ジャズシンガー、エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald 1917年~ 1996年)の名盤アルバムのご紹介です。
とはいえ、完璧主義者だったと言われるだけあって、個人的にエラ・フィッツジェラルドのアルバムに、退屈なアルバムはないように思います。
それでも、名盤として有名なものを取り上げていきます。
(前編)では、その中でも、特に有名なアルバムを中心に取り上げます。
エラ・フィッツジェラルドのジャズ名盤アルバム(前編)
マック・ザ・ナイフ-エラ・イン・ベルリン(Mack The Knife – Ella In Berlin)1960年
たぶんエラの名盤と言えば、この「マック・ザ・ナイフ-エラ・イン・ベルリン(Mack The Knife – Ella In Berlin)」を意の一番にあげる人が多いと思います。
当時の西ベルリンでおこなわれたコンサートのライブ盤です。
後にエラの十八番となる「マック・ザ・ナイフ(Mack The Knife)」はこのときが初演。
エラは「マック・ザ・ナイフ(Mack The Knife)」の歌詞をうろ覚えのまま歌い出し、途中歌詞を間違えたり思い出せなかったりで、苦肉の策のアーム・ストロングの声真似でのスキャットが、怪我の功名で大うけしたのでした。
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メンバーは、ヴォーカルのエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)、ピアノのポール・スミス(Paul Smith)、ギターのジム・ホール(Jim Hall)、ベースのウィルフレッド・ミドルブルックス(Wilfred Middlebrooks)、ドラムのガス・ジョンソン(Gus Johnson)
アット・ザ・オペラハウス(At the Opera House)1958年
1~9曲目までが1957年のシカゴオペラハウス( Chicago Opera House)でのコンサート、10~18曲目までは1957年の ロサンゼルスの シュラインオーディトリアム(Shrine Auditorium)でのコンサートを収録したライブ盤で、名盤と言われているアルバム。
エラは1957年7月にオスロ生まれのノルウェー人との婚約を発表していて、その直後の9月と10月のコンサートなので、幸せのあまり、いつにも増してスイングしている感じです。
残念なことに、このノルウェー人の結婚詐欺の前科が判明して婚約は解消されましたが、エラは翌年の1958年には指揮者でジョー・スタッフォード(Jo Stafford)の夫のポール・ウェストン(Paul Weston)に高級時計を贈っているので、詐欺事件からは立ち直っていたのかもしれません。
高級時計は、恋愛感情でなく感謝の気持ちから贈ったのかもしれませんが。
ちなみにこのエラが送った高級時計は、まったく使われていない状態で近年オークションに登場したそうです。
(エラがかわいそう過ぎる。。。。(泣))
1~16曲目のシカゴオペラハウス( Chicago Opera House)でのメンバーは、ヴォーカルのエラフィッツ・ジェラルド(Ella Fitzgerald)、ピアノのオスカー・ピーターソン(Oscar Peterson)、ギターのハーブ・エリス(Herb Ellis)、ベースはエラの元夫レイ・ブラウン(Ray Brown)、ドラムのジョー・ジョーンズ(Jo Jones)
17と18曲目はドラムが変わって、ホーンセクションが加わります。
17と18曲目のメンバーは、ヴォーカルのエラフィッツ・ジェラルド(Ella Fitzgerald)、ピアノのオスカー・ピーターソン(Oscar Peterson)、ギターのハーブ・エリス(Herb Ellis)、ベースはレイ・ブラウン(Ray Brown)までは一緒で、ドラムがコニー・ケイ(Connie Kay)、トランペットにロイ・エルドリッジ(Roy Eldridge)、トロンボーンにJ・J・ジョンソン(JJ Johnson)、アルトサックスにソニー・スティット(Sonny Stitt )、テナーサックスにレスター・ヤング(Lester Young)とイリノイ・ジャケー(Illinois Jacquet)とコールマン・ホーキンス(Coleman Hawkins)、スタン・ゲッツ (Stan Getz)、フィル・フィリップス(Flip Phillips)
エラはこの「アット・ザ・オペラハウス(At the Opera House)」だけじゃなくて、他のアルバムでもそうなのですが、超大物のスタン・ゲッツ (Stan Getz)までもホーンセクションの一員に組み込んで、しかも特にホーンをフィーチャーするわけでもなく、チョイ使いする大物感がすごい!
