休日の昼間にのんびり聴きたいズート・シムズのジャズ名盤アルバム

ズート・シムズ(Zoot Sims 1925年~1985年)のテナーサックスは、明快で力強く、ご機嫌にスイングするスタイル。

ズート・シムズを好きという人はいても、嫌いだ!という人はいないと言われるくらい皆に好かれるサックスです。

力強いサックスといえば、ジョン・ウェブスター(John Webster)やデクスター・ゴードン(Dexter Gordon) などもいますが、彼らのサックスは、お酒を飲みながら夜に聴くイメージなのに対して、ズート・シムズのサックスは日曜日の昼間に聴くのにピッタリな感じがします。

ズート・シムズの名盤

ズート・シムズは時代の流行りに左右されることなく、自分の演奏スタイルを終始貫いた人です。

そのため(いつも酔っ払っていたにもかかわらず)常に演奏が安定していて、アルバムには駄作が1枚もない!とも言われています。

ズート・シムズのアルバムには当たりはずれがないので、どのアルバムを聴いてもよさそうですが、それでも特に有名だと思われるものについてご紹介します。

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ダウン・ホーム(Down  Home)1960年

個人的にはズート・シムズのアルバムで特にお気に入りなのが、この「ダウン・ホーム(Down  Home)」と、あとでご紹介する「ジャズ・アライヴ!ア・ナイト・アット・ザ・ハーフ・ノート(Jazz Alive! A Night at the Half Note)」。

「ダウン・ホーム(Down  Home)」については、リラックスした楽しいご機嫌なスイングといった感じ。

うなり声や掛け声も入っていて、演奏している本人たちが楽しんでいる雰囲気も伝わってきて、大好きなアルバムです。

(↓Spotifyに登録すれば(無料でも可)フル再生できます)

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メンバーは、テナーサックスのズート・シムズ(Zoot Sims)、ピアノのデイブ・マッケンナ(Dave McKenna)、ベースのジョージ・タッカー(George Tucker)、ドラムのダニー・リッチモンド(Dannie Richmond)

ユタ・ヒップ&ズート・シムズ(Jutta Hipp with Zoot Sims)1957年

ワイマール共和国生まれでドイツで活躍していたピアニストユタ・ヒップ(Jutta Hipp)とのデュオで、こちらも人気の高いアルバム。

このユタ・ヒップ(Jutta Hipp)という人はドイツで活躍したのちに1955年にニューヨークに活動の場を移しますが、この「ユタ・ヒップ&ズート・シムズ(Jutta Hipp with Zoot Sims)」を録音した1956年から音楽活動を停止し、音楽とは関係のない仕事に就き、その後音楽活動を再開することはありませんでした。

このアルバムを聴くかぎり、ユタ・ヒップ(Jutta Hipp)の飾り気のない明快なピアノは、ズート・シムズと相性がいいように思います。

ユタ・ヒップ(Jutta Hipp)が若くして演奏活動をストップさせた理由は謎ですが、なぜだろう?惜しいなあ、残念だなあと思いは募ります。

「ジャズ・アライヴ!ア・ナイト・アット・ザ・ハーフ・ノート(Jazz Alive! A Night at the Half Note)」1959年

ズート・シムズとアル・コーン(Al Cohn)のデュオでのアルバムはたくさん残されていてよいものが多いのですが、その中からあえて選ぶならフィル・ウッズ(Phil Woods)まで参加しているご機嫌なライブ盤「ジャズ・アライヴ!ア・ナイト・アット・ザ・ハーフ・ノート(Jazz Alive! A Night at the Half Note)」。

人気のアルバムです。

フロントがテナーサックス2本という珍しい構成ですが、ズートとアルはウディ・ハーマン (Woody Herman)のバンドで同期だったこともあり、あうんの呼吸でお互いの演奏にからみます。

片方がメインで吹いてる後ろで軽く吹いたり、片方のソロにもう片方が絡んできたり、しまいにはどっちがメインで吹いているのかわからないくらい絡みまくったり、相手の出方を知り尽くした仲だからこその演奏が、スリリングに繰り広げられます。

