ダイナ・ワシントン(Dinah Washington 1924年~1963年)の歌は、飾り気のない、素のままの感じ。
何かを訴えかけてくるような、歌です。
生身の人間の、まっすぐな思いを感じます。
マイクロフォンの性能が今ほどよくなかったせいか、この時代のシンガーは声が大きく、お腹の底から出しているような感じがします。
バラードもそんな感じで歌うので、生身で切々と訴えかけてくる感じがします。
ダイナ・ワシントンといえば、グラミー賞も受賞した、この曲が有名。
ダイナ・ワシントンの生涯
ダイナ・ワシントンの生い立ち
アラバマ州生まれ。3歳のときにイリノイ州ソカゴへ移住。
幼いころより地元の教会でピアニストとして、ゴスペルに深くかかわっていました。
15歳のとき、シカゴで開催されたアマチュアコンテストでポップスを歌って優勝。
18歳のころより地元のナイトクラブで、ピアニスト兼ジャズシンガーとして歌うようになります。
1943年レコーディングした「イヴァイル・ギャル・ブルース(Evil Gal Blues)」がヒット。
そんな中、ダイナ・ワシントンは睡眠薬、やせ薬、アルコールの過剰摂取で39歳という若さで亡くなりました。
ジャズにブルースを反映させたダイナ・ワシントン
ダイナ・ワシントンはシャウトするような力強い歌い方、独特のビブラートが持ち味。
「ブルースの女王」とも言われ、ダイナ・ワシントンの歌にはブルースの影響が濃くみられますが、ブルースシンガーというよりも、ジャズシンガーに位置付けられることが多いです。
ジャズにブルースを色濃く反映させた功労者といったところでしょうか。
ダイナ・ワシントンの名曲
もともとブルージーな曲ですが、ダイナ・ワシントンが歌うと、よりブルーステイストが濃厚に。
セクシーに歌われることも多いですが、ダイナ・ワシントンはダイナミックに歌います。
「なあ、教えてや。教えてんか」
というような飾り気のない感じが、親しみやすい感じ。
ちょっとテンポを落としての「オール・オブ・ミー(All Of Me)」もダイナ・ワシントンが歌うと、どことなくブルースの香りが漂います。
ダイナ・ワシントンの、独特のビブラートが心地よいバラード「クレイジー・ヒー・コールズ・ミー(Crazy He Calls Me)」。
切々と悲しみを歌うというよりは、「ねえ、ちょっと聞いてくれる?」と悲しみを訴えかけてくる感じ。
ダイナ・ワシントンの「ストーミー・ウエザー(Stormy Weather)」には、別バージョンがあって、歌い方も若干変えている感じがします。
プロだなあ~!
ビリー・ホリディ(Billie Holiday)の歌う「恋人よ我に返れ(Lover come back to me)」によく似ている気がします。
どちらかが影響されたのでしょうか。
フレージングなんかがちょっと似てる気がするビリー・ホリディ(Billie Holiday)の歌う「恋人よ我に返れ(Lover come back to me)」はこちら。
ピアノはあのオスカー・ピーターソン(Oscar Peterson)
シンガーによっては甘ったるくなりそうなこの曲も、ダイナ・ワシントンが歌えば、骨太な感じのラブソングに。
この曲のダイナ・ワシントンは恋の喜びを、高々と力強く歌い上げます。
力強い歌声で、説得力満点なダイナ・ワシントンの歌。
スタン・ゲッツ (Stan Getz) とよく組んでいたベーシストのビル・クロウ(Bill Crow)の著書によると、ダイナ・ワシントンはギャンブル好きで、気の強さも天下一品だったとか。
ビル・クロウ(Bill Crow)は2冊、エッセイ本を書いています。ジャズのレジェンドたちのエピソードが満載で、読み物として本当におもしろい本です。


ダイナ・ワシントンの歌声は有無を言わさず、ガシッとつかまれて
「なあ、ちょっと聞いてんか」
とざっくばらんに思いを語られる感じがします。
その気取らなさと率直な感じが、ダイナ・ワシントンの魅力のように思います。
意志の強さを感じさせる、有無を言わさぬダイナ・ワシントンの歌を聴いていると、個人的に私に向かって歌ってもらっているような不思議な気分になります。