エラ・アンド・ベイシー!(Ella and Basie!)1963年
今では、大ヒット曲「 ソウル・ボサノヴァ(Soul Bossa Nova)」や、マイケル・ジャクソンなど数々の大物アーティストのプロデューサーとしても名をはせるクインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)が編曲し、カウント・ベイシー・オーケストラ (Count Basie Orchestra)がそれを演奏し、エラ・フィッツジェラルドが歌ったという、贅沢なアルバム。
ノリのいいグルーヴが持ち味のカウント・ベイシー・オーケストラ (Count Basie Orchestra)と、力強くスイングするエラとの相性が悪いはずもなく「エラ・アンド・ベイシー!(Ella and Basie!)」も名盤と評判の高いアルバムです。
メンバーは、ヴォーカルのエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)と、カウント・ベイシー・オーケストラ (Count Basie Orchestra)の面々(多すぎるので名前は割愛)
カウント・ベイシー楽団の余裕たっぷりで力強いグルーブと、エラのご機嫌なスイングは相性がぴったりのように思います。
個人的に、「マック・ザ・ナイフ-エラ・イン・ベルリン(Mack The Knife – Ella In Berlin)」と甲乙つけがたいくらい、この「エラ・アンド・ベイシー!(Ella and Basie!)」もお気に入りです。
エラ・アンド・ルイス(Ella and Louis)1957年
エラ・フィッツジェラルドも、サッチモことルイ・アームストロング(Louis Armstrong)も、2人そろって底抜けに明るい歌声なので、こちらも相性は最高です。
超有名盤で、人気の高いアルバム。
エラとサッチモの組み合わせは多くの人に愛され、この2人で1957年には「エラ・アンド・ルイ・アゲイン( Ella and Louis Again )」 、1959年には「ポーギー・アンド・ベス(Porgy and Bess)」と3作のアルバムが制作されました。
メンバーは、ヴォーカルとトランペットのサッチモことルイ・アームストロング(Louis Armstrong)、ヴォーカルのエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)、ピアノのオスカー・ピーターソン( Oscar Peterson)、ベースのレイ・ブラウン(Ray Brown)、ギターのハーブ・エリス(Herb Ellis)、ドラムのバディ・リッチ(Buddy Rich)
エラ&パス・アゲイン(Fitzgerald and Pass … Again)1976年
エラ・フィッツジェラルドは若いときの伸びのあるパンチの効いた歌もいいのですが、歳を重ねてからの枯れた声でしみじみ歌う感じの時期のものもよいです。
この「エラ&パス・アゲイン(Fitzgerald and Pass … Again)」では、ジョー・パス(Joe Pass)の奏でるギター1本で歌う、エラ・フィッツジェラルドの枯れた味のある歌を聴くことができます。
このエラとジョー・パスのデュオで、1973年の「テイク・ラヴ・イージー(Take Love Easy )」、1983年の「スピーク・ロウ( Speak Love )」、1986年の「イージー・リヴィング(Easy Living)」と4枚のアルバムが制作されていて、この「エラ&パス・アゲイン(Fitzgerald and Pass … Again)」は2作目にあたります。
メンバーは、ヴォーカルのエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)と、ギターのジョー・パス(Joe Pass)の2人だけ。
2人だけで、静寂の中を自由にメロディで飛び回るという感じ。
この「エラ&パス・アゲイン(Fitzgerald and Pass … Again)」でエラ・フィッツジェラルドはグラミー賞を受賞しています。
後編に続きます。
エラ・フィッツジェラルドの生い立ちや生涯については、こちらに書きました。
(前編)
(後編)
エラ・フィッツジェラルドの名曲についてはこちら。
(前編)
(後編)