ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins 1930年~)の名曲のご紹介です。
「セント・トーマス(St.Thomas)」は、のもととなったイギリスの古い民謡についても、ご紹介します。
ソニー・ロリンズと言えば、ジャズにカリプソのリズムを持ち込んだ「セント・トーマス(St.Thomas)」が有名ですが、他にもご機嫌なナンバーで、今でも多くの人に愛されている曲がたくさんあります。
ソニー・ロリンズの名盤&おすすめアルバムはこちらでご紹介しています。
(前編)
(後編)
(番外編)
ソニー・ロリンズがサイドマンとして参加している他人名義のアルバムもご紹介しています。
(前編)
(後編)
「セント・トーマス(St.Thomas)」はイギリスの古い民謡が発端?
「セント・トーマス(St.Thomas)」は、イングランドの古い民謡「リンカーンシャーの密猟者(ザ・リンカーンシャー・ポーチャーThe Lincolnshire Poacher)」に基づく曲。
このイングランドの古い民謡がヴァージン諸島に伝わっていく過程で子守歌に変化し、ヴァージン諸島出身のソニー・ロリンズの母親が、子供のころに歌って聞かせたそうです。
(↓Spotifyに登録すれば(無料でも可)フル再生できます)
「リンカーンシャーの密猟者(ザ・リンカーンシャー・ポーチャーThe Lincolnshire Poacher)」は、昨今では行進曲のように演奏されることも多いとのこと。
ソニー・ロリンズが「セント・トーマス(St.Thomas)」をレコーディングするよりも前に、ピアニストのランディ・ウェストン(Randy Weston )が「ファイアー・ダウン・ゼア(Fire Down There)」という曲名でレコーディング。
そのとき、作曲者の欄は「トラディッショナル(traditional(民謡))」とクレジット。
こちらは「セント・トーマス(St.Thomas)」と同じ感じ。
ソニー・ロリンズの有名曲
個人の好みが反映されて偏るかもしれませんが、なるべく有名どころを、私が有名だと思う順番にご紹介します。
ご紹介している中で、「モリタット(Moritat)」「可愛いアイシャ(Isn’t She Lovely)」「星に語れば(I’ve Told Ev’ry Little Star)」「ショウほど素敵な商売はない(There’s No Business Like Show Business)」以外は、全部ソニー・ロリンズが作った曲。
ソニー・ロリンズは、後世に残る名曲を、何曲も残した人でもあります。
「セント・トーマス(St.Thomas)」は、ソニー・ロリンズの代名詞と言ってもいいくらい超有名。
その次か、同じくらい有名なのが、「オレオ(Oleo)」、 「エアジン(Airegin)」、 「ドキシー(Doxy)」の3曲。
オレオ(Oleo)
タイトルの「オレオ(Oleo)」はお菓子の「オレオ」のことかと思いきや、「オレオマーガリン(oleomargarine)」のことで、マーガリンのことを昔はそう呼んでいたそうです。
エアジン(Airegin)
タイトルの「エアジン(Airegin)」は、「Nigeria(ナイジェリア)」の綴りをさかさまにした言葉遊び。
ドキシー(Doxy)
「ドキシー(Doxy)」は情婦、または春を売る人のことを指す言葉。
後に歌詞もつけられて、いろんなヴォーカルが歌っています。
もうお気づきかとは思いますが、「オレオ(Oleo)」、 「エアジン(Airegin)」、 「ドキシー(Doxy)」の3曲は、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)名義の超有名アルバム「バグズ・グルーヴ(Bags ‘Groove)」に収録されました。
Tenor Madness(テナー・マッドネス)
「オレオ(Oleo)」、 「エアジン(Airegin)」、 「ドキシー(Doxy)」の3曲の次か、同じくらいよく聴く曲が「Tenor Madness(テナー・マッドネス)」
ヴァルス・ホット(Valse Hot)
天才トランぺッターのクリフォード・ブラウンと2管で奏でるご機嫌なジャズワルツ「ヴァルス・ホット(Valse Hot)」が収録されているアルバム「ソニー・ロリンズ・プラス4(Sonny Rollins Plus Four)」もおすすめ。
クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)と、マックス・ローチ(Max Roach)が参加で、悪いはずなかろうというアルバム。
ペント・アップ・ハウス(Pent Up House)
ソニー・ロリンズの名盤と名高いアルバムで、先に紹介した「ヴァルス・ホット(Valse Hot)」も収録されている「ソニー・ロリンズ・プラス4(Sonny Rollins Plus4)」の曲。
マンボ・バウンス(Mambo bounce)
「マンボ・バウンス(Mambo bounce)」は、その名のとおり、ラテン音楽の1つ「マンボ」と、アフリカ系の音楽「バウンス(bounce)」を融合させた曲。
「パラドックス(Paradox)」
軽快なラテンのリズムで、思わずリズムを取ってしまう曲。
Newk’s Fadeaway(ニュークス・フェイドアウェイ)
アート・ブレイキー(Art Blakey)と共演している「Newk’s Fadeaway(ニュークス・フェイドアウェイ)」は、ご機嫌にスイングしています。
「よっしゃ。ほれ、いけ!いけ!もっといかんかいっ!」
というような、ソニー・ロリンズを楽し気にあおるような、アート・ブレイキーのドラムが、いかしてます!
