アート・ブレイキー(Art Blakey、1919年~1990年)のドラムのスタイルの解説や、若き日のアート・ブレイキーがあこがれたドラマー、「ナイアガラロール」誕生のきっかけとなったかもしれない先輩から伝授された練習方法などのご紹介です。
もともとアート・ブレイキーは、ジャズピアニストとしてプロ生活をスタートしたのちに、ジャズドラマーに転向した人。
努力の人でもあります。
アート・ブレイキーのドラムのスタイル
若き日のアート・ブレイキーがお手本にしたドラマーたち
アート・ブレイキーはドラムをはじめたころ、チック・ウェブ(Chick Webb)や シド・キャットレット(Sid Catlett シドニー・キャレット(Sidney Catlett)ともいう)、レイ・ボーデュク(Ray Bauduc)といったドラマーをお手本としていました。
ちなみに、チック・ウェブ(Chick Webb)はチック・ウィブ・オーケストラを率いて、そのオーケストラでまだ新人だったエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)を起用した人。
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シド・キャットレットは、サッチモことルイ・アームストロングのオーケストラにいた人。
レイ・ボーデュク(Ray Bauduc)は、歌手のビング・クロスビーの弟ボブ・クロスビー(Bob Crosby)が率いるデキシージャズのスタイルのオーケストラのドラマーでした。
アート・ブレイキーの代名詞「ナイアガラ ロール(Niagara Roll)」
アート・ブレイキー自身は、ケニー・クラーク(Kenny Clarke)やマックス・ローチ(Max Roach)とともに、ビバップスタイルのドラミングの発明者として知られています。
そしてアート・ブレイキーと言えば、ナイアガラの滝を思わせる、細かいドラミング「ナイアガラ ロール(Niagara Roll)」が有名。
「ナイアガラ ロール(Niagara Roll)」は、極端に短い32分音符で、スネアドラムを連打するドラミングです。
シド・キャトレットに教わってあの「ナイアガラロール」が誕生?
お酒を飲みながらプレイしていた若き日のアート・ブレイキーは激しく怒られたりもしましたが、シド・キャットレット(Sid Catlett)を、ブレイキーは尊敬していていました
アート・ブレイキーいわく、シド・キャレットはスティックでブラシのように柔らかい音を出すことができて、ブラシでスティックと同じ効果を出せたとのこと。
アート・ブレイキーがビリー・エクスタインのバンドの譜面に四苦八苦していたとき、シド・キャトレットが、
「なんでもわかろうとするな。
わからないものは、そのままにしておけ。
困ったときは、ただ連打するんだ」
とアドバイスしたそうです。
そして、メトロノームのテンポを一番遅く設定して、その遅い1泊の間に100回ロールする練習をするように言ったのだとか。
これが、アート・ブレイキーお得意の「ナイアガラロール」につながったのではないか、という巷のうわさです。
若き日のアート・ブレイキーがシド・キャレット(Sid Catlett)に怒られた話は、こちらに書きました。
プロ生活はピアニストとしてスタートしたものの、自分よりうまいピアニストが登場したために、ドラムに転向させられたアート・ブレイキー。
遅いスタートでも、これだけの名演奏を残しました。
きっと血のにじむような練習や苦労があったに違いありません。
アート・ブレイキーの経歴については、こちらに書きました。
前編(幼少時からイスラム教に改宗、セロニアス・モンクと共演するまで)
後編(ジャズメッセンジャーズを結成してから晩年まで)
アート・ブレイキーのエピソードはこちら。
アート・ブレイキー(ジャズ・メッセンジャーズ)の名曲のご紹介はこちら。
アート・ブレイキー(ジャズ・メッセンジャーズ)の名盤のご紹介はこちら。
(前編)
(後編)
アート・ブレイキーがサイドマンで参加したアルバム のご紹介はこちら。