ジョン・コルトレーン(John Coltrane 1926年~1967年)は常に新しい演奏方法を模索していたので、アルバムによって雰囲気が変わります。
またジョン・コルトレーンが大衆受けするタイプではないために、小難しいイメージもありますが、そんなことはありません。
初期の作品や、中期の企画ものなど、まったく小難しくない聴きやすいものも少なくありません。
初級、中級、上級と聴きこんで、ぜひジョン・コルトレーンの精神にふれてみてください。
ちなみに「シーツ・オブ・サウンド」とは、細かい音を敷き詰めるようなジョン・コルトレーンの演奏スタイルを称した言葉です。
ジョンコルトレーンの生涯、前編(幼少時~麻薬を断って表舞台に出てくるまで)はこちらをご覧ください。
ジョンコルトレーンの生涯、後編(麻薬を断った後、マイルスのバンドに再加入~晩年まで)はこちら。
ジョン・コルトレーンの名盤の紹介(上級編)はこちら。
はじめにジョン・コルトレーンを聴くなら(初級編)
はじめにジョン・コルトレーンの世界に踏み込むなら、まずはとっつきやすいところから。
お好みに応じて、ご参照ください。
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マイ・フェイヴァリット・シング(My Favorite Things)
全曲ジャズのスタンダード曲なので、コルトレーン初心者にも聴きやすいアルバムだと思います。
ジョン・コルトレーン特有の、音のはずしを楽しめます。
有名な「マイ・フェイヴァリット・シング(My Favorite Things)」もいいのですが、印象的なコード進行のアレンジが効いてる「But Not for Me(バット・ノット・フォー・ミー)」もいいです。
メンバーはピアノがマッコイ・タイナー(McCoy Tyner )、ベースがスティーヴ・デイヴィス(Steve Davis)、ドラムはエルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)
バラード(Ballads)
全曲スタンダードのバラード曲。
バラードなんですが、ジョン・コルトレーンの力強いテナー・サックスで男っぽく演奏されると、よりスイートな感じになるのが不思議。
ピアノはマッコイ・ターナー(McCoy Tyner )、ドラムはエルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)、ベースはジミー・ギャリソン(Jimmy Garrison)とレジー・ワークマン(Reggie Workman )
実は私が、人に勧められて始めてコルトレーンを聴いたのは、このアルバムでした。
コルトレーン’58(Coltrane ’58)
ちまちま聴くのは性に合わない、大量にジョン・コルトレーンを聴きたい!というかたにおすすめ。
1958年の録音37トラックを収録。
コルトレーンの初期のものなので、スタンダード曲も多く、聴きやすいと思います。
「ソウルトレーン(Soultrane)」「ケニー・バレル&ジョン・コルトレーン(Kenny Burrell & John Coltrane)」「ラッシュ・ライフ(Lush Life)」「バイーア(Bahia)」の4枚のアルバムを収録している、お得なアルバム。
ジョン・コルトレーンのシーツ・オブ・サウンドを聴く(中級編)
シーツ・オブ・サウンドとは、高速で細かい音をちりばめたようなジョン・コルトレーンの演奏を比喩したもの。
細かい音ですが、粒がそろっていて、音色も最初から最後まできれい。
どんなものか聴いてみてください。
ブルー・トレイン(Blue Train)
「アイム・オールド・ファッションド(I’m Old Fashioned)」以外の曲はすべてジョン・コルトレーンの作。
難解さはなく、純粋にジャズとして楽しめるアルバムだと思います。
メンバーはトランペットがリー・モーガン( Lee Morgan)、トロンボーンにカーティス・フラー(Curtis Fuller)、ピアノにケニー・ドリュー(Kenny Drew)、ベースはポール・チェンバース(Paul Chambers)
ジャイアント・ステップス(Giant Steps)
ローリング・ストーン誌が選ぶ「オールタイム・ベストアルバム500」の103位にランクイン。
全曲、ジョン・コルトレーン作曲。
メンバーはピアノがトミー・フラナガン(Tommy Flanagan)とウィントン・ケリー (Wynton Kelly)とシダー・ウォルトン(Cedar Walton)、ベースがポール・チェンバース(Paul Chambers)、ドラムは(Art Taylor)とジミー・コブ (Jimmy Cobb)とレックス・ハンフリーズ(Lex Humphries)
表題曲の「ジャイアント・ステップス(Giant Steps)」は、ジャズを特集したテレビ番組でよく流れるような気がします。
ソウルトレーン(Soultrane)
こちらは全曲、他者の作品。
全曲ジョン・コルトレーン作曲のアルバムと比べると、がらっと雰囲気が変わり、ストレートアヘッドなジャズの世界が広がります。
ベースはポール・チェンバース(Paul Chambers)、ドラムはアート・テイラー(Art Taylor)
ドラムもいつも組んでるエルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)と違いますが、ピアノがいつものマッコイ・ターナー(McCoy Tyner )じゃなくてレッド・ガーランド(Red Garland)なのも、いつもと雰囲気がちょっと違っていて、それがまたよいです。
(※初級編で取り上げた「コルトレーン’58(Coltrane ’58)」に、このアルバムの曲は全曲収録されています。)
ジャズという音楽が、コーヒーやビールのように、はじめは苦くても何度も聴いていると良さがわかってくるように、ジョン・コルトレーンも最初はとっつきにくくても、じっくり聞きこんでいくと、その品格や高い志にふれられるように思います。
とはいえ、常に演奏スタイルを変化させていったジョン・コルトレーン。
いきなりフリージャズのスタイルから入ると、敷居が高いかもしれません。
以下に紹介する順番で、入りやすいところから、だんだんディープなコルトレーンの世界へ入っていくのはいかがでしょうか。
ジョン・コルトレーンの名盤(上級編)はこちらです。
ジョンコルトレーンの生涯はこちら。
上巻(生い立ち~軍隊に入る~ビバップの巨匠たちとの交流まで)
中巻(マイルスのバンドに加入するもクビになり、麻薬を断って再加入するまで)
下巻(名演「My Favorite Things」誕生~フリージャズ~晩年まで)
ジョン・コルトレーンがサイドマンとして参加した他人名義のアルバム
ジョン・コルトレーンの名言