないくらい聴いたアルバム。
個人的にエラ・フィッツジェラルドという人は、スタジオ録音よりもライブ録音でお客さんを目の前にしたほうが、ノリノリ度が高いように感じます。
この「エラ・イン・ブタペスト(Ella in Budapest)」は、まず選曲が楽しい。
「サテン・ドール(Satin Doll)」というような王道ジャズスタンダードナンバーに織り交ぜて、バート・バカラック(Burt Bacharach)作曲の「ディス・ガイ(This Guy’s in Love with You)」、ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ (Blood, Sweat & Tears)の「スピニング・ホイール(spinning wheel )」などのポップスや、ミュージカル曲の「キャバレー(Cabaret)」「雨にぬれても(Raindrops Keep Fallin’ on My Head)」「ピープル(People」などを歌います。
どれも聴きなれたナンバーながら、エラの歌で聴くとまた新鮮。
メンバーは、ヴォーカルのエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)、ピアノのトミー・フラナガン(Tommy Flanagan)、ベースのフランク・デ・ラ・ロサ(Frank DeLaRosa)、ドラムのエド・シグペン(Ed Thigpen)
さらにおすすめしたいエラ・フィッツジェラルドのアルバム
しっとり系のエラを聴くなら
- 「ソングス・イン・ア・メロウ・トーン(songs in a mellow mood)」1954年
ジョー・パスとのデュオの全作
- 「テイク・ラヴ・イージー(Take Love Easy )」1973年
- 「スピーク・ロウ( Speak Love )」1983年
- 「イージー・リヴィング(Easy Living)」1986年
ブルースっぽいエラを聴くなら
- 「ファイン・アンド・メロウ(Fine and Mellow)」1974年
- 「ブルエラ:エラフィッツジェラルド・シングス・ザ・ブルース(Bluella: Ella Fitzgerald Sings The Blues)」1996年
いつものノリノリなエラを聴くなら
- 「アット・ザ・モントルー・ジャズ・フェスティバル1975(Ella Fitzgerald At The Montreux Jazz Festival 1975)」1975年
- 「モントルー(Montreux ’77)」1977年
完璧主義のエラ・フィッツジェラルドなので、好調不調の差はないし、結局どのアルバムを聴いてもハズレはないと思います。
エラ・フィッツジェラルドの名盤(前編)はこちら。
エラ・フィッツジェラルドの生い立ちや生涯については、こちらに書きました。
(前編)
(後編)
エラ・フィッツジェラルドの名曲についてはこちら
(前編)
(後編)