1947年公開映画「ニューオリンズ(New Orleans)」
ルイ・アームストロング(Louis Armstrong)やビリーホリデイ(Billie Holiday)、ウディ・ハーマン(Woody Herman 本人だけでなくウディ・ハーマンの楽団も!)など、本物のジャズメンたちが出演。
役を演じるだけでなく、本物のジャズも演奏します。
ちなみに、サッチモことルイ・アームストロング(Louis Armstrong)と言えば、この曲「この素晴らしき世界(What a Wonderful World)」
若き日のマイルス・デイヴィス(Miles Davis)を驚愕させたトランペットと、しゃがれ声のボーカルとの二刀流。
楽団を率いているウディ・ハーマン(Woody Herman)は、こんな人。
「ニューオリンズ(New Orleans)」という題名だけに、ニューオリンズジャズが満載。
小さなお店で、アップライトピアノのまわりにミュージシャンが集まり、気ままに演奏するようすや、ニューオリンズジャズらしい、屋外でチューバを混ぜた演奏など。
まだまだクラシック音楽が主流で、ジャズは邪道とされていた時代。
両家の子女は、ジャズなんか聴いてはいけない雰囲気だったようです。
でもそんな中でジャズに魅了され、恋に落ちていくオペラ歌手の女性が主人公。
見逃せないのが、メイド役で出演しているビリー・ホリデイ(Billie Holiday)。
それがちょい役で、ちょこっと出演というわけではなく、わりととセリフもあって(主人公の女性にブルースの説明をしたり)、登場シーンも思いのほかあります。
そして、ちゃんと演技もしています!
女主人の留守中に、メイド役のビリーホリデイ(Billie Holiday)がピアノを弾きながら「ドゥ・ユー・ノウ・ホワット・イット・ミーンズ・トゥ・ミス・ニューオリンズ(Do You Know What It Means to Miss New Orleans)」 を歌っていて、帰宅した女主人に見つかって小言を言われるシーンなど、思わず
「ビリー、(演技)頑張れ!」
と心の中で声援を送ってしまいました(笑)
他にも、初めてジャズを聴きに行く主人公に
「そんな服装だと浮いてしまう」
と着ていく服を、ビリー・ホリデイ(Billie Holiday)がアドバイスしたりもします。
麻薬におぼれて晩年はやせ細ってしまっていたビリー・ホリデイ(Billie Holiday)もまだ、このころはほほもふっくらしていて、声もそんなに枯れていません。
「ニューオリンズ(New Orleans)」は白黒映画なのですが、主人公のオペラ歌手はお金持ちの邸宅に滞在しているので、家具などの調度品も凝っていて、おしゃれ。
そして、もう1つうれしいのが、サッチモことルイ・アームストロングがちょこちょこ登場して、その明るいトランペットの音色を聴かせてくれること。
このサッチモにも、結構セリフがあって、彼も名演を見せています!
サッチモのあの、顔じゅうに広がる笑顔は、白黒映画でも色あせません。
主人公のオペラ歌手と、裏ではジャズ、表ではクラシック音楽を演奏している店をやっているお相手の男性も、この時代の映画のお約束で、美男美女。
とにかく、サッチモのトランペットで「ドゥ・ユー・ノウ・ホワット・イット・ミーンズ・トゥ・ミス・ニューオリンズ(Do You Know What It Means to Miss New Orleans)」を歌うビリー・ホリディを見るだけでも、この映画は見る価値ありです!