マイルス・デイヴィス(Miles Davis)に「偉大なベーシスト」と言わしめたチャールズ・ミンガス(Charles Mingus 1922年~1979年)
創造性にあふれた革新的なその音楽性は、「時代の先を行っていて、皆がついて来れなかった」とも言われています。
確かに今聴いても、挑戦的な新しさ。
でもファンキーでご機嫌なグルーヴの演奏や、ロックな感じの演奏もあります。
力強く、攻めの姿勢のジャズといった感じです。
チャールズ・ミンガスの代表作の1つ「「グッドバイ・ポークパイ・ハット(Goodbye pork pie hat)」
チャールズ・ミンガスが作った有名な曲「グッドバイ・ポークパイ・ハット(Goodbye pork pie hat)」はテナーサックスプレーヤー、レスター・ヤング(Lester Young)が亡くなったときに、チャールズ・ミンガスがレスター・ヤングをしのんで作った曲です。
「ポークパイ・ハット」とはポーク(豚肉)で作られたパイの形に似た帽子の種類。
レスター・ヤングは、このポークパイ・ハットを愛用していました。
マーカス・ミラー(Marcus Miller)やジェフ・ベック(Jeff Beck)をはじめ、数々のジャズメンたちがカヴァー。
※アップルミュージックに登録しなくても「再生」をクリックすると、曲の一部を試聴できます。Internet Explorer(インターネットエクスプローラー)で再生できない場合は、ブラウザをGoogle Chrome(グーグルクローム)やMicrosoft Edge(マイクロソフト エッジ)などに変更してください。
ジョニ・ミッチェルはこの曲に歌詞をつけて歌っています。
チャールズ・ミンガスの生涯(前編)
チャールズ・ミンガスの生い立ち
アリゾナ州ノガレス出身、主にロサンゼルスで育ちました。
父親は米軍の軍曹。
チャールズ・ミンガスの母方の祖父は香港の中国系イギリス人。
母方の祖母は南アメリカのアフリカ系アメリカ人。
彼の先祖には、ドイツ系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人、およびネイティブアメリカンがいて、ルーツは多種多様です。
ミンガスのお父さんはアフリカ系アメリカ人だけど白人として育てられた?
チャールズ・ミンガスの自伝?「敗け犬の下で( Beneath the Underdog)」には、チャールズ・ミンガスの母親は「イギリス人と中国人女性との間の娘」で、父親は「農場労働者とスウェーデン人の女性との間の息子」と書かれています。
チャールズ・ミンガスの父親は、実際にはアフリカ系の奴隷の父親と白人の母親の間に生まれた子供でしたが、14歳のときに、母親が白人の夫から逃げ出すまで、白人として育てられたとも書かれています。
ただ「敗け犬の下で( Beneath the Underdog)」については、チャールズ・ミンガスの自伝でありながら、創作の部分も多く事実と異なる箇所が多いとされていて、この話も真偽のほどはさだかではありません。
この父親の影響かどうかわかりませんが、チャールズ・ミンガスの最初の奥さんと、2番目の奥さんは白人です。
(ちなみにチャールズ・ミンガスの結婚は4回)
チャールズ・ミンガス自伝?「敗け犬の下で(Bneath the Underdog)」についてはこちら。
高校生でチェロからベースに楽器を変える
チャールズ・ミンガスの母親は家の中では、教会の音楽だけを許可していました。
当時、ジャズは「悪魔の音楽」と呼ばれ、墜落した音楽と思われていたからです。
それでもチャールズ・ミンガスは教会音楽以外の音楽、特にジャズ、8歳のときにラジオで聴いたデューク・エリントン(Duke Ellington)に夢中になります。
彼は最初トロンボーンを学び、そののちにチェロを学びました。
当時、ジャズではチェロは使用されていませんでしたが、チャールズ・ミンガスはチェロに執着し続け、ベースを学ぶようになったのはずっと後。
「敗け犬の下で( Beneath the Underdog)」によると、実際にスイングのバンドにベースとして採用されてから、ベースを学びはじめたとのこと。
(「敗け犬の下で( Beneath the Underdog)」に書かれていることなので、本当かどうかはわかりません)
地元のスイングバンドで、ジャズベーシストのキャリアが始まる
高校生で手にしたコントラバスを演奏するときに、彼が学んできたチェロの技術が役に立ちました。
チャールズ・ミンガスはニューヨークフィルハーモニー管弦楽団の主席ベーシスト、 ハーマン・レインシャーゲンに5年間学び、ロイド・リースには作曲のテクニックを学びました。
チャールズ・ミンガスは10代から作曲をはじめ、その多くはクラシック音楽の要素を取り込んだ高度なものでした。
後編へ続きます。
チャールズ・ミンガスは、激しい気性だったことでも有名で、その気性ゆえに数々の事件やエピソードにも事欠かない人です。
そんなチャールズ・ミンガスのエピソードについても紹介しています。
チャールズ・ミンガスのおすすめのアルバムも紹介しています。
(前編)
(後編)
チャールズ・ミンガスがサイドマンとして参加した他人名義のアルバムはこちら。
(前編)
(後編)
チャールズ・ミンガスの自伝?「敗け犬の下で(Bneath the Underdog)」についてはこちら。