「私のヴァレンタイン、スイートでおかしなヴァレンタイン。
あなたは私を心から笑顔にする」
と歌う「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」
日本ではヴァレンタインデーにちなんで、2月に歌われることも多いとか?(笑)
「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」の聴き比べです。
まずは私が1番好きなバージョン、マイルス・ディヴィス(Miles Davis)の「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」
マイルスの吹くこの曲が収録されたアルバムは大ヒット。
ライブでもたびたびリクエストされたそうですが、常に新しいことに挑戦するマイルスは、同じことを繰り返すのが大嫌い。
いつまでたっても「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」をリクエストするお客さんに、うんざりしたマイルスは
「そんなにその曲を聴きたきゃ、レコードを買って聴いてくれ。」
と言った、と自叙伝に書かれています。
でもこの演奏を聴くと、リクエストしたくなるお客さんの気持ちが、よくわかります!
真剣に思いを打ちあける感じ、切実な思いが伝わる「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」
こちらは、チェット・ベイカー(Chet Baker)が甘く、切なく歌う「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」
チェット・ベイカーを描いた映画「ブルーに生まれついて」でも、この歌を歌うシーンが印象的でした。
チャカ・カーン(Chaka Khan)が歌う「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」は、熱い想いを、思いっきりシャウト。
ソウルやディスコクイーンといったイメージがある彼女も、ビバップなどのジャズを彼女のテイストで歌っています。
映画「恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」のエンディングで流れる、女優のミシェル・ファイファー(Michelle Pfeiffer)が歌う、ちょっとポップスな感じの「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」
せつなくて、スイートで、可憐で、いいです!
映画「恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」については、こちらに書きました。
こちらもちょっとポップスよりのバラード「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」
思いっきり大人な感じでよいです。
アニタ・ベイカー(Anita Baker)がおさえめにしっとりと、スモーキーに歌い上げてます。
シンセのサウンドも気が利いていて、いい感じです。
「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」ってポップス風なアレンジもなかなかいける、と思います。
ここからはまた、ジャズに戻ります。
ビル・エヴァンス(Bill Evans)とジム・ホール(Jim Hall)は、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」をまさかのアップテンポで。
これがスリリングで、とってもいいんです!
ロックバンド「ポリス(The Police)」のボーカルだったスティング(Sting)も、今ではすっかりジャズ歌手が板についてきた感じ。
彼の歌う「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」も味があっていいです。
クリス・ボッティ(Chris Botti)がワンコーラス、トランペットを吹いた後、スティングの歌が入ります。
ライブ盤です。
スティングが「お前のルックス、笑えるぜ(Your looks are laughable)」と歌った後に笑い声が起きているのは、スティングがこの言葉をクリス・ボッティ(Chris Botti)に向けて歌ったから。
youtubeでその様子を見ることができます。
正統派バラードとして、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」のクラシックな美しさを再現しているのはサラ・ヴォーン(Sarah Vaughan)だと思います。
アーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal )は「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」をバラードでも弾くし。。。
(バラードと言っても、アーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal )ですから、ひとひねりも、ふたひねりもありますが)
なんと同じ「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」をジャズワルツでも弾いています。
そしてこれは、また違うバージョン。
同じジャズワルツだけど、もっと3拍子が強い感じ。
「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)」も、ジャズメンによって、ガラっと雰囲気が変わります。
ジャズワルツになるとは、想定外だったけど、ジャズワルツもいいなあと思います。
さすがアーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal )!
でもどんなにテンポやアレンジが変わっても、この曲が持つ甘い切なさは変わらないように思います。