メンバーは、テナーサックスのズート・シムズ(Zoot Sims)とアル・コーン(Al Cohn )、アルトサックスのフィル・ウッズ(Phil Woods 3,4曲目に参加)、ピアノのモーズ・アリソン(Mose Allison)、ベースのナビル・トタ(Nabil  Totah)、ドラムのポール・モティアン(Paul Motian)

ズート・シムズとアル・コーンのデュオは、さらっとクールに演奏していながら、スリリングで

「次、どうなる?」

「あ、そうくるか!」

「あ、乱れ吹き!」

とわくわくと驚きが止まりません。

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ベイシー&ズート(Basie & Zoot)1975年

シカゴのブルースの香りがほのかに漂う、古き良き時代のジャズを彷彿させるカウント・ベイシーのピアノと合わさると、いつものズート・シムズのサックスも少し趣が変わっておもしろいです。

自らが率いるオーケストラでは封印しているスライドピアノも、このアルバムではところどころに見え隠れして、実はピアニストとしても素晴らしいカウント・ベイシーのピアノを堪能することもできます。

ズート・シムズのサックスが全面に出るという感じではなくて、カウント・ベイシーとズート・シムズの両方が全面に出る感じです。

メンバーは、ピアノのカウント・ベイシー(Count Basie)、テナーサックスのズート・シムズ(Zoot Sims)、ベースのジョン・ハード(John Heard)、ドラムのルイ・ベルソン(Louie Bellson) 

ズート・シムズ・アンド・ザ・ガーシュウィン・ブラザーズ+1(Zoot Sims and the Gershwin Brothers)

「ズート・シムズ・アンド・ザ・ガーシュウィン・ブラザーズ+1」または「アンド・ザ・ガーシュウィン・ブラザーズ+1」と呼ばれている(「ガーシュウィン」でなく「ガーシュイン」という表記のときもあります)、ガーシュウィン特集のアルバム。

個人的に意外だったのは、ズート・シムズとピアノのオスカー・ピーターソン(Oscar Peterson)との相性のよさ。

オスカー・ピーターソンのピアノは装飾的で、どんな小さな隙間にも細かい音をちりばめる印象があります。

個人的にはときどき、(大御所に対して恐れ多いことですが)「そこまで弾かんでも。弾きすぎちゃうか」と思ってしまうこともあるのですが、そんなオスカー・ピーターソンのピアノと、単純明快なズート・シムズのサックスが、これまた合うんです。

メンバーは、テナーサックスのズート・シムズ(Zoot Sims)、ピアノのオスカー・ピーターソン(Oscar Peterson)、ギターのジョー・パス(Joe Pass)、ベースのジョージ・ムラーツ(George Mraz )、ドラムのグレディ・テイト(Grady Tate)

 

その他にもズート・シムズの名盤と有名なアルバムは、まだまだあります。

  • ズート!(Zoot!)1957年
  • アル&ズート(Al&Zoot)1957年
  • イン・コペンハーゲン(In Copenhagen)1978年
  • ソプラノサックス(Soprano Sax)1976年←全曲ソプラノサックスを吹いています。

これ以外にも、まだまだたくさんあります。

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ズート・シムズの経歴や生い立ちについては、こちらに書きました。

力強く明るくスイングするサックス ズート・シムズの生涯
ズート・シムズ(Zoot Sims1925年~1985年)。明るく、力強くスイングする、とにかくご機嫌な彼のサックスを好きだという人はとても多いです。そんなズート・シムズの経歴(バイオグラフィー)です。

ズート・シムズのエピソードについてはこちら。

24時間酔っ払っていたジャズメン ズート・シムズのエピソード
ズート・シムズ(Zoot Sims 1925年~1985年)は大酒飲みで有名です。ツアー中は1日にウィスキーを2本飲んでいたのだとか。その一方でガーデニングを趣味に持つ家庭的な一面も。そんな彼のエピソードを集めました。