透明感のあるギター ウェス・モンゴメリーのジャズ名盤(後編)

ウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery 1923年~ 1968年)がギターを手にしたのは19歳のとき。

ギタリストとしては遅いスタートだったにも関わらず、彼独自の親指でのピッキングやオクターブ奏法、コード奏法などを編み出し、後進のギタリストたちに影響を与え続けている人です。

そんなウェス・モンゴメリーの名盤のご紹介です。

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(前編)ではウェス・モンゴメリーの名盤の中でも、特に有名なアルバムをご紹介しました。

(後編)で取り上げるのは、その次くらいに有名なアルバムです。

(前編)はこちら。

透明感のあるギター ウェス・モンゴメリーのジャズ名盤(前編)
ウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery 1923年~ 1968年)は完璧過ぎてつまらないという意見もあるようですが、私はそこが魅力だと思っています。安心して聴ける、気分を上げてくれる、スリリングなジャズもいいけれど、安定のジャズもいいものです。

ウェス・モンゴメリーの名盤アルバム(後編)

ダイナミック・デュオ(The Dynamic Duo)1966年

ジャズを演奏してもブルース色濃厚なオルガンのジミー・スミスと、アフリカ系でありながらブルース色はあまり感じさせない、洗練されたギターのウェス・モンゴメリー。

2人の持ち味は対照的な感じがしますが、共演してみるとお互いがお互いの違いを補い合っていて、これまでにない世界を作り出しています。

「ダイナミック・デュオ(The Dynamic Duo)」は、お互いの違いを補える音楽っていいなあと思わせてくれるアルバムです。

南北戦争時代から歌われていたと言われる(私は子供のころ、家にあった「アメリカのフォークソング集」のレコードでこの曲を聴いてました)、ちょっと古臭いイメージだった「ダウン・バイ・ザ・リヴァーサイド(Down by the Riverside)」が1曲目に収録されていますが、小粋なジャズに変身していて、びっくり!

(↓Spotifyに登録すれば(無料でも可)フル再生できます)

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メンバーは、ハモンドオルガンのジミー・スミス(immy Smith)、ギターのウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery)、ドラムのグレイディ・テイト(Grady Tate)、ベースのリチャード・デイビス(Richard Davis) トランペットとフリューゲルホーンのクラーク・テリー(Clark Terry)、サックスのフィル・ウッズ(Phil Woods)などなど、その他も大勢いますがメンバー多すぎて割愛。

ジミースミスとウェス・モンゴメリーの組み合わせでは「ダイナミック・デュオ(Jimmy&Wes:The Dynamic Duo)」の第二弾で「ファーザー・アドベンチャー・オブ・ジミー・スミス&ウェス・モンゴメリー(FURTHER ADVENTURE OF JIMMY SMITH & WES MONTGOMERY)」というアルバムも出ていて、こちらはハモンドオルガン、ギター、ドラム、パーカッションという少人数編成で、ジミー・スミスとウェス・モンゴメリーの2人の演奏がより前面に押し出されたものとなっています。

ロード・ソング(Road Song)1968年

ウェス・モンゴメリーは1968年6月15日に心臓発作で亡くなりますが、この「ロード・ソング(Road Song)」は亡くなる直前の5月7日~9日にレコーディングされました。

(前編)で取り上げたアルバム「ア・デイ・イン・ザ・ライフ(A Day In the Life)」や、1966年にリリースされた「カリフォルニア・ドリーミング(California Dreaming)」など、ウェス・モンゴメリーはポップスを多めに取り入れたアルバムを制作していますが、この「ロード・ソング(Road Song)」もビートルズやサイモン&ガーファンクルなどのポップスが多めの選曲。

メンバーは、ギターのウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery)、ピアノのハービー・ハンコック(Herbie Hancock)、ベースのリチャード・デイィス(Richard Davis)、ドラムはグレイディ・テイト(Grady Tate)とエド・ショーネシー(Ed Shaughnessy) などなど。弦楽器隊も入るオーケストラ編成なので、メンバーはかなり多くて割愛。

ウェス・モンゴメリー・トリオ(The Wes Montgomery Trio)1959年

ポップスを演奏するウェス・モンゴメリーもいいけど、やっぱりジャズが聴きたい!という気分のときにおすすめなのが「ウェス・モンゴメリー・トリオ(The Wes Montgomery Trio)」

ホレス・シルヴァー(Horace Silver) の曲「エカロー(Ecaroh)」と、ウェス・モンゴメリーのオリジナル「ミサイル・ブルース(Missile Blues)」「ジングルス(Jingles)」以外は、スタンダード曲という、全体がジャズ!って感じのアルバムです。

メンバーは、ギターのウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery)、オルガンのメルビン・リン(Melvin Rhyne)、ドラムのポール・パーカー(Paul Parker)

個人的には、イージーリスニングっぽいのも嫌いじゃないのですが、こういうストレートなスタンダードジャズだと

「おっ!きた!」

とちょっとはしゃいでしまいます。

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ソー・マッチ・ギター!(So Much Guitar!)1961年

「ソー・マッチ・ギター!(So Much Guitar!)」は、個人的にウェス・モンゴメリーのアルバムの中で、1番よく聴いたアルバムです。

名盤とされている割には、取り上げられることが少ないように感じます。

悪く言えば可もなく不可もなく、「ウェス・モンゴメリーは完璧過ぎてつまらない」という意見は、こういうアルバムからくるのかなとも思います。

いつものウェス・モンゴメリーといった感じなのですが、例えば映画の「寅さんシリーズ」が絶対にほっこりさせてくれると約束されているように、このアルバムにもそんな安定の安心感があります。

やらなきゃいけないことがあるのに気が乗らないときなんかに、このアルバムをかけると気が重いことに取り組めたので、よくお世話になりました。

安心して聞き流せるし、「よしやるぞ!」と動きだせる、空気を軽くしてくれるBGMとして最適のアルバムだと思っています。

可もなく不可もなくって悪い意味に取られるかもしれませんが、何か作業をしながら聴くには、こういうさらっと聴ける、耳を持っていかれない、しかも気分を上げてくれるアルバムは最高です。

メンバーは、ギターのウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery)、ピアノのハンク・ジョーンズ(Hank Jones)、ベースのロン・カーター(Ron Carter)、コンガのレイ・バレット(Ray Barretto)、ドラムのレックス・ハンフリーズ(Lex Humphries)

 

私はまだ聴いていませんが、1965年の絶頂期のウェス・モンゴメリーの唯一のヨーロッパツアーでの、パリのシャンゼリゼ劇場でのコンサートを収めたライブ盤「ソリチュード:ウエス・モンゴメリー イン パリ(SOLITUDE  (In Paris:The Definitive Ortf Recordings)  )」もよいようです。

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ウェス・モンゴメリーの生い立ちや生涯は、こちらに書きました。

透明感のあるオクターブ奏法の生みの親 ウェス・モンゴメリーの生涯
ジャズギタリストのウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery 1923年~ 1968年)。彼のあみ出したオクターブ奏法、彼特有の親指での奏法など、聴けば彼のサウンドとすぐわかるような彼独自のジャズギターを確立しました。

ウェス・モンゴメリーの名盤アルバム(前編)はこちら。

透明感のあるギター ウェス・モンゴメリーのジャズ名盤(前編)
ウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery 1923年~ 1968年)は完璧過ぎてつまらないという意見もあるようですが、私はそこが魅力だと思っています。安心して聴ける、気分を上げてくれる、スリリングなジャズもいいけれど、安定のジャズもいいものです。