「あなたが私のところに来てくれたら、私も輝き出すはず。なんて高い月なのかしら」と、愛する人を、手が届かない、高い月に例える「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」
アップテンポで歌えばスリリングな感じに、スローで歌ってもしっとりといい感じの歌に。
この曲をボーカルで聴き比べです。
この「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」の超有名バージョンといえばこれ。
チャーリー・パーカー(Charlie Parker)の「オーニソロジー」は、この「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」とコード進行が同じなのですが、エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)は「オーニソロジー」のチャーリー・パーカー(Charlie Parker)のソロをスキャットで再現しています。
アマチュアのセッション時のみならず、プロのヴォーカリストでも、スキャットもそのままコピーして歌う人、多し。
(日本のヴォーカルさんだけの現象で、海外のプロのヴォーカルはコピーをそのまま人前で歌うことはないとは思いますが)
(↓Spotifyに登録すれば(無料でも可)フル再生できます)
ジューン・クリスティ(June Christy)のハスキーボイスで歌う「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」もいい感じです。
アニタ・オディ(Anita O’Day)の場合は、ハスキーボイスというか酒やけした、だみ声というか。
でも、その声がいい感じ。
サラ・ヴォーン(Sarah Vaughan)は、オーケストラをバックに、かなりのアップテンポで歌います。
サラ・ヴォーン(Sarah Vaughan)には、他のバージョンもあって、こちらはジャズ・バー「ミスターケリーズ」(大阪にもライセンス契約している、同名のお店があります)での録音。
こちらは、歌詞を一部変えていて(本人も歌っていますが歌詞がうろ覚えらしく)「この歌を楽しんでもらえるといいんだけど~」「エラも歌ってるわね~」と歌っていて、ジャズクラブという気安さか、お客さんへのサービス精神にあふれていて、アットホームな感じです。
そしてエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)とはまた違うスキャットを聴かせます。
こちらはディスコサウンドになった「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」
「恋のサバイバル(I Will Survive)」などのヒット曲で知られる、グロリア・ゲイナー(Gloria Gaynor)が歌っています。
同じく、若いころには「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー?(Do You Love Me?)」などのディスコ調の曲をヒットさせて、ブイブイいわせていたパティ・オースティン(Patti Austin)姉さんも、近頃はすっかりジャズ歌手が定着。
幼少のころ、洗礼で、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)とダイナ・ワシントン(Dinah Washington)が代理父母を務めたというのですから、もともとジャズは身近な音楽だったようです。
パティ姉さんは、エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)のスキャットを一部そのままコピーして再現していますが、これはアルバムタイトルにあるとおり、エラへのトリビュートかと思われます。
今聴くと、カントリーロック調?な感じの「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」に驚いてしまいますが、当時かなりヒットしたんだそうです。
ギターのレスポール(Les Paul)は、ギブソンが彼のモデルとして「レスポール(Les Paul)」というギターを作成しています。
レスポールがトリオで演奏する「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」は、インスト(ピアノとサックス以外)編で視聴できます。
マンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer)はレス・ポール(Les Paul)とメリー・フォード(Mary Ford)のバージョンをカヴァー。
でもカヴァーと言っても、そこはコーラスグループですから、ロック色は少し弱まって、よりジャズっぽい、小粋な仕上がりに。
曲のアレンジもテンポも、レスポール(Les Paul)の「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」とそのもの。
ところがマンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer)の手にかかかると、まったく違う雰囲気になります。
なぜマンハッタン・トランスファーが歌うだけで、ジャズっぽくなっちゃうのか、不思議。
キーリー・スミス(Keely Smith)の歌は、なんとなくたよれる姉御肌って感じがします。
その姉御肌な感じの歌で、カウントベイシーオーケストラをバックに、バラードで歌う「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」
バラードで歌われると、片思いのせつなさがより濃厚になる感じ。
ダイアン・リーヴス(Dianne Reeves)も「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」をバラードで歌っています。
キーリー・スミスはちょっとビートを感じるバラードですが、ダイアン・リーヴスは、しっとりとした、よりスローなバラードで1コーラスの歌いきり。
ジョージ・クルーニーが監督した映画「グッドナイト、グッドラック(Good Night, Good Luck)」のサントラ盤に収録されています。
でもダイアン・リーヴス(Dianne Reeves)は、同じ「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」をアップテンポのラテンな感じにして、歌ってもいます。
同じ曲を、こんなに変えて歌えるなんて!
日系2世のパット鈴木もバラードで歌っています。
エンディングの繰り返しが、消え入るような印象で曲にぴったりです。
この「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」には、「恋に落ちるまでは、私の暮らしは気楽だったの。月光はただの結構だったし、そよ風はただのそよ風だっ。」と歌う、美しいヴァースがあるのですが、メル・トーメ(Mel Torme)はこのヴァースをギターだけで歌って、コーラスからはベースをきかせたアレンジで、せつないバラードにしています。
思わずその声に惚れてしまいそうになる、低音の魅力満開な、ビリー・エクスタイン( Billy Eckstine)の「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」
クリス・コナー(Chris Connor)もヴァースから歌います。
レゲエ?な感じなのですが、ピアノのトミー・フラナガン(Tommy Flanagan)をはじめ、メンバーはまぎれもなくジャズメンたちです。
ヴォーカルのミッチェル・ヘンドリックス(Michele Hendricks)は、ヴォーカリーズスタイルのシンガー、ジョン・ヘンドリックス(Jon Hendricks)の娘さん。
その他、ベティ・カーター(Betty Carter)がハンク・ジョーンズ(Hank Jones)のピアノで歌う横で、若かりしときのロイ・ハーグローヴ(Roy Hargrove)が一生懸命?ペットを吹いている映像もありました。
その録音があるかどうかは不明です。
他にも、探せばきりがないくらいありそう。
「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」のピアノでの聴き比べはこちら。
「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」のサックスでの聴き比べはこちら。
「ハゥ・ハイ・ザ・ムーン(How High The Moon)」のピアノとサックス 以外のインストでの聴き比べはこちら。