ヨーロッパでロマの一族に生まれたギタリスト・ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt)
アメリカから来たジャズに、自分が所属するロマ(ジプシーの音楽)を融合させて「ジプシージャズ」(ジプシースイングとも言います)という分野を誕生させたのは、彼です。
ギタリストとしてのキャリアの初期に火事でやけどを負い、左手の3本の指だけしか動かないという障害が残ります。
もうギターは弾けないと皆が思う中で、ジャンゴ・ラインハルトは残った3本の指でギターを弾く彼独自の奏法を編み出し、それを個性に変えました。
そのジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt )を描いた映画と、彼のドキュメンタリー映画、それからジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt )の名前だけ登場する映画、の3本をご紹介します。
2017年公開「永遠のジャンゴ(Django)」
1943年、ナチス・ドイツに占領されたパリ。
ロマ(ジプシー)の一族に生まれたジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt )は、幼いころよりギターやバンジョーを奏でて収入を得ていましたが、ジャズを知ってからはジャズに傾倒。
ロマの音楽を取り入れた、どことなく郷愁を誘うようなジプシージャズを演奏し始めます。
それまで聴いたこともなかった新しいジャズはパリで歓迎され、ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt )は人気者になります。
「永遠のジャンゴ(Django)」は、彼がナチス占領下のパリで演奏していた2年間に焦点を当てた映画です。
ジャンゴをはじめとするロマ(ジプシー)たちは、自分たちの土地を持たず、各地を自由に放浪しているため、「国のために戦う」という戦争の大義名分がなく、自分たちは戦争と関係ないという立場でした。
ところが、パリを占領しているナチスは、ユダヤ人のみならず、ジャンゴたちジプシーも迫害していきます。
いやがおうでも戦争に巻き込まれていくロマたち。
ギタリストとして人気を博している彼は、仲間を迫害するナチスの前でも演奏することにもなります。
そんなジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt )が、ナチス占領下のパリで苦悩しながら、演奏を続けるさまを描いた映画です。
もちろん、ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt )の映画ですから、白熱した演奏のシーンなど音楽的にも見ごたえ十分。
今まで、彼の奏でるジプシージャズに、熱さを帯びた悲しみのようなものを感じることがありましたが、この映画を見ると納得。
仲間を理不尽に殺された悲しみや怒りを、ずっと抱えていたのかもしれません。
それにしても、タイトルの「永遠のジャンゴ」はうまいなと思います。
タイトルどおり、ジャンゴは永遠。
今聴いても色あせず、相変わらず心はずみます。
ドキュメンタリー映画「Sur les pas de Django au coeur d’un héritage」
この映画は見てませんが、Pascal Signolet(パスカル・シニョレ)とMichel Lefort(ミシェル・ルフォール)がジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt )の、52分間のドキュメンタリー映画を作成したそうです。
フランス映画です。
ジャン・コクトーが「人間の声のギターだ」と言った、ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt )のギター。
ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt )の誕生後、1世紀たって彼の残した遺産をたどっていきます。
対戦中、強制収容された収容所で過ごすロマたちの姿や、街角で演奏するジプシーたちなど貴重な映像で構成されているようです。
【番外編】「ギター弾きの恋」では名前だけ出演
エメット・レイという架空のギタリストが主人公。
彼はアメリカ人ながらジプシージャズを演奏し、「ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt )が世界で一番の天才で、自分はその次の二番目に天才」と信じているうぬぼれやです。
この映画に、ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt )は出て来ません。
エメット・レイのセリフの中に、名前が出てくるだけです。
でも映画は、ジプシージャズに彩られています。
うぬぼれやだけど、どこか憎めないエメット・レイと、口がきけない女性ハッティとの恋模様を描いた映画です。
エメット・レイを演じたショーン・ペンは、アカデミー主演男優賞にノミネートされました。
監督はウッディ・アレン監督。
「ギター弾きの恋」はU-NEXTでも見れるようです。
(本ページの情報は2024年6月時点のものです。
最新の配信状況は 公式サイトにてご確認ください)
ジャンゴ・ラインハルトのジプシージャズは映画によく溶け込みます。
そのため、数々の映画にジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt )の音楽が使われます。
映画を見ていると
「これ、ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt )の演奏かも」
と思うような音楽が、流れてきたりします。
聴いていると、なんだか懐かしい感じや、ノスタルジックな気分になってくるジプシージャズ。
ジャンゴがいなかったら、ジプシージャズは誕生しませんでした。
ジプリージャズが聴けるのは、ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt )のおかげです。
ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt )についてはこちらに書いています。