フリーダム・スイート(Freedom suite)
「フリーダム・スイート(Freedom suite)」ソニー・ロリンズが1958年にリリースした同名アルバムのタイトル曲。19分という長い曲で、途中でテンポ・チェンジを繰り返します。
モリタット(Moritat)
「モリタット(Moritat)」っは「マック・ザ・ナイフ(Mack the Knife)」として知られている曲。
もともとは1928年に初演されたドイツのミュージカル「三文オペラ」の曲。
原曲に英語の歌詞がつけられ、ルイ・アームストロング(Louis Armstrong)や、エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)が歌ってヒットさせました。
イズント・シー・ラヴリー(Isn’t She Lovely)
スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)の「イズント・シー・ラヴリー(Isn’t She Lovely)」は、いろんなミュージシャンがカヴァーしてますが、ソニー・ロリンズの演奏が1番有名な気がします。
ソニー・ロリンズの有名曲&名曲【番外編】
ここからは、ソニー・ロリンズの有名な演奏というわけではないのですが、個人的におもしろいと思ったものをご紹介します。
ジャンルにこだわらず、さまざまな曲を演奏したソニー・ロリンズなので、おもしろいと思うもの、以外だと思うもの、いろいろあります。
でも、どんな曲でもソニー・ロリンズ節は健在。
ショウほど素敵な商売はない(There’s No Business Like Show Business)
マリリン・モンローが出演した映画「お熱いのはお好き?」
マフィアに追われることになった男性ミュージシャン2人が、追っ手を交わすために女装して女性だけのバンドに加入する、コメディものです。
その「お熱いのはお好き?」の中でマリリン・モンローが、セクシーなハスキーヴォイスで歌った「ショウほど素敵な商売はない(There’s No Business Like Show Business)」
この「ショウほど素敵な商売はない(There’s No Business Like Show Business)」を、ソニー・ロリンズはクールなジャズへと昇華させました。
星に語れば(I’ve Told Ev’ry Little Star)
「星に語れば(I’ve Told Ev’ry Little Star)」なんて曲も。
ソニー・ロリンズの演奏がかっこよくて、別の曲と思ってしまいますが「星に語れば(I’ve Told Ev’ry Little Star)」がポップスでヒットしたときのバージョンはこちらです。
テレビ番組「マツコの知らない世界」のオープニングテーマで使用中。
ソニー・ロリンズの場合、名演もさることながら自作曲が多くいうえに今でも愛されて、いろんな人に演奏されているというところがすごいです。
おおらかで明るい感じの曲が多くて、私は元気になりたいとき、気合を入れて仕事をしたいときなんかには、ソニー・ロリンズをチョイスしています。
ジャズメンにしては、長生きして活動期間も長かったので、ソニー・ロリンズの演奏も聴ききれないくらい多く残っています。
ソニー・ロリンズの名盤のご紹介はこちら。
(上巻)
(中巻)
(下巻)
ソニー・ロリンズがサイドマンで参加したアルバムはこちら。
(前編)
(後編)
ソニー・ロリンズの生涯についてはこちらに書きました。
前編(幼少時~ちょっとだけ活動休止してシカゴにひっこんだ後、復帰するまで)
後編(コードレス・トリオ結成~現在まで)