エタ・ジェイムズ(Etta James 1938年~2012年)はジャズシンガーではありません。
ブルースやR&Bを歌った人です。
パンチのきいた、腹の底からシャウトするような歌声は、ダイレクトに聴き手の心の中に飛び込んでくるかのようです。
エタ・ジェイムズのヒット曲「アット・ラスト(At Last)」は、多くの人にカヴァーされています。
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そんな彼女ですが、実はジャズも歌っていて、彼女の歌うブルースっぽいジャズが味わい深くていいんです。
エタ・ジェイムズの生涯については、こちらに書きました。
エタ・ジェイムズが歌うジャズの名盤はこちら。
名盤 https://jazz.fifkoblog.com/etta-james/
エタ・ジェイムズの名曲
エタ・ジェイムズは「ミステリー・レイデイ(Mystery Lady)」のほかにも、ジャズを歌ったアルバム「タイム・アフター・タイム(Time After Time)」をリリースしています。
シンディ・ローパーのヒット曲のほうじゃなくて、ジャズのスタンダード曲の「タイム・アフター・タイム(Time After Time)」。この曲をブルースな感じで歌うセンスに脱帽。
この曲はジャズスタンダードですが三連でソウルっぽく歌われることも多い曲。エタ・ジェイムズはあえてのスイング。それでもエタ色に染まっています。
ちゃんとスイングしているんですが、ブルースっぽいんです。「ナイト・アンド・デイ(Night and Day)」が、こんなにブルージイになるなんて。それがたまらなくいい!
まぎれもなくジャズなんですが、ジャズ・シンガーにはこういうフィーリングで歌うのは難しいかと思います。
ギター1本で歌う「マイ・ファニーヴァレンタイン(My Funny Valentine)」。このエタ・ジェイムズの歌のかっこよさ。途中間奏で、マイルスのようなソフトなトランペットが入るとこもニクイ。
エタ・ジェイムズの歌のすごいところは、ひかえめに語り掛けるように歌っているときでさえ、腹から出しているような声に聴こえるところだと思います。
ブルース色が強いエタ・ジェイムズですが、この曲ではわりにジャズ色が濃いように思います。
この「ラヴァー・マン(Lover Man)」に漂う、深い孤独感とあたたかさ。
エタ・ジェイムズは、この「ラヴァー・マン(Lover Man)」をバリバリのブルースにもすることができます。同じ曲!
好き嫌いは別れるかもしれませんが「ミスティ(Misty)」を、エタ・ジェイムスはシャウトして歌っています。誰が、この曲をシャウトして歌おうと思うでしょうか。エタ・ジェイムズはそれをやってのけちゃう、肝っ玉の持ち主。
エタ・ジェイムズの腹の底から出してる声で歌うジャズは、ジャズシンガーが歌うジャズとはまったく違います。
「この曲を、そんなふうに歌うのかあ!」
と感動しっぱなし。
エタ・ジェイムズの歌うジャズを聴いたときには、衝撃で、一時期、この人ばかり聴いてました。
エタ・ジェイムズと同じチェス・レコードに所属していたこともあるローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のギタリスト、キース・リチャーズ(Keith Richards)はエタ・ジェイムズについて
「エタ・ジェイムズの声は天国と地獄、両方を知ってる声だ」
と語ったそうです。そして
「あの声、あのスピリット、あのソウル、あれはまさに不滅だよ」とも。
「最近、私、弱ってるなあ」「なんだか流されてる」「退屈だ」というような時に聴けば、ガツンとくるエタ・ジェームスのジャズに、活を入れてもらえる感じがします。
今聴いても、何度聴いても、新鮮に聴ける。
エタ・ジェイムズのジャズはそんな感じだと思います。
エタ・ジェイムズの生い立ちや生涯については、こちらに書きました。
エタ・ジェイムズが歌うジャズの名盤はこちら。
名盤 https://jazz.fifkoblog.com/etta-james/