世界大恐慌前に、ブルースシンガーとして初めてスターとなったベッシー・スミス(Bessie Smith)の誕生と復活を描いた映画「ベッシー(Bassie)」
前から彼女の、腹の底から出す、生身の声といった感じの歌は好きだったのですが、今回、映画を見て初めて知ったこともあり、とても興味深く見ました。
ああ、こんな人だったんだ!
こういう人が、ああいう歌を歌ってたんだ!
また彼女の歌が違って聴こえてきました。
この時代に、こんなに自由に生きていた人がいたなんて、驚きです。
人気絶頂のときに、私生活で悲しい出来事があり、また世界大恐慌も重なって、仕事もうまくいかなくなるんですが。
その後、絶望から立ち上がる姿には、たくましさ、きよさを感じました。
私はAmazonプライムで見ました。
(2020年3月の時点での情報です。
詳しくは公式サイトでご確認ください)
ベッシー・スミスは、こんな歌を歌う人です。
この「ノーバディ・ノウズ・ユー・ホゥエン・ユーアー・ダウン・アウト(Nobody Knows You When You’re Down & Out)」はベッシー・スミスが流行らせた歌の1つ。
今ではブルースのスタンダードナンバーとなっていて、エリック・クラプトン(Eric Clapton)をはじめいろんなシンガーが歌っています。
ベッシー・スミス(Bessie Smith)の生涯については、こちらに書きました。
ちなみに、日本でブルースの女王と言えば淡谷のり子さん。
「別れのブルース」のヒットで、一躍「ブルースの女王」と言われるようになりましたが、ご本人もテレビで
「あんなもん、ブルースでもなんでもない」
と言っておられたとおり、ブルースではありませんでした(笑)
淡谷のり子さんは、シャンソンのほうが有名かも。
あと、アラフィフの私世代には、テレビでの歯に物を着せぬずばずば言うコメンテーターとしての淡谷のり子さん。
好きでした、うそがなくて。
ベッシー・スミスに話をもどします。
スタン・ゲッツ (Stan Getz)とよく共演したベーシスト、ビル・クロウ(Bill Crow) が書いた本「ジャズ・アネクドーツ(Jazz Anecdotes)」にもベッシー・スミスのことが出てきてて、肝っ玉の据わった度胸のいい女性というイメージだったんですが、映画を見ると、彼女も迷ったり、落ち込んだリしていたのがわかります。
ちなみに「ジャズ・アネクドーツ(Jazz Anecdotes)」に書かれていた、ベッシー・スミス姉さんの痛快、豪傑エピソードも、映画には出てきます。
こんな度胸のよいベッシー・スミスというイメージだったんですが、このころのアフリカ系アメリカ人にありがちな、結構ハードな生い立ち。
そして最初から人気歌手だったわけじゃなくて、売れない時期もあったのを、映画を見て初めて知りました。
それにくわえて度量の広さ!
いや、そこで、その人に、そんなに優しくできるのか!と驚きました。
ベッシー・スミスという人に、ホレました。
ベッシー・スミス(Bessie Smith)を演じたのは、クイーン・ラティファ(Queen Latifah)
この人が、またうまいことベッシー・スミス(Bessie Smith)になりきってはります!
老いたからだもさらけ出して、体当たりの演技です。
クイーン・ラティファ(Queen Latifah)ラッパーでありながら、女優として数々のいい映画に出ていて、私には女優さんのイメージのほうが強い人です。
「ラストホリデイ(Last Holiday)」という映画で、クイーン・ラティファ(Queen Latifah)を初めて知ったのですが、それからずっと好きな女優さんの1人です。
「ラストホリデイ」は、ハートウォーミングな映画といった感じ。
余命宣告された女性が、今までずっとやりたいと思っていたことを、思い切ってやってしまうという映画。
この映画での、クイーン・ラティファ(Queen Latifah)が、太めの体型ながらも、堂々として華やかで、目を奪われました。
美人でスマートな女優さんが主演をはるハリウッドで、この体型で(失礼!)堂々と主役をはっちゃうというのは、やっぱり並じゃない魅力の持ち主だと思います。
この映画はクイーン・ラティファ(Queen Latifah)じゃないと、他の女優さんでは、この味は出せなかっただろうなあと思います。
彼女は他にもいい映画に出ています。
例えば「恋のスラムダンク」
恋愛映画で、見た後に明るい気分になれる映画です。
クイーン・ラティファ(Queen Latifah)は恋愛下手な理学療法士で、バスケット選手といろいろ繰り広げるわけですが、この恋愛に不器用な30半ばの女性を、嫌味なく愛らしく演じています。
この「恋のスラムダンク」も、ほっこりできて好きな映画の1つです。
映画「ベッシー(Bassie)」のお話にもどります。
この映画は思いがけず、想定外に見ごたえがあって、見て得しちゃった気分です。
私が知らなかっただけかもしれませんが、あまり知られていないように思います。
掘り出し物を見つけた気分。
「ベッシー(Bassie)」で描かれる時代のファッションも、レトロでおしゃれ。
普通の部屋の感じや、昔の繁華街のようすなども、何気におしゃれで、目にも楽しい映画。
そして映像だけでなく、音楽がまたいいです!
なんと吹替なしでクイーン・ラティファ(Queen Latifah)自身が歌っていたりします。
これが、なかなかのもの。
私は、最初、ベッシー・スミス(Bessie Smith)が歌っていると思ってしまいました。
ノスタルジックで、力強くて、自由で、あたたかい映画でした。