チャールズ・ミンガス(Charles Mingus、1922年~1979年)がサイドマンとして参加した、他人名義のアルバム、後編です。
チャールズ・ミンガスは、精力的なお仕事ぶりで、サイドマンとして参加したアルバムは数も多く多岐にわたります。
ちょっとレアなものから、ミンガスのレーベルからリリースされたマイルス・デイヴィスのアルバム、ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)がミンガスに捧げた有名なアルバムなどご紹介します。
前編はこちら。
ファビュラス・サド・ジョーンズ(The Fabulous Thad Jones)1954年
トランぺッターのサド・ジョーンズ(Thad Jones)名義のアルバム。
チャールズ・ミンガスが1925年に、妻のセリア・ミンガス、ドラマーのマックス・ローチと設立したレーベル、デビュー・レコード(Debut Records)からリリースされました。
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メンバーは、トランペットの(Thad Jones)、テナーサックスとフルートのフランク・ウェス(Frank Wess)、ピアノはハンク・ジョーンズ(Hank Jones)とジョン・デニス(John Dennis)、ドラムはケニー・クラーク(Kenny Clarke )とマックス・ローチ(Max Roach )と超豪華メンバー。
ブルー・ムード(Blue Moods)1955年
マイルス・デイヴィス(Miles Davis)名義のアルバムで、こちらもチャールズ・ミンガスのデビュー・レコード(Debut Records)からリリースされたアルバム。
「アローン・トゥゲザー(Alone Together)」のアレンジはチャールズ・ミンガスが担当。
メンバーは、トランペットのマイルス・デイヴィス(Miles Davis)、トロンボーンのブリット・ウッドマン(Britt Woodman)、ヴィブラフォンのテディ・チャールズ(Teddy Charles)、ドラムのエルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)
マイルス・デイヴィスはチャーリー・パーカーとツアーでLAに行ったとき、チャールズ・ミンガスと知り合って親しくなります。
でもそのLA滞在中に、深刻な麻薬中毒だったチャーリー・パーカーが帰りの飛行機代をクスリに使ってしまったことで、それまでにも何度もえらい目にあわされていたマイルスが愛想をつかし、チャーリー・パーカーを置き去りにしてニューヨークへ帰ってしまいます。
尊敬するチャーリー・パーカーにそんな仕打ちをしたことがショックで、その後しばらくマイルスとミンガスは疎遠になったのだとか。
デビュー・レアリティ(Debut Rarities, Vol. 1)
ジミー・ネッパー(Jimmy Knepper)はトロンボーン奏者としての知名度は高くありませんが、チャールズ・ミンガスのバンドで長年アレンジャーとして貢献したことで有名な人。
すぐに激怒するチャールズ・ミンガスに何度も殴られ、挙句の果てにはトロンボーン奏者にとっては命の前歯まで折られてしまいます。
(裁判沙汰になるも、のちに和解)
そんなジミー・ネッパー(Jimmy Knepper)もミンガスのレーベル、デビュー・レコードから1957年に「ニュー・フェイシス(New Faces)」というアルバムをリリースしました。
この「デビュー・レアリティ(Debut Rarities)」のシリーズはデビュー・レコードの録音を復刻させたもので、「ニュー・フェイシス(New Faces)のアルバムの収録曲も含んでいます。
ジミー・ネッパー(Jimmy Knepper)名義のアルバムと思ったんですが、チャールズ・ミンガスが全面に出てる!
チャールズ・ミンガス名義?(うーん、ジミー・ネッパー(Jimmy Knepper)名義と思ったんだけど)
チャールズ・ミンガスに捧げられたアルバム
チャールズ・ミンガスは演奏で参加していなくて、しかも完成する前にミンガスは亡くなったけれど、ミンガスに捧げられたアルバムです。
ミンガス(Mingus)1979年
ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)名義のアルバム。
最初はジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)とチャールズ・ミンガスの共作というかたちで制作がスタートしましたが、途中でジョニ・ミッチェルの方針が変わり、ジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)やハービー・ハンコック(Herbie Hancock)、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)、ピーター・アースキン(Peter Erskine)、ドン・アライアス( Donald Alias)など、豪華なジャズメンたちが参加するアルバムとなりました。
シンガーソングライターでジャズメンとも親交が厚いジョニ・ミッチェルは、このアルバムをチャールズ・ミンガスに捧げました。
チャールズ・ミンガスはレコーディングには立ち会えたものの、アルバムの完成前に亡くなりました。
アルバムのところどころで、チャールズ・ミンガスのしゃがれ声の歌を聴くことができます。
(そしてこのアルバムではチャールズ・ミンガスはヴォーカルとクレジットされています)
メンバーは、ギター&キーボード、ヴォーカルのジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)、テナーサックスのウェイン・ショーター(Wayne Shorter)、キーボード&ピアノのハービー・ハンコック(Herbie Hancock)、ベースのジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)、ドラムのピーター・アースキン(Peter Erskine)、コンガのドン・アライアス(Don Alias)、パーカッションのエイミル・リチャーズ(Emil Richards)
その他にも
- ダイナ・ワシントン(Dinah Washington)の1945年のアルバム「メロウ・ママ(Mellow Mama)
- マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の「バードランド1951(Miles Davis at Birdland 1951)」
- チャーリー・パーカーの1954年のアルバム「ビッグ・バンド(Big Band )」
- J・J・ジョンソン(J.J.Johnson)のいくつかのアルバムにも参加しています。
チャールズ・ミンガスの名盤のご紹介はこちら。
(前編)
(後編)
チャールズ・ミンガスがサイドマンで参加したアルバム(前編)はこちら。
チャールズ・ミンガスの経歴はこちらに書きました。
(前編)生い立ち~初めてベースを手にするまで
(後編)ジャズの世界へ踏み出してから晩年まで
チャールズ・ミンガスのエピソードについてはこちら。
チャールズ・ミンガス自伝?「敗け犬の下で(Bneath the Underdog)」についてはこちら。