1972年公開映画です。
邦題は「ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実」、原題は「レディ・シングス・ザ・ブルース(Lady Sings the Blues)」。
ポップスターのダイアナ・ロス(Diana Ross)が主演し、アカデミー賞にもノミネートされました。
DVDも出ています。
でもアマゾンでのDVDの取り扱いは、英語版のみ。
(リージョン4なので日本では再生できない可能性もありです。)
ダイアナ・ロス(Diana Ross)がビリー・ホリデイ(Billie Holiday)を演じます。
なので、ダイアナ・ロスがジャズを歌うシーンもてんこ盛り。
そしてこの、ダイアナ・ロスの可憐な声が歌うジャズがいいんです!
うそだと思うなら、このサントラ盤を視聴してみてください。
(↓Spotifyに登録すれば(無料でも可)フル再生できます)
https://www.spotify.com/jp/
ダイアナ・ロスの透き通った声で歌うジャズが最高!
ビリー・ホリデイ(Billie Holiday)は、ガラガラ声。
対してダイアナ・ロスはきれいな透き通った声。
声が対照的過ぎる!と不安に思っても、聴けば納得。
百聞は一見に如かず、ならず、百見は一聴に如かず、です!
声質はまったく対照的な2人ですが、ダイアナ・ロスはフレージングや、微妙に音を下げるビリー・ホリデイ(Billie Holiday)の癖など、完璧なまでに再現。
声質が違うことなど全くに気ならず、まさにビリー・ホリデイ(Billie Holiday)が歌っているような気にさえなってくるから不思議です。
当時のアフリカ系アメリカ人女性の過酷な状況
この時代のアフリカ系アメリカ人が置かれていた、差別が当たり前だった世界がどういうものだったのか、その中でジャズをやるということがどんなに過酷なことだったか知ることができる映画です。
アフリカ系アメリカ人への差別に加えて、この時代にアフリカ系アメリカ人の女性は、激しい男尊女卑の扱いも受けていた、そんな様子も想像以上です。
ストーリー、音楽、映像、すべてよしの映画
映画としても、ストーリー、映像、音楽、すべてよし。
ビリー・ホリデイの生涯自体がドラマティックなので、これを映画にして、おもしろくないはずがありません。
私はこれを学生時代に見ました。
ビリー・ホリデイがヘロインで墜落していくさまが描かれる
今でも覚えているシーンがあります。
過酷な人生の、ビリー・ホリデイ(Billie Holiday)でしたが、歌手として成功したころに、愛する人と出会い、その人と幸せな生活を送るようになります。
でもそのとき、すでに深刻なヘロイン中毒だったビリー・ホリデイ(Billie Holiday)は、その愛する人がいくらヘロインをやめさせようとしても、やめることができません。
最終的に、愛する人の制止を振り切って、ヘロインと注射器を持ったビリー・ホリデイ(Billie Holiday)は浴室へと駆け込みます。
しばらくたって、がっくりと落胆した夫(彼氏だったかな?)が浴室にようすを見に行くと、そこにはヘロインでハイになったビリー・ホリデイ(Billie Holiday)がだらんと、うつろな目で座っているのでした。
それを見た夫(彼氏かも?)は、あきらめて家を出て行きます。
その出て行く夫の後ろ姿を、ビリー・ホリデイ(Billie Holiday)は、ラリったまま、ぼーっと見送っていました。
もうこのシーンは、せつな過ぎて、悲しすぎて、今でもとてもよく覚えています。
今も目の中に、この映像が浮かぶくらい。
悲しくて、美しくて、せつなくて、そしてとても良質のジャズに包まれた映画です。
この映画を見て、ますますジャズを好きになりました。
ビリー・ホリデイについては、自伝「奇妙な果実」も紹介しています。
ビリー・ホリデイの生い立ちや生涯、バイオグラフィーについても書いています。
ビリー・ホリデイのおすすめアルバムや名盤については、こちらに書きました。
サッチモことルイ・アームストロングも出演していて、ビリー・ホリデイがメイド役として演技もしている映画「ニューオリンズ(New Orleans)」についてはこちらに書きました。
ビリー・ホリデイの名曲、代表曲についてはこちら。