数あるジャズのスタンダード曲の中でも、特に有名な曲をご紹介します。
同じ曲をいろんなジャズメンで聴き比べると
「これが同じ曲?」
というくらい、雰囲気が変わるので、ぜひぜひお気に入りの曲を見つけて聴き比べてみてください。
「これだけは聴いておこう!ジャズの有名なスタンダード曲(入門編①)はこちら。
ジャズの有名なスタンダード曲
サテン・ドール(Satin Doll)
若き日のマイルス・デイヴィス(Miles Davis) も憧れていた、デューク・エリントン(Duke Ellington)の作。
デューク・エリントンらしい華やかなな雰囲気の、明るいジャズで、超有名曲。
オーケストラで奏でてもよし(もともとデューク・エリントンのオーケストラで奏でられていた曲ですから)、トリオでもよし、ピアノソロやギターソロでもよし、なんでもござれ的な曲です。
ボーカルものだと、歌手によってかなり雰囲気が変わります。
これは私が大好きなバージョンで、ナンシー・ウィルソンの「サテン・ドール(Satin Doll)」
「サテン・ドール(Stain Doll)」は他にもいろいろ聴き比べしています。
スターダスト(Stardust)
超有名バラード曲。
日本でも、江利チエミさん、美空ひばりさん、ザ・ピーナッツなどがカヴァーしたくらい。
ジャズはミュージカルで使われた曲が、ジャズのスタンダードナンバーになるケースが多いのですが、その影響でジャズのバラード曲には、メロディ(コーラス)に入る前にヴァース(Verse)という導入部が付くことが多々あります。
これはミュージカルで、セリフから歌へとスムーズな流れを作るために、セリフにメロディをのせたような、セリフと歌の中間のようなものです。
「スターダスト(Stardust)」はこのヴァースがとても美しいので、シンガーだけでなく、インストでもヴァースから演奏されることも多いです。
How High the Moon
「ハウ・ハイ・ザ・ムーン(How High the Moon)」も演奏した人、歌ったシンガーを挙げていくときりがないくらい、数々のジャズメンに演奏されている曲です。
たぶんエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)の、このヴァージョンが有名。
途中の高速スキャットで歌っているのは、ビバップの創始者チャーリー・パーカー(Charlie Parker)の「オーニソロジー(Ornithologhy)」の有名なフレーズ
これはエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)がチャーリー・パーカーのフレーズをパクったということではなく、有名なフレーズなのでトリビュート的な意味で取り入れたもの。
その証拠にまるまる真似しているわけではなく、チャーリー・パーカーのフレーズから、彼女自身のスキャットに展開させています。
たま~にプロのシンガーさんでも、エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)のこのバージョンのスキャットをまるまるコピーして歌っている人がいて、内心
「おい、おい」
と思ってしまいます。
お勉強で完コピするのはありですが、お金を払って見に来ているお客さんの前で、完コピを聴かせるというのは。。。。
コピーを聴くなら、家でエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)のバージョンを聴いてたほうが断然、高品質だし。
ライブでこういうケースがあると
「エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)に宣戦布告しているのか?」
と思ってしまいます(笑)
イパネマの娘(Girl From Ipanema)
ジャズではなくボサノヴァですが、もうジャズのスタンダード曲と言っていいくらいの曲。
アントニオ・カルロス・ジョビン(Antônio Carlos Jobim )の作。
それまでブラジル以外ではあまり知られていなかったボサノヴァを、ジャズに取り入れたスタン・ゲッツ (Stan Getz)のアルバム「ゲッツ/ジルベルト」(Getz/Gilberto)」で、一躍有名になった曲です。
(この「ゲッツ/ジルベルト」(Getz/Gilberto)のレコーディングの雰囲気は最悪だったようで、詳しいことはこちらに書いています)
「エレベーター・ミュージック」という言葉があって、「すーっと聞き流せるBGMのような音楽」という意味なのですが、それが発展して「どうでもいい音楽」という意味で使われることもあります。
この「イパネマの娘(Girl From Ipanema)」はその代表としてあげられる曲。
実際に欧米のエレベーターでは、よく「イパネマの娘(Girl From Ipanema)」が流れているそうです。
映画「ブルースブラザース(The Blues Brothers)」でも終盤で、ジェイク兄弟がお世話になった孤児院の税金を払いに行くときに乗ったエレベーターの中で「イパネマの娘(Girl From Ipanema)」が流れていました。
この「ブルースブラザース(The Blues Brothers)」は、こういうちょっとした風刺や小細工がニクイ映画でした。
アフリカ系アメリカ人のおじさんが、白人の若造に向かって
「ボーイ(Boy)!」
と呼びかけたり。
(人種差別が激しかったころには、公然と若造の白人が、年配のアフリカ系アメリカ人に
「ボーイ(Boy)!」
と呼びかけていたので、その逆を風刺でやったわけです)
「ブルースブラザース(The Blues Brothers)」はAmazonプライムでも見ることができます。
(2020年3月の時点での情報です。
詳しくは公式サイトでご確認ください)
「ブルースブラザース(The Blues Brothers)」は、ジョン・ベルーシとダン・エイクロイドの愛すべきおバカっぷりが、ものすごくよいです。
出演者も、ジェイムズ・ブラウン(James Brown)、キャブ・キャロウェイ (Cab Calloway)、アレサ・フランクリン(Aretha Franklin)、レイ・チャールズ(Ray Charles Robinson)、ジョン・リー・フッカー (John Lee Hooker←テレビ版だと出演シーンがカットされているときもあり)、スティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg←最後にほんのちょい役だけど結構映る(笑))、チャカ・カーン(Chaka Khan←聖歌隊の一員でちらっと映るだけ)と、超豪華すぎ!
音楽もご機嫌です。
「ブルースブラザース(The Blues Brothers)」はU-NEXTでも見ることができるようです。
(しつこいですが2020年3月の時点での情報です。
詳しくは公式サイトをご確認ください)
「ブルースブラザース(The Blues Brothers)」は「ブルースブラザース2000(The Blues Brothers 2000)」という続編も作られていて、そちらも楽しめます。
(Amazonプライムの「ブルースブラザース2000(The Blues Brothers 2000)」はこちら)
「ブルースブラザース2000(The Blues Brothers 2000)」も、音楽ファンなら思わずにんまりしてしまう出演陣。
私は、あのB.B.キング(B. B. King)が、中古車のおやじ役で出てきたのがうれしかったです。
普通に俳優さんとしてやっていけるくらい、演技力ありました。
対してエリック・クラプトン(Eric Clapton)が、たいしてセリフはないのですが見事な大根役者ぶり!
でもファンなので、そこもかわいい(笑)
あまりに「ブルースブラザース(The Blues Brothers)」が好きすぎて、話が脱線してしまいました。
「イパネマの娘(Girl From Ipanema)」の話にもどります。
いい曲だと思うので、エレベーター・ミュージックのイメージはかわいそうな気もします。
この「イパネマの娘(Girl From Ipanema)」は英語の歌詞は3通りあって
可愛い女の子が通り過ぎていくのを見ているパターン、素敵な男の子が通り過ぎていくのを見ているパターン、女の子が通り過ぎていくのを男の子たちが見ているよ、と歌うパターンと3通りです。
なので女性のシンガーが、素敵な男の子が通り過ぎていくわ~と歌っているときには
「イパネマの少年(Boy From Ipanema)」と曲名が変わることもあります。
ジャズのスタンダード曲は、まだまだあります。
入門編③に続きます。
入門編は④と⑤もあります。
「これだけは聴いておこう!ジャズの有名なスタンダード曲(入門編①)はこちら。