ビバップという新しい分野のジャズを作り出した、アルトサックス奏者のチャーリー・パーカー(Charlie Parker)
その彼を描いた映画が「バード(BIRD)」です。
1988年公開のアメリカ映画。
監督は、長年俳優としても大活躍したクリント・イーストウッド。
クリント・イーストウッドは若い時に、実際に生でチャーリー・パーカー(Charlie Parker)
の演奏を聞いたことがあるそうです。
クリント・イーストウッドは若いころに、ジャズクラブでピアノを弾いて、生計の足しにしていたこともあって、ジャズへの思いが深いようです。
ジャズに造詣が深いクリント・イーストウッドが監督
クリント・イーストウッドは、熱烈なジャズファン。
若い時には、今ではレジェンドとなったジャズメンたちの演奏を聴きまくっていたそうです。
チャーリー・パーカー(Charlie Parker)の演奏も、実際に生で聴いて衝撃を受けたのだとか。
クリント・イーストウッドは、だんだんチャーリー・パーカー(Charlie Parker)を生で聴いたことのある世代がいなくなることに危惧をいだき、自分がメガホンを取ってチャーリー・パーカー(Charlie Parker)の映画を作ることを決意しました。
チャーリー・パーカー(Charlie Parker)を実際に知らない世代が、麻薬やアルコールにおぼれた彼の破滅的な生活に重点を置いた、いかにもハリウッド的な映画を作られたら我慢できないと思ったそうです。
演奏シーンの音楽にも画期的なこだわり
実はクリント・イーストウッドは15歳くらいの時、生計を助けるために地元のお店でピアノを弾いていました。
そのため、彼の音楽への思い入れはかなりのものです。
映画の中のチャーリー・パーカー(Charlie Parker)の演奏シーンで用いられる音楽は、すべて実際のチャーリー・パーカー(Charlie Parker)が演奏しているもの。
ただ当時の録音技術は発達しておらず、音源の状態がよくなかったため、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)のサックスの音だけ抜き取って、他のサイドメンの演奏はレッド・ロドニー(Red Rodney)、チャールズ・マクファーソン(Charles McPherson)、ウォルター・デイヴィス・Jr( Walter Davis, Jr)、ロン・カーター(Ron Carter)に演奏させて、それを差し替えて、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)の演奏と合成しました。
バードの生い立ちと苦悩、そして演奏シーンが満載
この映画は、バードの生い立ちから亡くなるまでを描いたもの。
その演奏が評判を呼び、人気がうなぎのぼりになってからも、彼の脳裏には若いころうまく演奏できなくてステージの上でドラマーにシンバルを投げられた風景が何度もよぎります。
自分がうまく演奏できているか、常に不安だったということでしょうか。
チャーリー・パーカー(Charlie Parker)の生涯を詳しく知ることができます。
チャーリー・パーカー(Charlie Parker)って、こんな感じだったのか。
こんなことをしていたのか。
実際にチャーリー・パーカー(Charlie Parker)が、目の前にいるような気分になります。
ジャズファンにはたまらない映画です。
私は映画「バード(BIRD)」を見て感動したのですが、スタン・ゲッツ (Stan Getz) とよく一緒に組んでいたベーシストのビル・クロウ(Bill Crow)は、この映画でのチャーリー・パーカー(Charlie Parker)の描かれ方に少し不満を持っていたようです。
ビル・クロウ(Bill Crow)はチャーリー・パーカー(Charlie Parker)のことが大好きで、一緒にプールで泳いだこともあるのだとか。
ビル・クロウ(Bill Crow)のエッセイ本「さよならバードランド」にはチャーリー・パーカー(Charlie Parker)のエピソードが書かれていますが、そこに書かれているチャーリー・パーカー(Charlie Parker)は気のいいちょっと変わったおじさんといった感じです。
ビル・クロウ(Bill Crow)は、世間で知られているチャーリー・パーカー(Charlie Parker)のイメージとは違う、そういった普段のバードをもっと描いて欲しかったのかもしれません。
ビル・クロウの「さよならバードランド」については、こちらに書きました。
ビル・クロウ本人については、こちらに書きました。
チャーリー・パーカー(Charlie Parker)についてはこちらに書いています。