ジミー・スコット(Jimmy Scott、1925年~2014年)は若い時に1度デビュー。
ダイナ・ワシントン(Dinah Washington)やビリー・ホリデイ(Billie Holiday)、ナンシー・ウィルソン(Nancy Wilson)、などの大御所を魅了する歌手だったにも関わらず、レコード会社の「排他的生涯契約」にしばられ、思ったように音楽活動ができず、ジミー・スコットは一度、引退します。
引退後は音楽から離れ、エレベーターのオペレーターなど昼間の仕事など20年間も不遇な生活を送り、60代にしてカムバックを果たします。
ジミー・スコットは復帰後、60代にしてブレイクしたという稀有なシンガーです。
復帰してからは世界中をツアーで回り、マドンナなどの大スターもコンサートにお客さんとして訪れていたそうです。
そんなジミー・スコットの名曲の数々をご紹介します。
ジミー・スコットの生涯については、こちらに書きました。
ジミー・スコットが歌うジャズの名曲
ジミー・スコットに関しては、どれがおすすめというのはないと思っています。
もしお好きな曲があったら、その曲をジミー・スコットが歌っていないか調べてみてください。
ジミー・スコットはジャズだけじゃなく、古いソウルミュージックやR&B、ポップスなども歌っています。
もし好きな曲をジミー・スコットが歌っていたら、きっとお気に入りの曲を今までに聴いたことのないような歌い方で歌っていて、感動すると思います。
デイ・バイ・デイ(Day by Day)
例えば通常スイングで歌われることが多い「デイ・バイ・デイ(Day by Day)」もジミー・スコットが歌うと、こんなに美しい超スローバラードに。
ここまでテンポを落としても質が落ちないのは、やはり表現力が驚異的なのだと思います。
ささやくように、ときに叫ぶように、エモーショナルに歌い上げていますが、それがこってりと胸やけするようなやり過ぎ感はゼロで、さらっと聴かせるところがすごい。
(↓Spotifyに登録すれば(無料でも可)フル再生できます)
時には母のない子のように(Sometimes I Feel Like Motherless Chiled)
アフリカ系霊歌(一般には黒人霊歌と表記されることが多いですが、私は自分やアジア人が「黄人」と呼ばれるのは嫌なので「黒人」という言葉は使わないようにしています)の代表曲「時には母のない子のように(Sometimes I Feel Like Motherless Chiled)」。
アフリカから奴隷としてアメリカに連れてこられ、アフリカにいる母には永遠に合えない過酷な境遇を歌った歌。
アフリカ系ならこう歌うだろうという予想を見事に裏切る、ジミー・スコット彼のみに歌える歌い方だと思います。
アイ・クライド・フォー・ユー(I Cried For You)
ジミー・スコットはバラードがすばらしいといっても、スイングがすばらしくないという意味ではありません。
この曲を聴けば、それがわかるはず。
バイ・バイ・ブラックバード(Bye Bye Blackbird)
ジミー・スコットは「バイ・バイ・ブラックバード(Bye Bye Blackbird)」をボサノヴァで歌っちゃうという器用さも持った人。
バラードもいいけど、ジミー・スコットの場合、スイングも同じくらいいい!
そして器用な人だと思います。
なぜなら、歌うのはジャズやアフリカ系霊歌だけじゃなく、ポップスまで歌います。
それも、しっかりポップスをジャズに変化させて!
ジミー・スコットのすごさは、ポップスを歌ったときにはっきりわかります。
ナッシング・コンペアーズ・トゥー・ユー(Nothing Compares 2 U)
ジミー・スコットがすごいシンガーだと思うのは、こういう曲をも自分風に歌ってしまって、それがまたオリジナルにまけず劣らずの素敵な曲になっているということ。
この曲をこんな美しいバラードに変えてしまうのですから!
ちなみにタイトルの「ナッシング・コンペアーズ・トゥー・ユー(Nothing Compares 2 U)」の「2U」は「To You」のこと。
メールなどで使われる表現で、例えば「For You」も「4U」と書いたりします。
この「ナッシング・コンペアーズ・トゥー・ユー(Nothing Compares 2 U)」はスキンヘッズがトレードマークの、とんがった、いかしたお姉さんシドニー・オコナーがオリジナルと思ってましたが。。。。
オリジナルはプリンスだったんですね!知らなかった。
シドニー・オコナーのカヴァーのほうが大ヒットしたイメージです。
(私が知らなかっただけかもしれませんが(笑))
数々の大スターや同業者たちをも魅了したジミー・スコットの歌声に、私たちが魅了されないわけがありません。
さみしいとき、悲しいとき、つらいとき。
ジミー・スコットの歌は、そんなときにも気持ちに寄り添ってくれるようです。
ジミー・スコットの生涯については、こちらに書きました。